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逢魔時奇譚【26話(83)】
「来年はわたくし達20歳でしてよ!大人になりますのよ!成人式は一緒にお着物を着て!お酒も飲みましょう!」
「…何でお前と…」
スッ…。小指を差し出すれいな。
「約束。ですわよ」
ニコニコ微笑むれいなをジッ…と見る。だが、聖弥はバフッと毛布を頭からかぶってしまった。
「聖弥ーー!?約束でしてよー!?指切りげんまんしなさい!!」
「できねー」
「できなくありません!」
「できねーから約束はしねぇつってんだよ」
「聖弥のソレは、"できない"ではなくて"したくない"でしてよ!?そんなにわたくしの事を嫌わなくても良いではありませんの!!」
バフバフ毛布の上から叩いてくるれいなは、自分達は20歳になれない事など何も知らない。だから毛布の中で聖弥は目を瞑り、微かに「…ごめん」と呟いた。
「セーイーヤー!寝ましたのー!?セーイーヤー!約束しなさいー!!」
その謝罪はれいなには聞こえていなかったし、聞こえない方が良かったけれど。
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逢魔時奇譚【26話(82)】
「…素直じゃありませんのねっ!」
「あァ…?」
ちょこんとベッドに座るれいな。聖弥の右手を左手で握る。
「…放せよ」
「お祈りでしてよ。すぐ終わりますから待ちなさい」
「はぁ…?」
「聖弥の具合が良くなりますように。聖弥がサタンの力に負けずに長生きできますように」
「……」
「終わりましてよ!」
パッ!と手を放すとれいなはニコッ!と笑む。聖弥は相変わらず不機嫌な顔のまま。
「…長生き…ねぇ」
「そうでしてよ!わたくしも聖弥のお陰でこの世に再び戻って来ましたの!聖弥もサタンから離れてエクソシストとして戻って来ましたの!ですから、これからは楽しい事ばかりでしてよ!」
「楽しい事ってお前なぁ…。俺らは一般市民じゃねぇんだぞ…」
「ねぇ聖弥」
「あァ…?早く寝かせろよ…怪我人だぞこっちは…」

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逢魔時奇譚【26話(81)】
れいなは握っていた手を放し、立ち上がる。
「今すぐ医療班を呼んできますわ!貴方はそのままでいなさ、」
パシッ、去ろうとしたれいなの左手を掴む聖弥。
「…いい」
「けれど痛むのでしょう!?なら、」
「サタンの目…なんて医療班が治せるワケねーだろポンコツ…」
「また貴方はそうやって!ですからわたくしは!」
「監視役なら…」
「はい?!」
「…どっか行かねーで、ちゃんと監視してろよポンコツ…。お前が医療班を呼びに行った隙に逃げ出すぞ…」
「…!」

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逢魔時奇譚【26話(80)】
21:58、318号室ーーーーーーー
「…ぅ、」
「おはよう聖弥!」
ようやく目を覚ました聖弥。ベッドでずっと眠っていた聖弥を、床に膝を着いて手を握ってずっと見守っていたれいなの顔に笑みが浮かんだ。聖弥が目を覚ましてくれて喜び笑顔で、彼を見つめるれいな。対してまだ寝ぼけ眼な聖弥がゆっくりゆっくり視線を動かすと…
「っ…!」
「聖弥!?」
右目を押さえ、痛そうにする。
「痛ってー…」
「右目が痛みますの?聖弥!?」

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逢魔時奇譚【26話(79)】
祓本部、元帥の間ーーーーーー
「ほう。行方不明者は悪魔の仕業ではなく天使の仕業だったと。強欲な人間を無欲に正す…か。綺麗事じゃな。そうして世界を我が物にしようと企むお主ら天使達こそ強欲ではないかのぅ。悪しき欲は確かに裁かねばならぬ。しかし、欲があるからこそ我々人間は向上し、より良いモノを得ようと進化するという良い欲もあるというのに。全く天使共め。よし。神堂隊よ。今任務ご苦労じゃった。行方不明者の行方は以前分からぬままじゃが、天使共の話によれば拐われた行方不明者はいずれ正されてから下界へ帰されるじゃろう。どのような姿で帰されるかは分からぬが…。弱き心の人間だけに対象を絞り取り憑く悪魔共より、全ての人間を対象に正そうとする天使共の方が厄介じゃな。今件は早急に隊長達を招集し、通達する。お主ら?神堂隊の収穫の賜物じゃ。ご苦労。今後は悪魔のみならず天使とも戦わねばならなくなるが、これからも奮闘し、一般市民を悪魔や天使の魔の手から守っていこうぞ」
元帥の前にはれいな、小梅、ロンが立ち、今任務の報告をしている最中。聖弥は止血をしてもらった為、今はもう自室で眠っている。
「はっ!」
「了解でス!」
「承知致しましたお祖父様!」
ビシッ!背筋を伸ばし敬礼をする3人は、退室していった。カタン…、退室した3人の声がやがて聞こえなくなると…
「…元帥」
「何じゃ」
「れいな様に寿命の話は…」
「できる筈が無いじゃろう」
「…失礼致しました」
ふぅ…と息を吐くと元帥はポツリ…呟いた。
「可愛い孫娘の顔を拝めるのももうあと半年も無いのぅ…」
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