タイトルなし

終焉のアリア【37話(2)】
「なしてこんげ事になったのか俺にはちっとも分かんねぇて…。でも雨岬でぇじょぶら…。おめさんが俺の飛んだ理性を取り戻してくれたみてぇに、今度は俺が頑張るすけ…」
「鵺?何の話してるんだよ」
ギュッ…、鵺は空を抱き締めた。
「俺がおめさんを人間に戻してやるすけ、安心しろて」

同時刻―――――
「痛い痛い痛いよ花月ィ!どうなってんのよこいつら!!」
道の真ん中で、歯形の付いた右腕からボタボタ血を流す友里香。突然瞳をMADのように赤くして自我を失った風希に友里香は噛み付かれたのだ。
「なななな何が起きたというのですか峠下氏!?峠下氏の上司と姉上は地球人ではないのですか!?」
「当たり前ですよ!!」
「なら何故突然、このギャルに噛み付いたのですか!!まるでMADが我々地球人を食べるかのように!!」
「う"う"う"う"…!!」
MADのように瞳を真っ赤にしたアリスと風希は白い歯を覗かせ、まるで野生動物のように敵意剥き出しで唸っている。まるで、シマウマを見つけたライオンのように。

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終焉のアリア【37話:心臓(1)】
「雨岬君、大丈夫だよ。鵺ちんがすぐご飯持ってきてくれるから。食べればきっとすぐ体調も良くなるよ」
「そうだな…」
ゆっくり顔を上げた空の黄色かったはずの右目が真っ赤に染まっていた。両目を真っ赤に光らせ、口が裂けそうな程不気味に笑む空の表情はMADによく似ていた。
「目の前にあるんだもんな。こんなに美味そうな食い物がさァ!!」
「えっ…?雨さ…、」
「ヒッ…!あ、雨…っ、雨岬っ!!」
鵺が駆けつけると、MADと同じ真っ赤な瞳をして正気を失った空が何の躊躇いも無くミルフィを食していた。我々地球人が豚や牛の肉を食すのと同じように何の躊躇いも無く…。
「ほら。食えよ。超美味いんからさ」
鵺に差し出されたモノは、血塗れのミルフィの右腕。
「食わねぇの?悪い。俺超腹減ってるから、お前が食わないなら俺が全部食うわ」

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終焉のアリア【36話:交差】
「ミルが悪いの…。ミル気付いてた…鵺ちんが雨岬君の事どう思ってたのか…」
「!?」
ミルフィは左腕からドクドク血を流しながら空に抱き抱えられたまま、鵺の方にゆっくり顔を向ける。
「ごめんね…鵺ちん…。ミル、分かってたはずなのに…。ミルも鵺ちんと一緒。ずっと友達がいなかったの。でもそんなミルに優しくしてくれた雨岬君…嬉しかった…。ずっと友達がいなかったから、ミルにとって雨岬君が全てだった…。他のみんなが言う"好き"よりもっと重いよね、ミルと鵺ちんの"好き"って…。独りぼっちだった真っ暗闇の世界に光を射し込んでくれたんだもんね…。だから鵺ちんがミルと同じくらい雨岬君の事を大事なの気付いてた…。でも…取られたくないって、ミルは我儘でバカだから自分を優先しちゃった…。だからこれはミルが受けなくちゃいけない天罰なんだ…だから雨岬君、魍魎しまって。ね。鵺ちん…今まで辛い思いさせて本当にごめんね…」
「あ…っ、あ…!」
先程鵺の攻撃を受けてそれどころではないミルフィに襲い掛かる第二の苦難。空はミルフィを抱き抱えたまま、男性達から逃げる。
「くっそ!今はそれどころじゃないっつーのに!」
「仕方ないよ…全部、ミルが今までしてきた事への罰だもん…。雨岬君もういい…もういいよ。ミルは我儘でサイテーな女…。雨岬君にこれ以上迷惑をかけたくない…。鵺ちんの事、ファンのみんなの事…たくさん傷付けたミルなんかが、優しい雨岬君と付き合ってちゃいけないもん。…もう別、」
「れるなんて絶対言うなよ!!俺はそんな気これっぽっちも無ぇからな!」
「!!」
はぁ、はぁ息を上げて走る空に、ミルフィは出血のせいで顔を青くしながらも目を丸めて空を見る。空は口を大きく開いた。
「どんなにサイテーな部分が見えたって、俺はもうお前を嫌いになれないくらい大好き過ぎてやばいんだから仕方ないだろ!!」
「雨…岬、君っ…!!」

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終焉のアリア【35話(4)】
「友里香言ったよね…?友里香のお父さんとお母さんと妹を守れなかったんだから、友里香だけは絶対守ってねって。だって花月はEMS軍なんでしょ?」
「そうだけど!俺が守らなきゃいけない人は佐藤さんだけじゃない!みんなを守らなきゃいけな、」
ガンッ!!
「がはっ…!!」
花月の頭を掴んで壁に打ち付けた友里香。さすがの花月もその衝撃に視界が霞み、頭がクラクラする。
「あははっ。そうやっておとなしく友里香の言う事だけを聞いていればイイんだよ。それが花月でしょ?」

2階、特別教室――――
友里香が強引に花月を連れて隠れた特別教室。
「マジふざけんなよ。お前らEMS軍が情けないせいで、何で罪の無い友里香が危険な目に合わなきゃいけないわけ?」
「それはそうだね、俺達が悪い。本当ごめんなさい。でも佐藤さんの考え、直した方が良いと思う。それにごめん、佐藤さんだけを守るなんて俺にはできない」
「はっ!花月のクセに生意気じゃん?どうしたの?」
「ryo.氏の事をあんな奴いいって言ったり、自分だけ助かりたいって言う考えは直した方が良い」
「お前ほんっとアニメの見過ぎだね。マジでキモいんですけど。かっこつけんなよ。お前だって本当は、自分だけ助かりたいって思ってるんでしょ?自分はどうなってもいいなんて思う奴、この世に居るわけないじゃん!そんなの機械でしょ?!感情の無い機械じゃん!」
「助かりたいよ。でも佐藤さん。さっきみたいに、目の前で人が殺されそうになっているのに笑ったら駄目だし、朝比奈さんをMADに殺させようとするなんてもう一生しないでほしい」
「は?偉そうに言わないで花月のクセに」
「…俺がそうだったんだ」
「は?」
「俺は、さっきの奴ら以外の中学時代いじめてきた奴らなんてMADより悪だから死んでしまえば良いと思って、刀を使った…。その事を姉さんに叱られて、分かったつもりでいた。でもその後そいつらがMADに襲われた時俺は動けなかった。そんな奴らでも助けなきゃいけないのに、俺の体は動けなかった。心の奥底で"あいつらなんてMADに殺されてしまえば良い"って思っていたから、動けなかったんだ。…MADに殺されても良い人なんていない…。だから、佐藤さんにも俺と同じ人間になってほしくない。ryo.氏にもそうだったんだけど…あんな事になっちゃったから…。でも佐藤さんはまだ誰の事も見殺しにしていない。だから、もうあんな事をしたり、言ったりしないでほしいんだ」
「……」

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終焉のアリア【35話(3)】
バシッ!!血相変えた朝比奈が、花月を平手打ち。ドガッ!次は花月を殴る朝比奈。
「どうしてくれんの!どうしてくれんのよ!!花ブタ!あんたの友達が達也をMADに投げたから達也が死んじゃったじゃん!殺したんじゃん!!どうしてくれんのよ!!あたしの大切な人なのに、あたしの彼氏なのに!!どうしてくれんのよ!!あんたが死ねば良かったのよ!!」
「っ…、ごめんなさいっ…!ごめんなさい…!!」
今度は友里香が朝比奈に突っかかる。
「そっちが先、デブ眼鏡を盾にして殺したんじゃん!おあいこでしょ?!何悲劇のヒロインぶってんのお前!?マジキモいんですけど!」
「うっざ!!いいからその手離せよ!!ハッ!あんた何?花ブタの彼女?容姿に騙されちゃってバッカみたい。そいつ整形人間だから全部作り物なんだよ?あ、そっかぁ、あんた見るからに底辺だから騙されちゃったんだねぇ、キモい女!」
「お、おい早く行くぞ朝比奈!そういうのは後でやれって!」
「は?何お前、マジ調子乗ってんじゃねぇよ。花月が死ねば良かった?違げーし!お前が食われれば良いじゃん、MADに!」
「さ、佐藤さん…!俺の事は良いから…!」
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