2019-6-13 01:09
※粗筋すら書いていない、でもネタバレと強硬に主張すれば、そう言えなくもないかもしれない部分が無きにしも非ず。
最近めっきり本を読める状態ではないのですが、唯一確実に一人になれる歯医者さんでちまちま読んでいた「梟の城」、やっと読み終えました…!
間に1ヶ月開いたりしたので、
「あれ、これ今どんな場面だっけ?」とか、
「…この人誰だっけ?」とか、
「そもそも誰の依頼を受けてたんだっけ…?」とか、
まあ惨憺たる記憶力で、その都度ちょっと前から読み直しながら読み進めました。
正直読み終えた今は、最初の頃のエピソードとかほとんど覚えていないんですが(^_^;)、一番の感想としては
「えっ!そう来たの?それでいいの?ええ〜!?」
です。
いやー、うん、どうなるんだろうと思っていたんですが、結末は予想外でした…。
いやね、依頼が果たされないことは大抵の日本人なら分かってると思うけど、まさか石川五右衛門で締めるとは…。
え?そうなの?それでいいの!?
忍者の技?の描写は
「すごーい!かっこいーい!私も出来たらいいのに〜!」
と、ヒーローに憧れる小学校低学年男子並の感想を持ちました。
でも本当にこんなこと出来たのかな?
ともあれ、男性陣はいやもう勝手でずるいけどキャラ立っていて、小萩は妖艶で、娯楽小説としては面白いと思うけど、私好みではなかったな…。
※ネタバレありのかんそう
・何というか、「重蔵くんの自分探し」みたいな感じ。
忍者としか生きていけないと思い込んでいたけど、女に惚れ、ターゲットにも拍子抜けして、
「あれ、俺何やってたんだろう?」
と我に返って幸せに暮らしましたとさ。
いやー意外だった。
私は絶対死ぬと思ってたんだけどなあ。
まあそれじゃ普通か。
でも依頼、果たしてないけど何で殺されないの?
普通失敗したら(これは自分で止めちゃったけど)、罰とか口止めを兼ねて殺されない?
小萩が島左近さんに頼んだおかげってこと?
・五平は基本的に利己的なのであんまり好きじゃないけど、何の前触れもない突然の石川五右衛門には、唐突過ぎて着いて行けなかったな…。
私が覚えていないだけで伏線あったの?
無理矢理感と御都合主義な感じで正直興醒めしたし、五平が可哀想だった…。
・木さるは小萩の智略と色艶に比べると確かに浅はかで子ども過ぎて魅力は薄いけど、重蔵には振られ、五平には弄ばれた挙句父も殺されたのに利用されて、最後は手首を切られたりして(しかも五平は何とも思ってない)、可哀想にも程がある…。
あまりに不憫な彼女に救いが欲しかった…。
・黒阿弥さんの最期は切なかったな…。
リーダー気質じゃ無いかもしれないけど、補佐役として味方にいたら相当心強いだろうな。
この人器用だし、重蔵と関係を断てば楽しく暮らせただろうにな…。
いや本人に悔いは無いと思うけど。
・どうでもいいけど、最後の方にちょこっと出てきた毒潭さん、飄々としたところが何となく好きでした。
(おまけ)
私は司馬遼太郎作品をそんなに読んでいるわけではないけど(10作には届かないくらいかな)、多分後期のものしか読んでいないので、長編デビュー作というこちらは、説明があっさり軽くて読みやすかったです。
ただこれを最初に読んでから後期の作品を読むと、「えっ!何で唐突に現代の作者の所感が出てくるの?」となると思います…。
説明が長過ぎて、どんな状況か忘れたことあった気がする…。
ちなみに私が読んだ数少ないうちで一番好きな作品は「国盗り物語」の斎藤道三編です。
斎藤道三めちゃくちゃかっこいい…!
ダークヒーローだと思うけど、油売りの描写やお万阿さんとの関係が粋で好きでした。
好き過ぎて、岐阜に一人旅をしたほど。
また読みたいなあ…。
次は「坂の上の雲」かな。
小村寿太郎に痺れて、乃木大将にギリギリ胃を痛め、バルチック艦隊に涙を禁じえませんでした…。