取り替えっこ。
それは私達だけが知っている秘密の遊び。
取り替えっこ。
それは嫌なことがあると、身代わりになってくれる特別な秘密。
私達は二人で一つ。

でも、勘違いしないで。
私達は容姿こそ瓜二つだけど、双子という括りで言い表すには少し違う。
性格も髪の色も目の色も全然違う、どこにでもいる普通の姉妹。
双子なんかじゃない、ただの姉妹。

だけど外の世界の人達から見たら私達は双子で、容姿が少し違ってる程度じゃ見分けがつかないみたい。
なんで見分けがつかないのか、どうして気づかないのか。
正直、私には理解が出来なかった。
大きくなれば判るだろうと想っていたのだけど、大人になった今でも解らないままだ。

あ、判った!
もしかしたら、本当は気づいているけど気づかないフリをしているのかしら!?
事実を知るため、私は姉の淵子と入れ替わる。
実は、大人になった今でも時々入れ替わってるの。
みんなは気づいたかしら?

この入れ替わってるときが一番興奮する。
いつバレるのかドキドキしながら待ち望んでる。
大人になった今でも姉を誘うのだけど、最近の姉は冷たい。
昔はどんなワガママでも引き受けてくれた、遊んでくれた優しい姉。
今は、勝手にしろと言って相手にしてくれない。
でもね?
この遊びは一人じゃできないの。
だって、私達は二人で一つなんだもの。
どちらか片方が欠けるなんて有り得ない。
欠けてるなんて、可笑しい話デショ?

ここ最近、お外に出ることが少なくなってきた。
よくはわからないけど、そういう時代だからっていうので内心諦めてる。
…………刺激が欲しい。

そう思った私はその日の夜、テキトーに話をつけて姉を晩酌に誘った。
ここ最近の自粛とかでイライラしてる姉を誘導するのは容易かった。
どんなにお硬いガードでも、お酒のチカラを借りれば隙きを作ることは造作もない。
今思うと、突然の晩酌は流石に不自然だったのかもしれない。
でももう、泥酔させちゃえば関係ない。

……ごめんなさい。
泥酔というのは嘘。
本当は泥酔かもしれないレベルで飲んでるけど、そこまで呑んでないの。
あの、ほら。
大酒呑みの事をウワバミって言ったりするじゃない?
でもアレはあくまで普通の人が飲める範囲での話だから、私達の基準では表現し辛いのよね。
恐らくだけど、普段から私達が普段飲んでるお酒の量は普通の人の力量を軽くオーバーしてる気もするし……。
普通の人が私達と同じ量を飲んだら大変な事になるのは間違いないわね。

で。
考えに考えた結果、普通の人の基準で言うなら「泥酔」に近いかもなぁって想ったのだけど……まあ、そんなことは置いといて。

そこそこ強い姉を酔わせた私は、ガードが緩くなった姉に久々に取り替えっこを提案してみた。
姉は思いの外、すんなり承諾。
その日、私と姉は久々に入れ替わった。
子供の頃はお互いの衣装だけを交換してなりきるだけで満足だったけど、大人になった今では物足りなくなっていた。

そこで私は考えた。
刺激が欲しい。
もっとみんなを驚かせたくて、髪の色まで染めてみた。
元々の灰色の髪を真っ白に染めた姉と、真っ白だった私が灰色に染まる。
さすが姉妹ね……。
一瞬、そこに姿見があるのかと思ったわ。
これなら家族が見ても、パッと見ただけじゃ分からないでしょうね。
より完璧に近い取り替えっこ。

取り替えっこ。
それは外の人達と家族を簡単に騙せる遊び。
私達は今日も入れ替わる。