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eat me!

青木×薪、くだらない思い付きです。薪さんは家事できないイメージがあります。関白宣言ばんざい。


eat me!


卵…ハム…小麦粉…牛乳。
「……」
薪は冷蔵庫を開け放ち、途方にくれていた。
今日は青木は帰ってこないかもしれない。

なぜなら僕が膨大な量の仕事をあいつに任せたからだ。
『時間がかかる作業だが、焦らずやれ』と。
『焦らず』とちゃんと言ったのに。


「徹夜するバカがあるか…」
そう独り呟くと、再び冷蔵庫の中を見つめる。
卵…卵焼き?ハム…そのまま、牛乳…飲み物、小麦粉……??

薪は頭が良い。しかし致命的に食べ物の足算が出来なかった。
しかし、取り敢えず腹拵えをしなくては。
もう半日以上コーヒーしか飲んでいないし、外に買いに行くのは面倒くさい。
取り敢えず在り物で済ませてしまいたいのだ。

薪は冷蔵庫の中身をひとしきり手に持つと、キッチンへ向かった。
がたん

ばきっ

ぐしゃ

異様な音がキッチンに響く。

「……」


結果、薪は耐熱グラスと牛乳を持って電子レンジを使った。


「ただいま帰りました〜」

「おかえり」
「もう全然終わらなくて…諦めて明日にすることにしました。あ、もう何か食べました?」

だからゆっくりって言ったじゃないか。今までは僕一人だったから大体外食で済ませてたけど、なまじ色々あるから何か作ってみようかと思ったんだ。

だから。
「僕は悪くないからな」
「へ?」

こちらも振り向かずに言ったその台詞を、数分後青木は理解する。

「何があったんですか…キッチンで…」

「…早く帰ってこないお前が悪い」

「はいはい、また何も食べてないんですね」
「……うん」


はい、グラタンですよ。ちょっと夜に重いかもしれないですけど。


青木は食べ物の足算が得意だ。

「薪さんも、何か一つ位料理出来たらいいんですけどね…」
「意味無いじゃないか。どうせお前が作るんだし」
「もう少し男のロマンとかを分かって下さい…」

エプロンとかですね…と何やら下らなさそうな話が始まったので、薪は目の前で湯気をたてるグラタンにぐさりとフォークを突き立てた。

だってどうせお前がバランスがなんだとかいってあれこれ作ってくれるから、僕は覚えなくてもいいじゃないか。
いや、覚えないし覚えたくもない。

これからも。


「美味しいですか?」
「ん」


(終)

密室(2)

「絶対、無理だ…っ」

散々薪の口唇を貪ったあと、熱のこもった瞳で青木はささやいた。

薪さん、口でシてください


「そんな事…」

いやだ…と視線を逸す薪に、これでもかという程に嗜虐心を煽られる。

「ここじゃ普通にするのは難しいし、どうしたらいいのか…」
「し…知るかっ」

「でも、薪さんだってこのままじゃ苦しいでしょう?」

青木は見透かしたように、薪の熱に触れる。
「…っ」
「ちゃんと、俺もあなたを楽にさせますから」
ね、と見つめられれば、どんなに嫌でも、怖くても、まるで魔法の様に。

青木の前に膝をつかされると、嫌でも高ぶったそれが目に入ってくる。

「やっぱり、無理…」
「全部咥えなくてもいいですよ」


そう言って後頭部を押さえられ、薪はおずおずと口をつけた。


ちろりと舌を這わせる、変な味はしないが、やはりそれは熱い体温を持っていて、妙に気恥ずかしい。

「ん…ふ」

「薪さん…っ」

自分の行為に青木の眉が快感に歪められるのを見ると、なんだか愛しさを感じて。
薪は腰が引けてしまわぬよう、軽く握りながら、手や舌を使っていく。
「…っ」

青木は眼下で繰り広げられる行為に、すぐにでも達してしまいそうになるのを堪えた。

赤い舌を覗かせ、時々伺うように涙目で見上げられては、堪らない。

「薪さん…っ」
「…んーっ」

思わず腰を進めてしまい薪は苦しそうにぎゅっと目を閉じる。

ごめんなさい、と謝りながらも、腰が揺れてしまうのは押さえられない。

いつもはプライドの高い、非常に優秀な上司である彼が自分のものをいやらしく咥え、夢中で舌を這わせている。その背徳感は、青木を追い詰めるには十分だった。


「…もう…っ」
「…!」

びくびくと脈打つそれは、薪の口唇から的をはずし、その美しい顔に熱を放つ。

「……」

呆然と青木を見つめる薪の小さな口元や頬には、自分の欲が飛び散ってしまっている。

「わ…す、スミマセン!!」
なんだか酷く彼を汚してしまった気がして、急いでハンカチでそれを拭う。

「…青木」

「は、ハイ…っ」

「お前…なんて事するんだ…?」

この僕に顔射だなんて…。

微笑を浮かべてはいるが、全く目が笑っていない。
やばい殴られ…
『中に誰か居ますか!応答してください!』
頭上から突然鳴り響いた第三者の声に、二人は顔を上げる。
「あ…助け…薪さん!助けが来ました!」
二人居ます、と緊急用のスピーカーに応答する。

『すぐに扉を開けますので御待ち下さい!』

約1時間もの間、二人を閉じ込めていた小箱は、セキュリティサービスの手であっさりと開かれた。

「はぁ、本当に良かった…」

「…そうか。僕はちっとも良くなかった」

「そ、そういう意味じゃ…」

「青木」

「はい…」
横目でじろりと睨まれ、身を固くする。
「後で、覚えてろよ」

覚えてろって…。
青木はこの上ない恐怖を感じ、完全に機嫌を損ねてしまった薪の背中を慌てて追いかけた。


(終)

密室(1)

青木×薪、R18、薪さん初めてのアレです。何書いてんだろ(笑)



密室


「ぅわあ!」
激しい衝撃、内臓が浮上るような不快な感覚と共に、機械仕掛けの小さな箱は8階のランプを示したまま停止した。


手のに持っていた資料は無残に散らばり、足元を埋める。

「こ、故障かな?」


セキュリティになんとか連絡をとろうと、何度もボタンを押すが、カチカチとなるだけで、一向に応答がない。
「な、なんで…」

青木の顔から血の気が失せる。もし、ワイヤーのトラブルで急降下でもしたら…。

いや、それよりも今は…。

「薪さん…?大丈夫ですか?」

隣りで先程から一言も口を聞かない彼が心配で仕方がなかった。

「……」

「大丈夫です、すぐにセキュリティサービスが」

指が白くなるほど、きつくスーツの裾を掴み、俯いて立ちすくむ薪に、青木はただならぬものを感じ、慌てて薪の体を抱き締める。

「…っ」
「大丈夫、大丈夫ですから」
「狭い所は、嫌だ…」

薪が窮屈を嫌う事は知っていた。
しかし今までこういった緊急事態に遭ったとしても青木より遥かに冷静だった彼が、今は細い肩を振るわせている。


「薪さん…っ」

自分の胸に顔を埋めさせ、何も見えぬよう強く抱き締めると、今にも崩れてしまいそうな身を預けた。

細い柔らかな髪を撫で、少しでも安心出来るように優しく励まし続ける。

「こっちから緊急連絡ボタンが作動しなくても、外部が異変に気付いてすぐに助けてくれる筈です、だから心配しないで…」


「…直ぐにって」
直ぐにって何時だ。

薄く涙をため、縋る様に見上げた彼の表情に、背筋に恐怖ではない何かがぞくりと駆け抜ける。


「……」
「…青木?」

「スミマセン薪さん」
「…!はぁ?!」


寄せ合った体の間に、この現状に不似合いな熱を見つけてしまい、薪は素頓狂な声をあげた。

「何でっ、何でこの状況で…!お前っ」

「スミマセンってば!でも薪さんがあんな顔するから!」
「全く意味がわからん!もういいっ!離れろバカ!」


しかし青木の長い腕が、薪の体をがっちり絡んで離さない。
「何考えっ……」
「こういう事してた方が、気が紛れますか…?」

背を指でなぞり、噛み付くようにキスをする。
「ん、ゃっ…青木!」
「大丈夫、おそらく監視カメラも作動して無いです…」
「んぅ、ふ…ぁ」

舌を吸われ、歯列をなぞられ、徐々に思考を奪われていく。
足の力が抜け、思わずその大きな腕にしがみついてしまう。
「っ、ここで、しましょうか…」
「何を…っ」

何を?
分かってるくせに、わざわざ聞くのは、良いって事ですか?

青木は薪の体を壁に押しつけ、再び口唇を塞ぐ。
体の奥をどうしようもない疼きが支配して、止まらない。

「薪さん、お願いが…」

あなたとデート(2)

白いシャツに細身のタイをゆるく締め、下はブラックジーンズ。

さらりと羽織っている黒いテーラードジャケットの胸元にはチェーンブローチがさりげなく煌めいている。

雑誌の中から抜け出て来たようなその姿に青木の目は釘付けになる。
「ま、薪さ…っ」

今までスーツ姿やシャツ一枚だったりは見てきたが、こんなにきちんと私服を纏っている薪を見たのは初めてだった。

(普段も異常に若いけど、私服だと余計に…ていうか可愛い!もう本気でいくつかでわからん…)

これを連れて歩くのかと思うと、改めて自分の格好が恥ずかしくないか見直してしまう。

「なんだ?もう行くなら、車をだしてこい」「はい…」

この人自覚無いのか…。さらわれたりしたらどうしよう…。
そんな一抹の不安を胸にしまいこみ、青木は目的地に車を走らせた。


「わぁ、凄い人ですね!」
「随分と人気があるんだな」
流石にオープンしたてなだけあって、水族館は人でごったがえしていた。
到着して早々薪は気持ちが折れそうになる。人込みは得意じゃない。

「っ」
いきなり手を握られ、驚いて顔を上げると、青木のいたずらっこのような笑顔があった。
「大丈夫、誰にも見つかったりしませんよ」
こんなに人が多いから、と笑いかける。

「…どこにいても楽しそうな奴だな」

そういって少し顔を赤らめながら握り返して来た手が愛しくて、青木は思わず顔がにやけてしまう。

手を繋ぎながら、広い水族館の中をゆっくりと見て回る。

(完っ璧にデートだ…)

喜びを噛み締める青木を余所に、意外にも薪は水族館を満喫していた。


先程から分厚いガラスに顔を近付けてみては、水槽の内部をじっと見ている。
「そんなに見つめたらハコフグが照れちゃいますよ」

「ハコフグ?どれ?」
これです、薪さんの目の前にいるなんとなく四角いやつ…。
と青木も少し屈んで、ガラスに顔を近付ける。
「あ…」
すぐ横に薪の横顔がある事に気付いて青木は赤面する。

ゆらゆらと、水槽の光が大きな瞳に映って輝いていて、もう説明どころではなくなってしまう。
(…綺麗だなぁ)

「…青木、どれだって?」
振り向くと青木は水槽でなく自分をじっと見つめていて、薪はかぁっと顔が熱くなる。

「〜!魚じゃなくて僕を見にきたのかお前はっ」


あまり沢山話した訳では無かったが、二人はほとんど全ての水槽を時間をかけてゆっくり見て回った。

青木には圧倒的に魚より薪を見つめる事に夢中になっていたが…。


「いやー、楽しかったですねぇ」

出口付近に造られたカフェに二人は立ち寄り、歩き回った疲れを癒していた。

「思ったよりはな…というかお前はろくに見てないだろ」

「楽しそうな薪さんを見るのが、楽しかったです」
「……」

あ、そうだ、ちょっとここで待ってて下さい。
青木は席を立つと、カフェと隣接した土産物屋に入っていった。


(まさか職場に土産なんてバカなこと考えてるんじゃ…)

「お待たせしました」

戻ってきた青木の胸元には大きな包みが抱えられていた。

「これ、薪さんに」


そう言って取り出したそれは。
「ハコフグ…?」

大きなハコフグのぬいぐるみ。
「はい、薪さんすごく見入ってたから、気に入ったのかなぁと思って!」
「……」
薪はそのぽかんとした顔のぬいぐるみを、じっと見つめる。

ぬいぐるみなんて…僕の歳忘れたのか?

それに、僕は結局どれがハコフグか判らなかったのに。


お前が僕ばかり見ていて説明を忘れたから。
「あ、気に入りませんでした?」

スミマセンと頭をかく青木を見ていると、なんだか言いたかった文句もどうでもよくなってくる。

「…ふふっ」
「え、俺なんかしましたか!?」
薪は珍しく声をあげて笑った。
慌てる青木があまりにもおかしくて、可愛くて。
「いつまで笑ってるんですか〜」
「あはは、青木、…はぁ、ちょっと、耳貸して」

「はい?」


素直にテーブル越しに近付いた青木の頬に、薪は軽くキスをした。

「…な、薪さ…」


「ありがとう」

薪は天使の様に微笑んで、はっきりとそう言った。



今日ばかりは青木も、周りの目がある事に感謝した。
もし居なかったら、すぐにでも抱き締めてしまいそうだった。



きっとどんな夜景も、花火も、美しい風景も、この人の前ではただの背景になってしまうのだろう。


「そんなに驚かなくても。大丈夫、こんなに人が居るんだから」

誰も気に止めやしないさ。


そういって薪は、青木の気も知らず、悠々とグラスの氷を掻き混ぜた。



(終)

あなたとデート(1)

青木×薪、R指定なし、もうタイトル通りですみません。


あなたとデート


『お台場に巨大水族館が誕生。トンネル型の通路で白イルカたちを間近で見よう!』


昼休み、休憩室のテーブルに置かれていた新聞に大きく載ってた広告を見ながら青木は頭を抱えていた。

これは…是非行きたい!…けどこういうの興味なさそうだしなぁ。
誘うなら、もっと大人っぽい所の方がいいだろうか。
むしろ忙しいしくてそれどころじゃないかな…。


あれ?ていうか、今さら気付いたけど俺って薪さんとデートした事ない…?


薪の家に転がりこんで早数週間経つが、それらしい事をした事がない。

そりゃあ大の大人の男二人が毎週の様にデートっていうのも不自然だけど…。

一度もっていうのもなぁ。キスとか、あんな事までしておいてデートしたことないって…。

(俺って…なんか駄目な男かも?)

青木は一人がっくりと肩を落とした。
ひとしきり一人百面相をした後で、今度は背筋をぴんと張り直すと、新聞を片手に室長室へと向かった。

「薪さん、これ見てくださいよ!」

新しく水族館!出来たみたいですよ!
努めて明るい声で話し掛けると、非常に冷たい目線が返ってきて、青木は冷や汗が出て来るのを感じながらも懸命に笑顔を作る。

「ふぅん、水族館ね」
「……」
ですよね、興味ないですよね。スミマセンでした…。

「た、ただ一緒に出かけたいなぁと思って…!それじゃあ、お仕事中失礼しました…」

「…チケットはもうあるのか」
「はい?」

「まさか、長蛇の列に僕を並ばせる気か?」

「!!」

今すぐ買ってきますっ
「仕事が終わってからにしろっ!」


やった、やった!まさか来てくれるなんて!
(誘ってみて良かったぁ〜!)
再生中のMRIモニターに向かって一人ガッツポーズを決める青木は、それはそれは不気味だったという。


「薪さん、薪さん」
起きてください!出かけますよ!
ゆさゆさと激しく体を揺すられ、薪は強制的に起こされた。
「なんだ一体…今日は休みなんだから…」
「そう今日は休み!水族館の日ですよ!」


なんでお前はそんなに元気なんだ、と言おうとしたが、青木があまりにも『お出かけを楽しみにしている子供』みたいで、何も言えなくなってしまった。
もうすっかり着替えを済ませ、うきうきと朝食の支度をしにいく青木の背中をみて、薪は苦笑した。


「薪さん〜準備できました?」
着替えてくる、と言って部屋に入っていったきり中々出てこない。
また寝ちゃったりしてないよな…?
心配に思い扉に手を掛けようとした時。

向こう側から激しく開けられた扉が、青木の顔を直撃した。
「痛ったあ!!ちょっと薪さんなにするん……あ」

痛みが吹っ飛ぶという事は本当にあるのだな、と青木は思った。
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