想いを埋葬(丸井)


 落ち着きがないとはよく言
 われるけれど。そしてそれ
 は確かにそうなのだけど。
 だからと言って焦って告白
 したのではけしてない。こ
 ればかりは神に誓える。な
 のに。丸井ブン太という男
 は「ばっかじゃねえの」と
 笑いとばして、あっさりと
 。私の一世一代の告白とゆ
 うものをあっさりと、流し
 てしまった(ひどすぎる)。

 考えてもみろよ。と、さっ
 きと打って変わって真面目
 な顔をすれば、男はつらつ
 らと言葉を並べてみせる。
 「気のせい」「気の迷い」
 「錯覚だ」なあんて、どう
 やら彼はこの告白をなかっ
 たことにしたいらしい。悔
 しくって「だいっきらい」
 なんて思ってもみないこと
 を言ってみる。

 そうしたら、「嘘吐き」っ
 て男は笑うからもう一度声
 を大にして「きらい!」は
 っきりと。まあ嘘なんだけ
 ど。げらげら笑う男はひど
 い奴なのに、それでも好き
 だと思うあたしは確かに馬
 鹿だ。大馬鹿者だ。

 「ばっかみたい」

 最後に男がくれた言葉は、
 「お前が友達で良かった」
 馬鹿にしてる台詞に怒って
 いいはずなのに怒れないな
 んて、どんだけ馬鹿なんだ
 自分。


想いを埋葬

埋めてしまえ








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