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『売国奴』というのは、確かに古めかしい言葉ではある。このような言い方は、グローバル化した現代には時代錯誤に見えるかもしれない。しかし、いつの時代にも、売国奴というのは存在するのである。ただ、昔と違うのは、国の売り先だけなのだ。
かつて、売国奴は、自分の国を外国に売った。では、平成の売国奴たちは、日本をどこに売ろうとしているのか。アメリカか?中国か?
違う。彼らの売り先は、アメリカとか中国とかいった『国家』ではない。グローバル化した資本なのだ。つまり、グローバル資本がしこたま儲けられるように、日本を『構造改革』する。国を安値で売り飛ばすには、デフレの方が都合がいい。これが、現代の売国奴たちの手口なのである。
実は、日本だけではない。アメリカという国家もまた、売国奴たちに乗っ取られ、グローバル資本に切り売りされてきた。その結果が、一%の富裕層が国富の25%を占有するという超格差社会や金融危機なのである。あの『ウォール街を占拠せよ』という運動は、売国奴に対する抗議に他ならない。
お隣の韓国でも売国は行われている。米韓FTAが締結されたとき、日本では『主権国家同士が合意したのだから、韓国が一方的に損をするはずかない』などと言う者が後を絶たなかった。だが、違うのだ。米韓FTAは、アメリカと韓国という主権国家の間で合意されたのではない。その国家を乗っ取った売国奴たちの間で合意されたのだ。そして、韓国の売り先もまた、グローバル資本である。
TPPも同じ構図である。アメリカは、TPPによって日本の市場を奪い、輸出を伸ばそうとしている。しかし、アメリカの輸出構成は、約15%が農業であり、約30%がサービス(銀行、保険、法務、会計、コンサルタント、マスメディアなど)である。アメリカの農業は大規模効率化が徹底しているから、たいして雇用を生みはしない。サービス輸出も雇用を増やすものではない。結局のところ、TPPで得をするのはアメリカという国家ではない。ワシントンを動かしているグローバル資本なのだ。
グローバル化した時代には売国など流行らないというのは、根本的な間違いである。むしろ、世界中で、グローバル資本に国を売り飛ばしす大バーゲンセールが繰り広げられている。もっとはっきり言えば、グローバル化とは、国を売り買いすることなのだ。 世界はまさに、売国奴の全盛時代を迎えているのである。
それでも『売国奴』と罵るのは、不適切だとおっしゃられるか?では、お伺いする。テレビで『日本は外圧がないと変わらないから、TPPを梃子にして改革するしかない』などとほざいた評論家や元官僚、あるいは現役の国会議員を見て、何も感じないのか。日本人を侮辱する発言だとは思わないのか。こんな台詞を人前で平然と吐ける奴らは、売国奴でなければ何と呼べばいいのか。
だから、何の躊躇もなく宣言させてもらおう。
『売国奴に告ぐ!神妙にお縄を頂戴しろぃ!』

2012年2月              中野剛志
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