夕暮れ時、貴方と、



からす なぜ鳴くの
からすは山に
かわいい七つの子があるからよ
かわいい かわいいと からすは鳴くの
かわいい かわいいと鳴くんだよ
山の古巣へいってみてごらん
まるい目をした いい子だよ

「七つの子」。
夕暮れ時になると、俺は不意にこの歌を口遊んでしまう。
お家へ帰る歌。
家族を想う歌。
いつ覚えたのか、でも鮮明に蘇る。
義母と過ごした温かいひと時の事。
彼女は、朝も夜も働き通しだった。
一緒に居た事など、俺が18で家を出るまで、本当に本当に僅かだった。でも、それでも遺っているのだ。心の中に。
実子でない俺を、とてもとても大切にしてくれていた事…。
その義母が亡くなってもうすぐ7年になる。
家など、家族など、俺とは無縁のもの。
持ちたいとも思わない、思えない。
だって、怖いから。
けれど守りたいと思う。
だって、この世界の温かいカタチだから…。

4月に出会い、最近は割と親しくなってきた鎮也さんは、そんな「守りたい」人の一人だ。
彼にも温かい家庭があるのだろう。
そう思うと、俺の出しゃばるところなど無いのだと背筋が冷える思いをする。でも、どうしても放っておけなかった。
身を離そうとすると、垣間見える寂しさが、眼に張り付いて放れないからだ。

俺は今日も独り、歌っていた。
ちょうど、夕空が綺麗に見える場所。
誰も来ないであろう、基地の中の端っこで。
でも、彼は現れた。
いつもより柔らかい、温かい微笑みをして…。

つづく…。

鎮也さんside→「夕暮れ時、あなたと、

話題:コラボ絵
「こころわけ」
鎮也さんと慶龍

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「こころわけ」では、慶龍と鎮也さんとで同じ記事を上げることがあります。
でも、人の心は十人十色。
同じ時間と場所を共有していても、気持ちや感じていることは必ずしも一致するものではありませんね。そういった違いをちょこちょこっと、お互いに加えていますので、鎮也さんsideも一緒に見ていただけたら幸いです。

今回は前々回、「4月の貴方と」の後日話になります。四月の後半ごろかな…。
この後のことも、描きあがり次第更新します。鎮也さんsideと併せて読んでいただけたら幸いです*

Rinaちゃん、ふみやんありがとう!

Thank You!
 +分ち合った日々+*09/03 20:32
ToP
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