8月13日0時

「もう一軒行くか?サシス」
「おっいいね」
サシスの昔話を聞いて、黒斗は次の呑み屋に行くことを勧めた。
「いつも、悪いから今日は俺が払うぜ」
「いやいや、ここは俺が」
「じゃあ割り勘で」
酒が回っているのか、2人は笑って割り勘という選択をした。
バーを出て外。黒斗は、腕時計をみると深夜23時59分。歩いて少したった0時。
「ねぇ」
「わぁっ」
女の声がして、驚いて二人は後ろを振り向くと伊沙坂識夢羽愛が仁王立ちして立っていた。
「‥随分長かったわね。何時間さっきまでいたの?」
「関わったことがないが相も変わらず、目つき悪い姉ちゃんだな。いい身体してるのによ」
「へぇ。あたしの身体が目当てだったらいつでも相手してあげるけど?でも、その前に怖い旦那を相手することになるけど」
「じゃ、遠慮しとくわ」
黒斗は、頭をかき言った。
「残念だね」
「くく。興味深い話だが、どうかしたのか?美しい女性がこんな深夜に出回るのは紳士道を貫く俺にとってはいただけないなぁ。危ねぇぜ」サシスは言った。
「まぁ、この世界最強の悪魔に向かって襲うなんて馬鹿いないと思うけど。
ねぇ、それよりさ。新月‥じゃなくてママの親友の誕生日祝うんでしょ?」
「ママって誰だよ」
「くくっ。アシュラさんのことだよな?」
「うんそうそう。」
夢羽愛は、腕をあげる。
「ねぇ、あたしも仲間に入れてよ。
とっておきのアップルパイ作ってあげるから」
「アップルパイ‥いいな」
黒斗は、普段から濔音の作った甘いケーキを食べているのであっさり味もいいかもしれないと感じた。
「でさ、あんたかサシスにお願いがあるんだけどいい?」
「お、なんだ?」サシスは機嫌良く聞く。
「あたし、0だからさ。買った物をあげると、全て0にしちゃうからさ。あたしの分までプレゼント買ってきてくれる?」
「全てを0に?どういうことだ?」
「ああ‥つまりさ」
と近くにあった自動販売機にコインを入れて、缶をとり出すと消えた。
「!マジか」
さすがの黒斗も驚く。
「自然から出来てるものは、新月様のおかげでちゃんと持てて料理とかは自分で出来るんだけど、物は買えないし絵とかは全て数字で見えるから、描けないんだ」
「新月様?」
「あたしのいる場所は新月を信仰してる星なんだ。新月は五穀豊穣と知恵と母性の神だからね。新月は始まりの月。0の月とも呼ばれてる。0にとっては感謝すべき信仰神ってわけ。ということで、どっちかプレゼント買ってきてね」
「ほいほい」
「ちゃんと買うんだよ!」
そう言って夢羽愛は行こうとした。
「セッションしようぜー夢羽愛ちゃん」
そして、止まる。
「いいよ。あんたのドラム最高だから」
0時1分になると、夢羽愛は去った。
「くくっ。相変わらず突風のようだったな」
「濔音は、捻くれものだがあの女は直球型だよな」
どうやら、あの腹黒大佐はとんでもない人物のようだ。黒斗は、そんなこと思いながら携帯に手を伸ばし濔音にメールを打った。
「おい、サシス」
「ん?どうした?」
「さっきの女の腹黒大佐へのプレゼントは任せろ。お前は他やることがあるんだろ」
「‥くっく。サンキュー。黒斗さん。ところで明日は、濔音ちゃんとデートか?」
「残念ながら人を愛する殺人鬼様は、色恋沙汰には興味ないからデートなんて甘いものは分からないらしい。残念だ。ああ残念だ」
「くく。黒斗さん実は酔ってるだろ」
「ああ‥ばれたか」

つづくー