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#1 始まりの月B

とりあえず、街灯の明かりと
車の連なる明かりが見える所に
向かう為、真っ暗な駅付近を
後にしようとすると、
 
目の前に1台のタクシーが
止まった
 
「ありがとうございました」
そう言ってタクシーの中から、
1人の女性が降りて来た
 
「あの…ちょっと良いですか?」
人に会えた安堵からなのか、
うちはとっさにその人に
声をかけてしまった
 
「はい」
暗くてよく表情は見えなかった
けど、愛想の良い声が返って来る
 
折角だから、泊まれる場所を
聞く事にしてみる
 
タクシーに乗れば問題なかった
のだけど、すぐに去ってしまった

#1 始まりの月A

外に出ると、星のよく見える
晴れた夜空が一面に広がっていた
 
空気も清々しく、4月にしては
少し肌寒いくらいだ
 
何時間も乗り物に揺られて来た
疲れをほぐす様に、
深く深く息を吸って吐く
 
と同時に、体が一気に
解放されたみたいに
軽く感じられた
 
出発して来た朝とは違い、
知らない街に来る事にもう
不安を抱いてはいなかった
 
計画性が全くなかった訳で、
この街に来るのにどこで何に
乗り換えたのかは勿論、
ここがどこのどの街か
さえもわからない

#1 始まりの月

最終輌で最終駅に着いた時には、
もう時計の針は11時をさしていた
 
見知らぬ街の小さな
駅のロビーで、
自動販売機の光だけが自分と
公衆電話を照らし出している
 
誰も降りて来なかった、
自分だけを乗せて運転していた
汽車の事を考えると、
ここは結構な田舎街で
ある事が伺えた
 
田舎街で、しかも平日の夜なら、
泊めてくれる民宿
くらいはあるだろう
 
初めて来た土地で少しでも
体を休める場所をさがす為、
うちは駅の外に出た
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