でてくるひとたち


隠す場所を探して


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つづき。
まあまあきわどい話かもね。嫌な人は見ないで。





月の出ていない夜だった。だから、こんなに闇が深いのかもしれない。


車までゆっくりと歩いて戻った。息が白い。それでも寒くはなかった。


また元の位置に戻る。ゆうが運転席で、わたしが助手席。ねえ、この助手席には誰か他の女の子も座るの?知りたくないから、知らない世界。わたしはゆうの世界のほんの一部?


ゆうが望んでいることはわかっていた。でも、なんだか照れくさくって、わざとに黙ってただ座っていた。


ゆうの車に、わたしのiPhoneをつなぐ。グリーン・デイの21 Gunsを流す。


「グリーン・デイ?」

ゆうがすぐに気づいて、そう聞く。American Idiotを貸したことがある気がする。

「そう」

「『かえのチョイス』って感じがするな。グリーン・デイ」

「そう?」

ちょうどゆうと出会った頃、グリーン・デイを改めて聴き始めたから、わたしの中では『ゆう』って感じがする。


しばらくふたりして黙って聴いていた。


カーステレオの音量を下げて、ゆうを見る。もう「そういう」雰囲気はできあがっていて、空気の密度まで濃くなった気がした。


馬鹿らしいけれど、お互い欲しいものはちゃんとわかっているのに。本当はね。


ぐずぐずしていると、そのうちにゆうがわたしの手をつかむ。ゆうの、もう熱くなってるそこに、わたしの手を持ってゆく。

「すぐ、こんなんなる」

ゆうが照れたみたいにそんなこと言うから、どうしようもなくきゅんて、した。そんな可愛いこと言わないで。

「口でやって」

ゆうがそう言う。またとろけてしまいそうになるくらい、優しくて穏やかに。そう言われるのを待っていた気がする。今度はわたしからゆうにキスする。また好きって言いそうになる。フェアじゃないから、言わないけれどね。


ゆうの硬くなったそれに触れる。ただただ快感に身を任せていてくれればそれでいい。ゆうがズボンを下ろしたから、そこに口づけた。


口でゆうを感じるのはなんとも言えず幸せ。喉まで深く咥えこんで目を閉じた。わたしじゃないとだめだって思って欲しい、なんて、馬鹿みたいな独占欲。

ゆうがわたしの肩をつかむ。

「気持ちええ。ほんまに」

それに、小さく頷いて答える。お世辞かもしれないし、わたしを喜ばせるために言っているのかも。それでも、嬉しくなってしまう。

フロントガラスが白く曇っていた。この濃くなった空気感を映し出しているみたいで、なんとなく恥ずかしくなる。誰も見ていませんように。


喉の奥の奥までゆうのを咥え込むと、それに反応するみたいに、わたしの芯が熱くなってくのがわかった。


ゆうが腰を浮かす。ゆうのが、もっと深くわたしの喉に届く。

「かえ」

苦しそうにわたしの名前を呼ぶ。

「ん?」

「いってもええ?」

「うん」

そう答えると、ゆうは深く深くわたしの喉を突く。そのまま喉の奥で熱く弾けた。


口の中で脈打つゆうを感じていた。甘くて苦くて少ししょっぱくて。それが、喉を滑ってゆく。


しあわせ。


あとで振り返れば、こんなことしているの、馬鹿みたいにくだらないのかもしれないけれど。それでも。


顔を上げて、また戻るのはゆうの車の助手席。軽自動車なのに、柔らかくてなんとも座り心地がいいの。ふたり黙って、しばらくぼんやりしていたと思う。

「あかんわ、もう」

息を吐き出して、ゆうが言った。

「あかん?」

ぼやけた思考で曖昧に笑いながら聞き返す。ゆうはそれには答えず、いたずらっぽい、いつもの顔で笑った。

そのあとはたぶん、自分だけ気持ちよくなって悪かっただのなんだの、ぶつぶつ言っていたけど、全部笑って聞き流した。

ゆうがわたしの下着に手を滑り込ませる。それもされるがままにしていた。そこは熱くて、とろけきっていて、ひくついているのだけれど。ゆうは気づいて笑うけれど。

「なにこれ?」

ゆうがふざけて聞く。

「さあ」

わざとに冷たく答えてみる。

「ええん?これで」

「いいねん、これで」

調子を合わせてふざけながら、そっとゆうの手を押し返して拒んだ。


深い意味はないよ。もうしあわせだったからこれでいい。


ゆうは不思議そうにわたしを見てから、わたしの髪をくしゃくしゃに撫でた。


はあ、いつまでもこんな風にしていたいな。だめなんだろうけどさ。

また道ですれ違ってどきっとする車種が増えてしまったね。なんて。






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12/10 00:19
ぶっくまーく






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