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千変万華メモ

話題:創作小説


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「むしろ、生かしてくれてありがとう、だし。」

生徒の言い様に目を細める。

「…祭りに便乗して、感謝祭ぽく
振る舞い酒でもするか?
ハテヒに手配頼んで。
なぁ。
回りからしたら、
『生まれてくれてありがとう』だろ。君は。
君がいて、世界は愉快だ。
…ねぇ?一折さん、サクヤ…」
返事を待たず、ふらりと床に身を横たえる。
すぐに、寝息に変わった。

「まだ寝るの!?」
「…………」
返事はない。
「いろいろやって、疲れてるんだろ。
…祭りは大概昼前あたりからさね。それまで寝かせてやれば?」
サクヤが、空いたベッドを指差す。
「…うん…。」
ズルズルと引きずると、ハーミテージが足の方を抱えた。
「ありがとう」
場所を移すと、それなりに広いベッドなのに、
カロスはくるりと、身を丸める。
繭の中にでもいるように。

「…お前の方が、ユカイだよ。」
ツンとつつく。

―――君がもし生まれてなかったら
『なんてつまらない世界なんだろう、て恐くなる。』
どこかで聞いた歌の一節が甦る。



「さて。私はこれで行くさね。」
「どこに?」
素直な質問に、サクヤは珍しく困ったように笑った。
「…交渉に。」

それだけ言って、姿を消した。


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