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多分それは、君が大切だから(SS)


話題:突発的文章・物語・詩

 団長とフェイタン。
 死ねた注意。

 もう団長のお言葉が死亡フラグにしか見えなくてカッとなってやった。

 蜘蛛はだいたい仲良しだけど、初期組は特に家族愛的な何かが強いと思ってる。

 とても個人解釈です。注意。
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ヤンデレイヅルさんの話

話題:二次創作文

 昔書いてたやつをサルベージして手直ししてみた。
 三番隊主従ヒャッホーしてた頃にヤンデレイヅルさん美味しいです(^p^)って妄想して出来た産物。
 SS編でのVS松本if話。隊長いないけど一応ホモォなので注意。あとナチュラルに死ネタ。

 色々とあれだから追記に収納しときます。

 あと携帯故障で消し飛んだベルツナ話を復活させたい。然り気無く連載ものだったからダメージでかいのよ( ノД`)…
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彼が全てを無くした日


話題:突発的文章・物語・詩

 世界など、本当はどうでもよかったんだ。

 その頃、僕は全ての者から救世主だと崇め讃えられてた。奇跡を起こす存在だと、世界で一番高い塔の真っ白な部屋に大量の本と共に閉じ込められていた。時折、世話係だという人間がやって来たけど、奴らは僕を人間扱いはしなかった。
 その頃の僕は、それすらわからずにただ望まれるままに願いを叶え、希望を叶え、奇跡と呼ばれる事を起こして、それだけだった。

 ある日、知らない顔の人間が人目を忍ぶ様に部屋へとやって来た。そいつは自分の事を「ただの泥棒」だと名乗った。そいつの目的は僕だった。その日、世界を救う為の救世主は姿を消した。

 僕の手を引くそいつは不意に「あんた名前は?」と首を傾げた。僕にそんなものはなかった。首を横にふるとそいつは大きな耳をピコピコと動かしながら困った様な顔した。暫く頭を傾げながら唸ったそいつは突然「よし!」と大きな声を上げて僕にその言葉を告げた。それからそれが、僕の名前となった。

 そいつは『リズ』と名乗った。大きな猫の耳と尻尾を生やした、綺麗な赤い髪をした人間だった。
 リズは僕に色々な事を教えてくれた。どれも教本には載っていない様な、だけど人間なら当たり前の様に知っている様なものだったらしい。リズと共に過ごし、色々な国や物を見ながら旅をしいく内に、少しずつ僕の中で何か変化が起こっていた。まだそれが何か迄はわからなかったけれど。なんとなく、この日が続けば良いと神とは違う何かに願った。

 そこは、戦場になっていた。僕の行方を追っていた奴らがついにやって来た。戦う術は誰に習う迄もなく知っていた。思えば、これが本来の僕の役目だったのかも知れない。リズと二人、武装した追ってからの逃亡劇が始まった。
 そしてそれは、彼女の腹から刃が突き出した時に終わった。崩れ落ちる華奢な体を支え、治癒の術を唱えようとした僕を止め、彼女は笑って「逃げなさい」と言った。

「あなたは生きなければいけないから」

 その言葉を最期にリズは動かなくなった。それからの記憶は余り覚えてはいない。気がついた時には周囲には無数の死体と夥しい血で真っ赤になっていた。彼女の綺麗な髪とは遠い、どす黒い赤だった。
 彼女と過ごした全てが走馬灯の様に走り、そしてもう二度とそれが叶わないと知った僕はその日初めて涙を流した。
 空は、静かに泣いていた。

 ある時、世界が戦火に包まれた。いつか訪れると云われていた厄災がついに姿を現した。人間共が僕を救世主と呼ぶのは、僕がそれを払う為に現れると予言されていたからだった。
 彼女の遺したナイフを握り締め、僕はそれに立ち向かった。彼女の愛した世界を、彼女と過ごした世界を壊されるのは嫌だったから。持てる力の全てを賭けて、希望と呼ばれる光と共に僕はそれに飛び込み、そして――弾かれた。
 それが、最期の記憶。



 不意に目を覚ました僕に声をかけたのは険しい表情をした少年だった。なんでも、近くの森で倒れていたのを見つけて連れ帰ったそうだ。
 無様にも、生きながらえたらしい事に内心自嘲した。「お前、名前は?」少年の問いに僕は少し考えて、こう言った。

「     」

 沈黙する者。
 彼女と共にあった僕の全てはこの心の内に。やがて僕は知ることになる。己が身に刻まれた呪いと、その絶望を。
 それはまだ、遠くない未来の話。

ある造花の話


話題:妄想を語ろう

「そういえばさ」

 大剣を構えたままそいつが思い出した様に口を開いた。人里に物の怪が出るという噂を聞いて、わざわざ退治しにこんな辺鄙な所まで乗り込んで来た物好きな女だ。

「あんた“なんなの”?」

 女の問いに僕はローブの端を摘まみ恭しく礼をして見せた。

「――見ての通り、ただのか弱い美少年だけど?」

「冗談。ただの人間がそんな“臭い”ワケないでしょ?」

「良いだろう? 元はお前ら人間の血(マナ)で咲いた花達だ」

 言いながら辺りに咲く色とりどりの花達を見渡す。あまねく世界の花々を一つ一つ集めて回った僕の大切な仲間達だ。痩せたこの土地で咲かせるには少々……いや、かなり骨が折れたが。

「なるほど。死の大地に花畑があるなんて頭のイカれたやつの妄想だと思ってたけど、そういう絡繰りだったってことね」

「栄養に適した餌を見つけるには苦労したよ」

「なんでも良いわ。敵よ、あんた」

 言い切って、女が大剣を振りかぶり突っ込んで来た。それを躱して、くるり。片手で弄んでいた傘を開き術を発動させる。

「――な!?」

 吹き荒れる風に花弁が舞い上がる中、女が大きく目を見開いたのがわかった。傘を差してにっこりと笑いながらひらひらと空いた手を振る。

「残念だけどお前と戦う気はないんだ。人間は下界にお帰り」

「――ちょ、待ちなさ……――」

 花嵐が強くなりその声は次第に聞こえなくなった。
 きっとあの女は自身に何が起こったかすらわからないだろう。かつて存在した魔術ですら人間達の中からは消えてしまった。世界から魔力の源が消えたあの日から、もうどれだけの年月が経ったのか、数えるのも厭になる。
 人間からも世界からも置き去りにされた僕は、それでも同胞(はらから)達と生き続けるだろう。いつか朽ちるその日まで。

「……ねぇ、そうだろう? “  ”」

 ――以降のページは破れてしまって読むことが出来ません。

臆病者の話(SS)


話題:創作小説

 自分の体が消えかけている。

 その事に気がついた時、自分一人で良かったと心の底から思った。いつかは訪れる終末。目覚めた瞬間からわかりきっていた事なのに、体の内側臓腑から凍てつく様な恐怖を、咄嗟に歯を食い縛り押し殺した叫びを、誰にも見られる事がなかった事実に言い表し様のないほど安堵した。こんな無様を彼らに見せたくなかった。この期に及んで生にしがみつこうとした惨めさを、見られたく等なかった。

 死ぬ時は一人で。
 そう自分で決めたじゃないか。

 だから一人、そっと仲間達の元を離れた。深夜、宿で眠る彼らに解けない魔法をかけて、姿を消した。簡単な話だ。はじめから僕という存在をなかった事にしてしまえばいい。人間には禁術として伝えられて来た記憶を操る魔法も、人間じゃない僕は使えた。それだけの話。さようなら。大切だった人達。せめて君達の未来に幸多からん事を。

 あの日から幾月か経った。
 そこは人里離れた所にある一面の花畑だった。月の光を浴びて白い花達が美しく咲いている。いつか、僕のお気に入りだと彼らに教えるつもりだった場所だった。
 手袋を取りそっと手を翳す。透けた掌から青ざめた月が見えた。このまま、夜の闇に溶ける様に消えられれば良い。綻びはもう体のほとんどに及んでいた。もう時間は残ってない。死は恐ろしくなかったが、彼らに二度と会えないというのが寂しくてたまらなかった。

 指先からだった。砂になる様にぼろぼろと瓦解していく。滅多に褒める事のない彼が綺麗だと褒めてくれた手が、崩れ落ちた。恐怖はない。怖くはない。だけど、気がついた時には僕は泣いていた。悔しくて仕方なかった。彼らと同じ人間じゃない事が、悔しくて仕方なかった。人間だったらきっと同じ時を生きていられたのに。人間だったら。

 そこからの浸食は早かった。
 意識すらも溶けていく。
 大切な人達の顔を思い浮かべると、それは薄く笑んで目を閉じた。
 唇が何かを紡ぐ。
 だけど既に音はなく。
 静かに、静かに溶けて消えていった。

 その日。
 臆病者の怪物が、世界からいなくなりました。


***

(心がもやもやする話が書きたかっただけですだいぶ弄ったけど元の話はもっとえぐい)
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