話題:メンタル
あれはそう…小学生低学年の頃だったか…
幼稚園の終わりに引っ越しをし、違う学区に来てしまったので、私には同級生に一人も知り合いはいなかった。
始めは小さなこと。
ランドセルの色が違うという理由。
私は入学して直ぐにイジメの対象となった。
とはいえ、今ほどは酷くないだろう。
裸にひんむかれたり、汚物を机の上に置かれたり、バイ菌と罵られたり…ゲテモノがなかったのが唯一の救いか…
それでも、死にたかった…
最初は親に泣いてる理由を聞かれて、イジメられているのを告白していたさ。そして、その話は学校へと連絡がいく。
担任教師は、その度に何度も学級会を開く。その度に、チクったと言って、またイジメられる。堂々巡りだ。
そのうち、同級生達も何故、自分達がイジメをしているのか理由が定かではなくなっていく。これといった理由はないのだ。みんながイジメてるから、イジメてるだけだ。集団意識というのは怖い。
イジメなければ、次は自分がターゲットになるかもしれない恐怖。それが集団イジメの心理だ。
私の父親は、そうそうに、この件から手を引いた。キリがないし悪化するからだ。
親に、自分で解決しろと言われた時には、親からも見捨てられたと思ったね。
そして、死にたくなった…

死にたくなってから、私は不登校を繰り返したり、休み時間は図書室へと逃げるようになった。遊びに誘われても応じない。それは、バイ菌(私)から逃げるという遊びだからだ。応じなければ、イジメようもないだろ?
接することを極力避ければ、イジメようもないだろ?
小さな私が考えた処世術は、それであった。
しかし、イジメは止まない。
死にたいという気持ちも止まらない。
担任も、もう呆れたのか、イジメはイジメられる方にも原因があるという始末。
まあ唯一の救いは、教師軍はイジメはしなかったな。特別な扱いはうけたが。
特別な扱い…私は優等生だったんだよ。本を読めば、本の中身を丸暗記できるほど記憶力がよく、応用性が高い。
おかげで、成績はトップだ!
イジメられてさえなければ、いうことなしの生徒だっただろうね。
しかし、その評価をもっても、私の死にたい病は治らなかった。
死にたかった…死にたかった…
苦しかった…ツラかった…
だけど死んだら負けだ。
間接的に殺したとしても、この世は殺人罪には問われないんだよ。むしろ、残された同級生…つまりイジメをしていた側のカウンセリングをする始末だ。
死に損って、やつだな。
でも私は行き着いた。
自分にも原因があると言われ行き着いた。
そう…それは四年生になった頃だったかな…

私が死んで特をするのは彼奴らだ。
イジメた痕跡をなくすことが出来るからね。
親が悲しむかなとも思ったさ。
迷惑かけるとも思った。
でも、それも一時的だ。人の記憶は移ろう。自分のいいように書き換えられる。
私が見つけた真実…彼奴らがイジメる理由…それは私が怖いのだと気付いた。
私は異質だったのだ。優秀過ぎた。引き落とさなければ、貶しなければ、自分達の自意識を守れないほどに…
それが理由。イジメる理由。こいつは自分達より下なのだと見ることで、自分達を保っていた…哀れな同級生達…
そう気付いた私からは、もう死にたいという気持ちが消えていた。
哀れな哀れな同級生…
接しないことがお互いのため…
私の優秀性は教師達が認めている。
私は、逆に同級生を見下すことで、自分を守ったんだ。
自分を殺そうとする自分から…
人は自尊心が著しく貶められた時に死にたくなる。ならば逆手をとればいい。
小学生中学年にしては、まあまあな結論だったと思うよ。
それを一人で思考し構築したんだからね。
それから先…また死にたい病が再発するのは、また別のお話。
結局のところ、イジメはなくならないが、自分の身は自分で守るしかないんだよ。
だって、一番の敵は、死にたいと思う自分の心…自分を殺そうとする自分なのだから…