阿選がああまで絶望深めてそこから逃げられなかった理由に彼らが仙だからってのは、盲点だったけど凄い腑に落ちた。確かに老いがあり寿命があれば、たとえ影となった自分に絶望しても遠からず互いに第一線を退く時が来る。劣等感と羞恥に身を焼かれた事実も、双璧と称された時代が遠のけばいずれ鎮火したかもしれない。だけど彼らに寿命はなくて、阿選は自分を影にした男をずっと頭上に戴き続けなきゃならないわけだ。