(さよならを告げたのは誰でしょう)
(お別れと手を振るのは誰でしょう)


産声を上げたその日から
秒針は鼓動に寄り添って

初めて触れたのは幼い頃
砂の落ちる硝子越しの音

繰り返し、繰り返し、降り積もる
区切られ、繰り返す、時間の儚さ

三本針に出会った延長線
文字盤の上の鳩の鳴き声

或いはオルゴール仕掛け
踊る人形と思い出の音色

チクタク、チクタク、廻り重なる
三本の指針、歯車の音と時報の声

連なる時間は束ねられて
数字と季節に振り分けて

暦と呼ばれた日常の地盤 
色とりどりの記憶の欠片

愛情を込めた特別な日も
亡き人の為の鎮魂の日も

絶え間無く、連なり、紡がれ往く
日めくり、記される、時代の流れ

昨日の夜は終わりを告げ
未来の朝に受け継がれる

様々な想いと事象と共に
未だ見ぬ世界に光が差す

白紙の上に標される記号
名付けられた歴史の狭間

一つの時代が面影を刻み
新たな時間が秒針を刻む


(はじめましてを唄うのは誰でしょう)
(おはようと目を開くのは誰でしょう)







平成と令和の幕間の作詩
【:†時の息吹き、別れ、廻り会う†:】