*匣(密室・空間)にまつわる怪奇譚。
*それは一つの違和感から派生する。
*日常と部屋の隙間からコンニチハ。
*時に知らないことは極上の幸福だ。
*どこかしらから刺さる異様な視線。
【:†四角い匣の怪奇・陸†:】
(背筋を走る冷たい感覚だけが)
(この光景を現実だと提示する)
いつからだったか感じ取った
僕以外の誰かの視線と気配を
念願の独り暮らし初めて迎える夜
何かが視界の隅で過った気がして
振り向いて見たけど何もいない
気の所為だったとやり過ごして
次第に浮き彫りになって行く違和感
拭い去れない根元に蓋をして数日後
ほんの僅かな境界線(隙間)から
否応なく躱せず視線が交わった
不意に唐突に押し付けられた現実は
きっとそのツケが回って来たんだと
恐怖と焦燥に歪んでいく視界に
大層愉快に嘲笑う異形が映った
(白い手 爪痕 高笑い ひしゃげた)
(頭痛 ひしゃげた体躯 心音 不通)
◇
いつの日だったか感じ取った
私以外の誰かの存在と意識を
泊まりに来た友人を招き入れた夜
何かが背後で蠢いた様な気がして
友人に訊いて見ても誰もいない
気の所為だったと苦笑し合って
次第に深いものとなって行く睡眠欲
記憶の奥の方へと追いやった嫌悪感
そんな些細な綻び(寝台下)から
不可解な雑音を耳元が拾い取る
不意に突然に友人に掴まれた感覚に
最期のフラグ回避なのだと叫ばれた
疾走と困惑に揺れ動いた視界で
血の気の失せた友人が震えてた
(白い刃 切傷 含み笑い 狙われた)
(悪寒 無作為 狙われた二人 逃走)
◇
それはいつの時代からだったか
部屋に居憑くと言う怪奇の存在
人と理を違えた其れ等は
いつの世にも傍らに在る
それが何を宿し纏っているかは
誰にも知る由も無いところの譚
(視界を埋める異様な光景だけが)
(この現状に警鐘を掻き鳴らした)
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続き>>>介錯的解釈文+あとがき。
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