*匣(密室・空間)にまつわる怪奇譚。
*それは一つの違和感から派生する。
*日常と部屋の隙間からコンニチハ。
*時に知らないことは極上の幸福だ。
*どこかしらから刺さる異様な視線。



【:†四角い匣の怪奇・陸†:】



(背筋を走る冷たい感覚だけが)
(この光景を現実だと提示する)


いつからだったか感じ取った
僕以外の誰かの視線と気配を

念願の独り暮らし初めて迎える夜
何かが視界の隅で過った気がして

振り向いて見たけど何もいない
気の所為だったとやり過ごして

次第に浮き彫りになって行く違和感
拭い去れない根元に蓋をして数日後

ほんの僅かな境界線(隙間)から
否応なく躱せず視線が交わった

不意に唐突に押し付けられた現実は
きっとそのツケが回って来たんだと

恐怖と焦燥に歪んでいく視界に
大層愉快に嘲笑う異形が映った

(白い手 爪痕 高笑い ひしゃげた)
(頭痛 ひしゃげた体躯 心音 不通)



いつの日だったか感じ取った
私以外の誰かの存在と意識を

泊まりに来た友人を招き入れた夜
何かが背後で蠢いた様な気がして

友人に訊いて見ても誰もいない
気の所為だったと苦笑し合って

次第に深いものとなって行く睡眠欲
記憶の奥の方へと追いやった嫌悪感

そんな些細な綻び(寝台下)から
不可解な雑音を耳元が拾い取る

不意に突然に友人に掴まれた感覚に
最期のフラグ回避なのだと叫ばれた

疾走と困惑に揺れ動いた視界で
血の気の失せた友人が震えてた

(白い刃 切傷 含み笑い 狙われた)
(悪寒 無作為 狙われた二人 逃走)



それはいつの時代からだったか
部屋に居憑くと言う怪奇の存在

人と理を違えた其れ等は
いつの世にも傍らに在る

それが何を宿し纏っているかは
誰にも知る由も無いところの譚


(視界を埋める異様な光景だけが)
(この現状に警鐘を掻き鳴らした)


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続き>>>介錯的解釈文+あとがき。



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