*匣(密室・空間)にまつわる怪奇譚。
*都市伝説の中で囁かれている現象。
*カラーバーと砂嵐の向こう側の闇。
*深夜に告げられる誰かの訃報の譚。
*明日の犠牲者は○○の皆さんです。
【:†四角い匣の怪奇・伍†:】
(どうか誰かそうだと言ってくれ)
(これがただの『悪夢』であると)
丑三つ時に生まれ来る怪電波は
此処とは違う場所を映す産声で
好奇心で渦巻くなら尚更のこと
己の中に奇怪なモノが蔓延ると
その脳に刻み込まれるだろう
誰かの弔いを告げる声が響く
積み重ねられた現実の残骸の
その上に浮かぶ見知らぬ名前
閉ざされたのは現への帰り道で
足掻けど藻掻けども生き止まり
開演のベルは心停止の音に似て
凍った背筋から絶望が這い寄る
思考乖離の迷宮で手招きする
赤黒い異形の虚空が開かれた
◇
四角く区切られた液晶の羅列は
此処とは違う場所を結ぶ装置で
高画質で多機能なら尚更のこと
現実ほど非なるモノが棲まうと
その目に焼き付けるのだろう
誰かの訃報を告げる幕が開く
垂れ下がった極色カーテンの
その向こうに見知らぬ廃棄場
開かれたのは夢現の最果てで
捨てられて棄てられた玩具箱
画面は一寸先の闇を引き寄せる
不吉は此処に手繰り寄せられた
砂嵐の隙間から浮かび上がる
無数の残像から喝采が上がる
◇
無作為に射止められた運命は
臨時の終身宣告に挙げられて
流れて行く名前無機質な数字
生きて来た軌跡は手折られる
訃報を告げる死刑宣告を
誰も知るよしすらもない
白塗りの奇人はケラケラ笑う
滑稽で残酷な原稿引き裂いて
『次はそうだな画面の向こうの君だ』
指差し耳元で最終警告画面が歪んだら
白の字で埋め尽くされた名前が
砂嵐に呑まれて絶ち消えて逝く
(御愁傷様でしたここで臨時放送です)
(明日の犠牲者は…オヤスミナサイ…)
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続き>>>介錯的解釈文+あとがき。
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