*これは季節外れの夏の日のお伽噺。
*遠い神話の記憶か近未来の災厄か。
*人が消えるその日まで記憶は廻る。



【:†水上都市と片翼の天使†:】



(それは記憶と言う魂が見せる残像か)
(或いは現に確たる意思を持った幻か)



水平線の真上を走る蜃気楼
これはとある夏の日の話で

雲の上高く漂う天空都市が
大崩落を起こしたらしいと

地上は混乱と悲壮に包まれ
(生まれ落ちたのはお伽噺)

天空都市が墜落死を遂げた
(海の上にて纏わるお伽噺)

月が廻り天空都市の命日になると
消えた都市が海に浮上するらしい

その光景を見た地上の人々は口々に
それを『水上都市』と呼んだらしい

デコボコな形の建物の輪郭線は
出来の良過ぎたオブジェの様で

水平線の真上を走る陽炎は
両足を無くした幽霊の様で

聞く処どうやらその周りを
何かが飛翔しているらしい

それはどうやら堕ちた天使で
片翼で飛び回っているらしい

たった一人取り残されて
青と碧の狭間で飛び回る

『忘れないでね』と唄う様に
『ここにいるよ』と叫ぶ様に

今は遠い昔、此処ではない何処かで
ある夏の日から続く不思議なお伽噺

今でも未だ、飛翔する片翼の天使と
浮かぶ『水上都市』の悲しいお伽噺

昇れない魂と沈めない記憶の残像が
ゆらゆらり揺れて呼吸を続けている

『メメント・モリ』、波風に転がる唄声
此処には忘れられ無い魂が浮遊している



(追憶からの忘却は原初の虚無と同等)
(故に魂は形をなぞり存在を証明する)







はい。皆様こんにちは♪
来月からいよいよ年末シーズンに突入する訳ですが心構えが全然出来ていません燈乃さんですっ!!(´∇`;)/{わぁ参ったな

取り敢えず。今年はちょいちょい部屋のプチ模様替えをやったので、大掃除はいつもやらない(出来て無い)処を重点的にやろうと思います。色々如何にかしないと←

さて。今回載せた創作文的作詩は、某消滅都市ならぬ水上都市のお話です。全体的にお伽噺風味ですが、角度を変えるとホラー風味にもなると言う作風にしてみました。夏の日と連呼している辺り季節外れ(シーズンクラッシャー)も良いトコです(爆)

今回の作詩の世界観構成を考えたのは、そんなに暑い日じゃなかった筈なんですが、綴ってみたら見事に季節外れ感満載に←

物語っぽく書いたつもりが、読み直したら怪談風味だなんて。夏の日で命日だから、何かお盆を連想させる感じですね。世界観はどちらかと言えば外国に近いですが、幾ら海外では冬に怪談をやるのが定番でも、流石にやり過ぎたかなと反省してます←

ちなみに。水上都市(建物含む)のイメージはフランスの『モン・サン=ミシェル』をイメージしてます。雰囲気としては、『クロノ・トリガー(古代文明編)』とか『空の境界(俯瞰風景編)』とかの墜落するシーンのアレコレが断片的に混ざってます。

忘れたくない人がいても、世界は忘却を抱きながら廻る。忘れる事は時として救済にもなる。故に人間と言う記憶媒体は、地球や世界に於ける海馬と同じ仕組みを与えられたのかも知れません。存在していた事を知る人間が消えない限り、記憶と記録は受け継がれます。それは遺伝だったり。文明や文化だったり。歴史だったり。或いは、無意識の形の無い魂そのものだったり。

今誰かが消えて仕舞っても、完全な忘却の訪れは大分遅い。欠落に辿り着くまで。
その人が思っているよりもずっと不完全な要因で、きっと世界は廻っているのでしょう。今までも。これからも。ずっと。



ではでは、今回はこの辺で☆



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