*眠りの淵にて揺らぐ意識が聞いた声。
*夢か現か振り向く先に見える深い影。
*語り継がれ深く業の根を張る怪奇譚。
【:†宵闇廻廊之口伝奇々怪々†:】
(静寂の宵闇へ耳を研ぎ澄ませれば)
(怪しくも仄暗い囁きが夢枕に立つ)
『ねぇ、お話し致しましょう』
『誰にも語られない物語りを』
嗚呼、現は無常、夜の夢こそが桃幻郷
明かりが灯る彼岸の橋に踏み出でる影
亡骸も銀の舎利も泡沫に溶けて
殻の器から飛び立つ極色の胡蝶
縺れ途切れて千切れた紅い絲の呪いを
紡ぎ合わせ繋ぎ合わせて貴方の首へと
口を交わす度に貪り合うのは互いの情
見つめ合い盗られて仕舞う後ろの正面
『ねぇ、お話し致しましょう』
『誰にも語られない物語りを』
嗚呼、理は非情、夜の夢こそが失落園
堕ちた果実の転がる先に口を開く奈落
箱に閉じ込められた毒は産声を上げ
愛を乞うその躯は誰の赤に染まろう
縋り辿り結び付いた因果の車輪を
軋ませ噛み合わせて命運を準える
目を合わす度に探り込むのは互いの欲
喰らい合えば欠けて仕舞う夜明の晩に
『さぁ、お話し致しましょう』
『誰にも語られない物語りを』
唄う髑髏、見知らぬ人影、手首の青痣
黒猫の眼、丑の刻参り、魑魅魍魎の宴
朱塗りの鳥居、花一匁、廃屋の話し声
遮断機の断頭台、開かずの間の家鳴り
流し雛、逆さ手の柏手、白紙の家系図
電話越しの惨劇、写真に刻まれた微笑
『さぁ、お聞かせ願いましょう』
『語り継がれずに逝く物語りを』
(貴方だけに囁かれる言の葉の羅列)
(九十九の断片が宵闇へ手招き誘う)
◇
はい。皆様こんにちは♪
寒い寒いと思っていたら帰宅途中で雪に降られて焦りました燈乃さんですっ!!←
春になって来たなぁと思っていた矢先の冬気候への逆行はマジで勘弁ですっ!!(汗)
さて。今回載せた創作文的作詩のお題は『寝る前に語られるお譚』です。うとうとと微睡む感覚の中で揺れる、『夢か現か分からない不可思議な部分』をイメージしてみました。こうなると私の場合は必然的に薄暗い怪談的な風味に仕上がるのですが、今回も例に漏れずですね。ほんのり怪談←
文章を綴るに当たって、『お話し致しましょう』と言う一節のフレーズから始まり、あれよあれよと言う間に怪奇譚擬きが出来上がりました。飽くまでも『擬き』で。
何故かと言うと、今回は怪奇譚そのものに言及していないからです。風味と言うか、淡い光源や仄かな香りの様な、ぼんやりとした曖昧な、しかし決して穏やかではない雰囲気を感じ取って頂ければ幸いです。
しかし。そんな曖昧な部分の隙間を縫う処か、斜め上に抉じ開けて来るのが怪異の恐怖と驚異の本質だと思うので、『擬き』でも侮れないのですがね。ふふふのふ(笑)
怪奇譚の中には、聞いても語っても掠っただけでも祟られるものが有りますが、そう考えると『聞く』と『語る』はワンセット何でしょうね。片方だけでは絶対に成立しない図式的な。『残穢』もそうでしたが、業が深いとは良く言ったものです(黒笑)
はい。そんなこんなで、今回も大分長くなってしまいましたが、もうそろそろお開きにしようと思います。ちなみに、作詩の後半に綴った怪奇譚の断片的なアレコレの中には、禁忌(呪詛)的な意味合いの行為も含まれている箇所が有るのでご注意を!!←
……嗚呼、天井の家鳴りが元気だなぁ。
自室の上はロフトになっているんですが、ほとんど母の趣味用の物置小屋状態で、当然足の踏み場なんて無いハズなのにね。
そう言えば、何気に天井裏と言う空間も、一種の『異界』でしたね。なぁんだ。心配して損した。よし、これにて一件落着♪
ではでは、今回はこの辺で☆
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