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:†現実と空想の狭間にて†:




*暁星燈乃の現実と空想の混ざった譚。
*怪奇譚創作文キャラに説教されます。
*こんな事があったよと言う後日譚含。



【:†異質な縁は相応の因にて結す†:】



――その日。私こと暁星燈乃は、とある『曰く付きのアパート』の一室にいた。
このアパートがどの意味合いで『曰く付き』かは、この文を目に通しているだろう受け手側の『ご想像』の示す通りである。

そして私は、その『曰く付きのアパート』の一室に居を構えている――ある少女の前で正座をしている。因みに現在進行形。

一方の部屋の持ち主である少女は、私に対し呆れの色を浮かべた瞳で以て、盛大なる侮蔑の意を込めた睨みを投げ掛けていた。因みにこちらも現在進行形真っ只中だ。

部屋の雰囲気も相俟って、背筋に流れる汗が異様に冷たく感じる。実際に室温は下がっているだろう。主にそちらの件はこの部屋の住人『二人』の所為で間違いない。

「―――で。良い歳した成人崩れが反省を込めて自分の脳内に現実逃避して来た処を、ボクが掴まえたワケだけれど」

侮蔑の視線を投げ掛けていた少女が、重い溜め息と共に言葉を紡ぐ。発声すらも嫌そうに語られる言葉は、言わずもがなだがトゲまみれである。心にチクチク刺さる。

「そもそも。反省云々よりも、神の遣いが奉られる神聖な場所で、その姿を文明の利器に収めようとするその行動の愚かさを、自分自身で呪うのが先だと思うよ」

チクチクからイガイガに成長したトゲは、その攻撃力の高さから否応無く私から発言権を奪って行く。心が血まみれである。

「まぁ。取り敢えずは君の片親に感謝しなよ。あまつさえ、二次的な形であれその体質でコチラ側に干渉しようだなんで、良くもそんな馬鹿げた事が思い浮かぶね」

イガイガから進化したトゲは最早剣である。グサグサと連続攻撃を喰らっては、こちらも戦意喪失――もとい、心身喪失してしまいそうな勢いである。私のHPゲージはほぼゼロに近い。太刀打ち不可能な赤だ。

ぐうの音も出せずに、正座を通り越して土下座の体勢になっている私に、少女は至極面倒そうに、小さな舌打ちを寄越した。

「異質な『トコロ』で異質な『コト』をするから、異質な『モノ』が湧くんだよ」

君の場合は湧かなかっただけ有り難いと思いなよと続けながら、相変わらず人間は馬鹿ばかりだねと、少女は溜め息を吐く。

「今回君が遭遇した現象は、一種の空間の歪みの様なモノだよ。神社と言う場所は空間そのものが聖域で、同時に異界でもある。異界は異質な『トコロ』だからね」

話を聞きながら恐る恐る顔を上げると、少女は私から視線を外していた。この少女は、人間を視界に入れるのが嫌いだ。目に映すのも嫌悪する位に人間が嫌いだ。大嫌いだ。それを知る私は、この少女の創り主である私は、静かにその話に耳を傾ける。

「ボクらは心霊スポット何て行かなくても、ボクら自身がコチラ側の住人の様なモノだ。本来ならば、理不尽と不条理の権化の様な君らに、一方的に降り掛かる『不幸の体現』の位置に『在る(居る)』んだよ」

だからこその警告だ。そう言って、少女は面倒臭そうに、間延びした欠伸を溢す。

「そもそも。成仏出来ていない魂にとって、縄張りはその魂の『終の住処』だ。そして『住処』と銘打つ以上、それが空間であれどんな領域であれ、そこは間違い無くその魂にとっての『家』なんだよ」

だから死と赤と黒の不浄とを結びつける処に、そう言う話が多く有るのは必然的になる訳だと、少女は何処か忌々しく語る。

「それに『心霊スポット』と言うのは人間視点の、人間の身勝手な物差しだよ。知らない人間に観光地気分で勝手に土足で家に上がられて騒がれてさ。そんな事をされて怒らない人間がいたら見てみたいね」

少女の説明に、私は素直に納得する。
実際にそれを生身の人間がしようものなら、不法侵入で現行犯逮捕だろう。否。逮捕は生きた人間だから通じるものであって、相手が彼岸の住人なら、霊障の一つや二つ遭っても可笑しく無い。寧ろ必然的だ。

「そうだよ。君らだって不法侵入者相手に正当防衛位はするだろうさ。でもそれは、飽くまで君らの倫理感の中だけの話だ。ボクらにはソレが無い。だから君らの勝手でコチラ側のモノに殺されたとしても、それは過剰防衛にはならない。だってそれがコチラ側の然るべき『処置』だからね」

『怖いもの見たさ』で勝手に入って来て、ナニも被らないのは虫の良い話だろう。
そう低く呟かれた声に空気が重くなる。
少女は、冷たい嘲笑を浮かべて続ける。

「まぁ因みに。君らみたいなのを好き好んで呼んだり招いたり引っ張っるのは、世を恨んで昇れなくなった挙げ句に、無差別に生者を殺して楽しむ奴等ばかりさ」

実際に遭えばまず助からないけど、逆に言えば遭わなければ良いだけの話だよと、少女は眠たそうに目を擦る。時間は分からないが、そこそこ遅い時間なのだろう。

「それから、人間だって死ねば即神仏だ。誰にも奉られない無縁仏になったって、『仏』と言の葉で縛られる以上、そこに人間的概念は希薄だ。そこにどんな現象が伴ったって、全然不思議じゃない。種が無ければ花は咲かない。因果応報は世の常さ」

分かったかいと、少女は小首を傾げる。
私はそれに頷いて応えると、少女の名前を紡ごうと口を開く――が。瞬時に口元が何かによって塞がれ、声が口腔で消える。
驚きの色を浮かべたまま少女に視線を向けると、少女は再び私の事を睨んでいた。

「――どうやら。ボクとした事が、人間相手にお喋りが過ぎた様だ。ボクもそろそろ眠いし。現実逃避は馬鹿らしいし。人間は下らないし。とっとと『この世界(空想)』からお引き取り願おうか」

少女は捲し立てる様に言うと、別れの言葉も無く私に背を向けて席を立った。それと同時に、私の口元を塞いでいるナニモノかに、後ろに向かって強く引っ張られる。

ズルズルと引き摺られる形で以て、私は玄関へと運ばれて行く。図で表すと、ナニモノかは片手で口元、片手で後ろから私の体に腕を回している感じである。唐突過ぎる展開に思考が置き去りにされる一方で、私はいきなり玄関らしき場所のドアから、勢い良く外に投げ捨てられた。ばぁんと。

どうやら。部屋の外は夜の様だ。否。これは夜を通り越して、闇色の世界だった。
スローモーションで倒れて行く様子を感じ取りながら、その一方で私は目を見開いていた。一瞬の映像を脳に焼き付け様と。

『曰く付きのアパート』のとある一室。
その一室の、もう一人の『住人』と目が合った瞬間。意識が暗い闇に沈み掛けたのと同時に、私は現実世界のベッドの上で、慌ただしく覚醒を果たしたのだった――。




はい。皆様こんにちは♪
今回は現実世界と空想世界を混ぜたお話にしてみました。作者とキャラが座談会をやらかすのは夢小説の鉄板行事ですが、ガッツリ怪奇譚解説になっていますね(真顔)

ザックリ説明すると、現実世界の私が現実逃避を起こして、脳内妄想で人間嫌いの怪奇譚少女に拾われてお説教を受けるお話でした。人間視点では見えない怪奇譚視点でお話をお届けいたしました。雰囲気としては、『白昼夢』の様な感じですね(真顔)
楽しんで頂けたのなら幸いです(お辞儀)



ではでは、今回はこの辺で☆



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:†曇り後晴れ時々菊と稲荷様†:




はい。皆様こんにちは♪
今日は久々に実家に帰省した兄貴を連れて、地元の菊祭りに行って来ました燈乃さんですっ!!(*´∇`*)/

朝方は薄く曇っていて肌寒かったですが、お昼頃には見事な青空が広がって、良い感じにお散歩(散策)日和になりました♪

ちなみに↑の写メは、地元の某神社の境内に飾られていた菊を撮ったものです。この時期になると、地元の某神社に限らず商店街や街中に色んな菊が飾られていて、見事な風物詩になっていますね。凛とした大輪のものから小さくて可愛らしいものまで、様々なものが飾られているので、興味のある方は是非足を運んで見て下さいませ。

さて。神社にまつわる怪異の話は色々有りますが、私も今日少し奇妙な体験をしました。怖くは無いのですが、写メを撮ろうとした場所が悪かったのか(←※一般用の休憩所として解放されていた奉納所の様な場所から社殿を撮ろうとした)。それがお狐様の気に障ってしまったのか。安直なので私の勘違いと言う線が一番良いのですが、やはり神様の住まう場所では、あまり物俗的で馴れ馴れしい事はしない方が良いですね。街中に荘厳と佇む神社ですが、鳥居の向こう側は明らかな異界なのですから。

……話す機会が有れば、またいずれ。



ではでは、今回はこの辺で☆



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