:†瞬きの記憶†:

*ハロウィン企画の三作目になります。
*今回は切り刻まれた血涙風味のパン。
*知らない間に人の恨み辛みを買う譚。
*被虐者から加虐者への遺言書の裏側。



【:†遺言書からの鈍色束縛慟哭†:】



『続きましては怨恨と被虐者の譚です』
『スープの後は血涙味のパンをどうぞ』

『現実世界で苦悩した果ての末路の味』
『生きるとは命を鎖で繋いでいる状態』

『世界と自分とを命を介して繋いだ鎖』
『それは自分と同時に縁深い者も縛る』

『さて些細な切っ掛けで出来た亀裂は』
『新たな鎖となるか蜘蛛の巣となるか』


◇


(足元に絡み付いた鎖を引き千切る)
(境界から飛び降りて全てを手放す)


心の奥に深く突き刺さった
言葉のナイフが抜けなくて

上手く笑えないの
呼吸が出来ないの

始まりは何だったのかなんて
きっともう思い出せないけど

壊れてしまったこの関係は
きっと直せはしないんだね

私のせいだったのかな?
君のせいだったのかな?

もう分からないね
誰も知らないよね

傷付ける大義名分を掲げた
君は誹謗中傷を引き連れて

確かに有った筈の居場所を
私の中から切り崩して行く

亀裂はどんどん大きくなって
傷痕はどんどん増えていって

元の形が分からなくなるくらいに
体も心も凸凹にされ続ける日々に

慢性的な痛みに背中を押されたら
最後はもう何もかもを手放すだけ

君の大嫌いな私はいなくなるよ
これでもう何も煩わしくないね

これでもう何も苦しまないよね
これでもう君は自由になれるよ

きっと誰よりも自由になれるよ
誰よりも、誰よりも、誰よりも


(足元に散らばった鎖を繋ぎ直して)
(手放した全てが地面に降り注いだ)


◇


『自由と束縛とは紙一重の同意義です』
『束縛が無いと人間は生きられません』

『何か一つを切り離すならそれ相応に』
『何か一つに縛り付けられるのが道理』

『そうして可も無く不可も無く生きて』
『それでも色んなモノを背負う星の下』

『誰かの命を容易く消す事等は総じて』
『自分の命を殺がれる事とお忘れ無く』



◇


話題:☆ハロウィーン★2013☆


はい。皆様どうもです♪
今回はハロウィン企画の三幕目(或いはパン)です。血の涙風味です。鎖をモチーフにしているので、形はプレッツェルの様な感じになってると思います。特殊な岩塩を使用していたら、きっと薄紅色ですね。

さて今回の題材は『束縛』です。おまけに『黒不浄』も付けてみました。遺言書ネタなんてハロウィンに関係無いだろとか言われそうですが、所がどっこい彼岸から訪れる怨念とは、常に『理不尽』と『絶望』と『黒不浄』が憑き物なのです。お約束。

随分と前の記事に、心が不感症な人が増えてるなぁと綴ったのを思い出して、今回はそんな感じでそのまま紡いでみました。

最後の方は、思っている事と言っている事がチグハグな感じになるように綴ってみました。だって、痛み付けられた当人の恨み辛みが、こんなに清々しくて生温い訳が無いじゃないですか……ねぇ?(黒笑)

自由の裏で束縛を唄い。
祝福の声で呪詛を吐き。
仮面の内で嘲笑を刻み。
そして魂は鎖となった。

不条理から産まれる不浄なんて別段珍しい事ではありませんが、いざ張本人になった途端に赦しを請う人間の浅ましさは、どうしてああも滑稽に映るのか。同じ人間でも道理の填まらない事は多いですね。

『怪異以上に怖いのは人間』と言うのも、中々に如何して説得力がありますよね。



ではでは、今回はこの辺で☆



※『黒不浄』＝『死の穢れ』の意味。



*

*ハロウィン企画の二作目になります。
*今回は悪夢味のドロドロポタージュ。
*悪夢から派生する恐怖と傍観者の譚。



【:†気紛れ夢喰い獏と猿夢乗車†:】



『続きましては悪夢と傍観者の譚です』
『前菜の後には少し濃いめのスープを』

『散らばった血肉と恐怖を粗濾しては』
『記憶の底に歪な後味を残す一品です』

『さてもう直ぐ悪夢の幕が上がります』
『不気味な電車にご乗車なさらぬよう』


◇


悪夢の欠片を舌先で掬って
随分と下卑た味だと嘲笑う

臓物よりもおぞましい形状
感情の糸で継ぎ接いだ記憶

((揺れる視界　紫の空　無人駅))
((不気味なアナウンス　明晰夢))

((霞んだ視線　赤の床　肉の塊))
((逃亡不可の現象　惨劇　嘲笑))

子供騙しな装いを施された
奇妙な列車が到着した時に

神出鬼没な其の獣は云った
『夢の住人よ乗るなかれ』

((開かれる扉　閉じる音　座席))
((不気味なアナウンス　犠牲者))

『続編』を見るのが恐ろしいなら
『喰ってくれよ』と請い願い給え

((悲鳴　血飛沫　死刑執行号令))
((悪夢　悪夢　閉幕未定ノ惨劇))

さぁ、血塗られた悪夢の底へ


◇


脳髄に巣食う疚しい陰惨が
形成して心を蝕み牙を剥く

怨嗟よりも浅ましき劣等感
海馬で組み換えられる断片

((再上映　二度目の乗車　暗転))
((不気味なアナウンス　明晰夢))

((活け作り　抉り出し　殺戮劇))
((逃亡不可の再来　絶叫　警告))

回って来た席順に迫る恐怖
背筋を駆け上って行く絶望

神出鬼没な其の獣は云った
『夢の住人よ願うなかれ』

((目覚めの時　閉じる闇　座席))
((不気味なアナウンス　生存者))

『続編』を知るのが恐ろしいなら
『喰ってくれよ』と請い願い給え

((恐怖　機械音　無明最終通達))
((彼岸　悲願　忘却回避ハ不能))

さぁ、大聖夢とは程遠い闇の底へ


◇


『猿夢とは『去る夢』の依り言であり』
『夢とは死に近い場所に咲く花のこと』

『悪夢を喰らう筈の貘は傍観者となり』
『自身の腹に相応しい夢を選ぶのです』

『さてさて貘とは聖獣の一端を担う者』
『自身の縄張りに異物が紛れたとして』

『的確な忠告を異物へと授けるのかは』
『全ては貘の腹の内のみぞ知る処です』

『夢で最終通達を受けた人間の運命は』
『悪夢に住まう者達のみぞ知る処です』



◇


話題:☆ハロウィーン★2013☆


はい。皆様こんにちは♪
最近朝夕の寒暖差が厳しくなって来て布団から出たくない症候群の燈乃さんです←

今回はハロウィン企画の『二幕目(或いはスープ)』です。悪夢と恐怖を混ぜた歪な味わいとなっています。コンソメと言うよりはポタージュです。粗濾し仕様です←

『猿夢』を題材にした創作文的作詩は前々から書いていましたが、途中で頓挫したのを今回無事に上げる事が出来ました(爆)

『猿夢』怖いですよね。『転んだら死ぬ村』も怖いですが、『猿夢』は『忘れた頃にやって来る』系の継続型の怪談なので、後味の悪さは格段に上な気がします。

ちなみに作中に出て来る貘は傍観者です。『夢(縄張り)』に迷い込んだ人間に対して警告を囁いていますが、怪異を遠ざける為の決定打となる事は何一つ告げていません。自分の要望しか言ってません。多分人間は『調味料』程度の存在だと思います。

無意識なのか故意なのか。その辺りの理屈が人間の道理で分からないのが、『怪異』の本懐であり、同時に怖い処ですよね。
成人した現在でもたまに正夢を見るので、今回の様な夢系の怪談はちょっとした需要です。そんな感じで、サラッとした喉越し何て皆無の『二幕目(スープ)』でした。



ではでは、今回はこの辺で☆



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