動悸を抑え、少年は息を吐く。
男達は皆、胸のあたりを刃物かなにかで刺されて絶命していた。着衣に乱れひとつなく、抵抗した様子は見られない。

(二人目の、あの危険そうな男は「寝ているガキ一人仕留めるのにいつまでかかる!?」というようなことを言っていた)

少年は記憶を反復する。

(それに対して一人目の男は「食べていなかったから仕方ない」という旨の返答をした)

殺された男達の中にも、眠る女達の中にも、女将や宿の従業員らしき人物は見当たらない。
少年は脳内で結論する。

(宿屋が賊に襲われたと思ったがそれは違う。ここは最初から……賊の一味だった)