食堂の屋根には換気用の窓が開いていた。数刻前まで宴会の場だったそこからは、酒や料理よりも香炉や血のにおいが漂ってきていた。

(女将さんは無事だろうか……)

荒くれ男は「男は殺す」と言った。
では女はどうするのか。
少年は宿泊客らしき女性達が部屋の隅に集められているのを見た。手足を縛られ、こんな事態だというのに一様に眠っている。
そして部屋の中央では、宿泊客らしき男性達が一様に刺殺体となって横たえられていた。