年賀状用A

年賀状の案その二。
これはこれで気に入っています。

年賀状用@

七草も過ぎたので出しますね。

今年が戌年ということで、動物ポーズ集から柴犬を模写していました。

一次創作小説「未来の約束」

「ちおりん、成人の日よ!」

「そーな」

「……何すりゃいいのかしら」

「さーな」

掲げた腕が虚しく空を切った。
千織は一瞥だにせず手元の参考書を捲っている。

「どの道オレらにゃまだ関係ないし」

「そうなのよねん」

肩をすくめて室内を見回す。千織の自室はベッドと収納と学習机とエアコンがあって、小さいテーブルを出して向かい合わせで勉強できる程度にはスペースがあって、そこそこ片付いている。学習机にでーんと鎮座したパソコンはお父さんから譲られた物らしい。あちこちに置かれたぬいぐるみがファンシーとか言ったら怒るわよね、きっと。
冬休みの最終日くらい、受験勉強なんて忘れて出かけたい。まだ中学生よあたしたち。昼で切り上げようって言っちゃおうかしらん。

「成人式って……」

あたしが口を開く前に千織が開いた。

「どこでやってんのかな。役場?」

「そういや知らないわねん。でも、何でいきなり? 興味なさげだったじゃないのん」

「いやさ」

千織はそこでバツが悪そうに視線を反らした。おやおや?

「道が混んでたら嫌だし。午後、隣町に買い物行きたいんだけど、付き合ってくんない?」

「ふううん? へえええ?」

あたしはきっと、凄く気持ちの悪い笑みを浮かべていることだろう。

「まあねん? ちおりんがどうしてもって言うなら? 付き合ってあげなくもないのよ? レッツシャウト! カマーン!」

「うっぜええ!!」

千織の手の中で参考書がミシミシと音を立てた。構わずあたしは続ける。

「ほらほら早く! 時間は有限なのよ!?」

腕を広げる。千織の顔が心の底から嫌そうに歪んだ。やっだー参考書ぐっしゃぐしゃー。

「……どうしても」

千織が小さく呻く。あたしは首を振った。横に。

「ふふふふふワンモア!」

「どうしてもあんたと出かけたい!」

「やったー!」

「人の部屋で飛び上がんな!」

怒鳴られてもあたしの勢いは止まらない。その場で滑るようにターンを決める。

「ちおりんとデートだってお母さんに言ってこなきゃねん! 支度して午後イチでこな家来るから首洗って待ってなさい!!」

「仮にもこれからデートの奴が言う台詞か?」

そうと決まれば勉強はさっさと終わらせるに限る。あたしはいつもよりやる気をみなぎらせてドリルに向かった。

「ちおりん、成人式をするわよ! 五年後にねん」

これは、その時お互いがどうしてんのか想像もつかないけど、楽しいのがこれからも続いていくようにするための約束。

「あたしは毎日幸せだし、これからもっともっと幸せになるわ。あたしだけじゃなくて千織も一緒よ」

小指を差し出すと、千織は眉を下げて微笑んだ。

「あんたって、本当に目茶苦茶」

子供の頃みたいに指を絡める。
さぁ、未来を確かなものにするわよ。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2018年01月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31
アーカイブ