カラーペン一発書き(3)

ここから犬シリーズ。

なんでこんなに犬ばかり描いているのやら。

カラーペン一発書き(2)

鶴。

カラーペン一発書き(1)

カピバラ。

一次創作小説「他愛のない話」B

連れ立って来店したのは銀髪の青年と緑髪の娘だった。娘は赤ん坊をあやすように抱いている。

「いらっしゃいませー!」

フィルがにこやかに告げると、娘もまた微笑んだ。

「こんにちは、フィルちゃん」

「よお。イルにソーマ、一家揃って買い物か?」

「やあ、ヘリオス。早速訂正させてもらうがこれはただの買い物ではなく夫婦間の愛情に基づくデートだよ」

青年は表情を変えずに淡々と告げる。
即座にヘリオスの眉間に皺が寄った。げんなりと額に手を当てる。

「頼むソーマ。惚気話は他所でやってくれ」

「それは独り身のやっかみかい?」

「やかましい」

ソーマの言葉は意味ありげな響きを含み店内を流れ落ちたが、フランにはその意味がわからない。
ヘリオスは困ったように苦笑するイルに鉾先を変えた。

「笑ってんじゃねえぞイル。お前の夫が愛情とかなんとか恥ずかしいこと抜かしてんだからどうにかしやがれ」

イルは指先で赤ん坊をあやしながら肩を竦めた。

「ごめんね、ヘリオスくん。わたし、ソーマくんのこういうところも含めて好きになっちゃったから、あんまり強く言えないの」

「こいつら……」

ヘリオスが頬をひきつらせるのを眺めながら、フランはなんとなくヘリオスとイルは相性が悪そうだと思った。

一次創作小説「他愛のない話」A

この店の店員はフィルしかいない。そもそも従業員が増えたら入りきるのか怪しい。
木造の店舗はこじんまりとしていて、奥の倉庫らしき部屋を含めてもさほど広くはない。いつだったか、屋根裏が居住スペースになっているとヘリオスに教えてもらったことがあった。
ヘリオスは暇があるとこの店に顔を出しているようだった。フランとラザに用事がなければついでに連れて行ってくれる。

(ヘリオスさんは「友人の様子見だ」とか言っているけど、ようは冷やかしたいのよね。きっと)

なおも談笑を続ける二人を尻目にショウウインドウ代わりの窓を見やる。窓の外では薄ぼんやりとした午後の日差しが道行く人々に降り注いでいた。秋の空は爽やかに澄んでいて、時折風を生んでは窓枠を揺らした。
ふと、何かが気になった。
フランはラザを手招きすると、窓に近付く。
よく見れば窓の端に値札がぶら下がっている。

「え!」

つまみ上げれば呆気なく捲れたそれは窓ではなく、単なるタペストリーであった。
鏡面に似たガラス光沢の布に、外の景色が映っている。裏地はただの布、壁に穴は開いていない。ラザが鼻先を寄せて興味深そうににおいを嗅いでいる。

「もしかして、おもてにも同じタペストリーをはっているの? それで、あっちの景色がお店の中に見えて、こっちの景色がお店の外からでも見える……」

「フランちゃん凄い、当たりだなぁ。壁に穴開けんでも窓として使えるし、普通のタペストリーにもなるんよ。ほら、ここらって寒冷地で窓の造りが小さいでしょ? だからお日さまの光が欲しい時とかに便利なんよ」

フィルが嬉しそうに告げる。

「今なら冬の前の特別価格でご提供可能です」

「また妙な代物を……」

ヘリオスが半眼で呻くのをよそに、フランはタペストリーの位置を戻した。
窓の外のすぐそこを誰かが横切るのが見える。

「おきゃくさまみたいですよ?」

フランの声とドアベルが響くのは同時だった。
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