横溝正史


戦後に書かれた推理小説。
しかしほぼ半分は鍾乳洞の中にいるので、冒険小説の面もあります。
主人公が複数の女性から好意を向けられラノベ主人公的な反応をしたりと、恋愛小説の様な面もあります。
以前の日記でも延べましたが、「『八つ墓村』はラノベである」という意見も頷けます。

ちなみに主人公は金田一さんではなく竜也さんです。

個人的には、謎解き要素よりも次に何が起こるのかとハラハラ半分、ワクワク半分といったところでしょうか。

文体も読みやすいですし、マザコンの自覚がある辰也さんが女性キャラの誰にも母親を見出ださなかったのが良かったです。
あと私やっぱり美也子さんの持つ「女のふてぶてしさ」みたいなのが好きです。

ただ、戦後すぐの小説のためどうしても現代と価値観の相違を感じました。冒頭の田舎に対する熱いdisは「そういうものなんだろーなー」くらいの気持ちでした。幸いにして私は存じ上げないのですが、現代でもこんな空気が残っているのでしょうか。だったら嫌ですね…。
主人公の認識の甘さに苛立ちを覚えることもありましたが、それは時代背景というよりも主人公自身の性格の問題ではないかと思い直しました。


稲垣版のドラマを先に観ていたからか、イメージが掴みやすくて良かったです。


欲を言えばサウンドノベル化して欲しい(まだ言う)