『SOUL CATCHER(S) 11巻』
神海英雄


最終巻とノベライズ同日発売です。繋がる表紙もお祭り気分です。


ようやく辿り着いた最高の舞台で、かけがえのない最高の仲間と共に、待ち望んでいた最高の好敵手とぶつかり合う!

ソルキャは主人公の神峰が勇気を出して他者と向き合い、音楽を通して心を繋げる者――指揮者を目指す漫画です。
最初は仲間達に認められるために、体当たりでぶつかっていって。皆が抱えていた悩みに向き合って。諦めない意思を持って手探りで進んで。好敵手と出会って。成長して。悪意とも向き合う覚悟を決めて。
そして今まで積み重ねてきたことが、力となって返って来ました。
心を束ねて、纏め上げて、創り上げた、虹の音。
それは指揮者も奏者も観客もまとめたあらゆる多様な価値観を内包し許容する、優しい魔法でした。


…おかしい。なんでネタバレしない程度に内容について触れようとしたらポエムが出来上がっているんでしょうか。

まともに語ろうとすると
「最高(ファンタスティック)だった!!」
としか言えなくなるので皆様『SOUL CATCHER(S)』を読んで下さい(土下埋まり)


虹は何のモチーフか。

七色じゃなくても、何色あってもいい、物事の見え方、感じ方は人それぞれなんだから、というメッセージを感じました。
この漫画がオールカラーじゃなくて本当に良かったです。モノクロのグラデーショントーンだから出来たこと。
漫画という表現媒体で如何に「音」を伝えるかということを、ずっと迫力ある絵で見せてきたこの漫画が、このグランドフィナーレで見せた「読者の想像力に委ねる」という技法。私は大袈裟でもなんでもなく、作者が漫画表現のひとつの境地に至ったのだと思いました。


海で始まり、海で終わる物語。

第一話に出てきた心象風景は、モコの作り出した荒れた冷たい海でした。
物語の最後に出てきた心象風景また海ですが、たくさんの人の作り上げた、虹が射し、生命力に溢れ、大航海の予感に満ちた力強い海でした。
このラストは最初から考えられていたのでしょうか?
刻阪の回想で第一話を思い出して感慨深さが込み上げて来ました。
また、航海のイメージには輝かしい未来の予感もありました。作品が終わった後も、キャラクター達の物語は続いて行くのでしょう。


思い返せば移籍とか移籍とか色々ありましたが、いつも楽しませてもらいました。ずっと追いかけ続けてきて良かったです。こうして無事に全ての伏線を回収し、最高のクライマックスを迎えられたことが嬉しくてたまりません。
ありがとうございました。
神海先生、お疲れ様でした。次回作も楽しみにお待ちしております。