ろくごまるに


しかしまあ、なんて不吉なタイトル!
ついでに、今タイトル書くまでずっと「刃を砕く」じゃなくて「刀を砕く」と感違いしておりました。ぐおお、十年以上も何やってんだか。

この巻から長い夏待ちが始まります。この引きで下巻まで五年ですよ、五年。
途中で短編集は刊行されましたけれども、この続きは一体どうなるのだろうと期待と不安を抱き、それ以上に作者の安否が気になって混沌とした気持ちで待った夏でした。
まあ私がハマった時には既に夏待ち状態だったので、実質三年くらいですね。リアルタイムで待った方々には頭が下がります。


時系列は、前巻ラストから同じ日でしょうか。夜中になっています。

冬の夜を、走る。流れこんで来る記憶は、彼が忘れてしまったものでした。

それにしても、彩朱さんのこの胆力のある性格は一体何なんでしょうね。この作品の女性陣は皆心が強いですが、とりわけただの若奥様とは思えない強さです。この村で育ったからこうも覚悟が決まっているのでしょうか?
そもそもこの人は元々静嵐刀の所有者(明記されていませんが描写で確定)でした。ど、どんなコンビだったんでしょう…気になります。懐かしのキャラクター達の近況描写が入り、伏線ばらまきタイムです。この作品が佳境なのだと思い知らされます。今思えば、ここから最終回に向けて伏線の準備をしていたんですね。

龍華の師匠殿も登場です。存在しない矛盾、そりゃああの龍華の師匠ですから一筋縄で行くはずも無いお方です。
この辺の仙術的思想の説明は、ファンタジーというよりも物理学っぽいと感じました。思えば御大の作品はいつもロジカルですよね。構成やキャラクターの言動が。読み返して初めて気付く緻密さよ。
時間ってよくわかんないよおって劾想ちゃんも言ってました。でも龍華は何か掴んだようです。…それがあんなことになるなんて、思いもしませんでした。

村長代理と村長の会話があっさりしつつも、なんだかいいですね。
ところで剛始と剛終の兄弟にあたる梨乱の父の名前とは?

そういえば、塁摩の見た目は五歳ぐらいとのことですが、宝貝として設定されている年齢は八歳と『挑戦者』の時に明記されてました。見た目五歳、精神年齢八歳ってことでしょうか。
というか殷雷の不調って塁摩にへし曲げられたことも要因の一つになっていませんか。

カラー口絵の静嵐が女に見えて、すわ新キャラかと思ったのもいい思い出です。

そしてダンジョン攻略からの、バラバラだった要素が結びつく展開、しかしそれどころではない和穂という衝撃のままに以下続巻です。このまま続けて読めるって素晴らしいですね。