マイトはゴーレムです。

ゴーレムとは魔法生物です。
体のどこか(多くは額)に書かれた魔法の文字によって擬似的に生命を吹き込まれ、文字を消されると元の素材に戻ります。
材質は石や土、鉄や肉等々。材質によって異なる性質を持ちます。
姿形はさまざま。材質の関係で巨体が多いです。わざわざ小さいのを作る人が少ないとも言います。
力仕事や警備員に向いています。
知能は無く、単純な命令しかこなせないとされています(高度な魔法使いなら自律思考を持たせることも可能)

と、いうのを踏まえてマイトという例外の話をします。
材質は泥土。クレイゴーレムです。
ただし生体型。
作成コンセプトが「人間の再現」なため、見た目は完全に人間です。中身も人間に近く、血肉を持っています。骨や内臓もしっかり作られていて、代謝や一次欲求もあります。呼吸をしなくても平気ですが、人間のフリをするために呼吸をしています。
消化気管が強いのか、酒に酔いません。毒物も結構分解してしまうようです。

文字は額にありますが、浮かび上がらないとわからないようになっています。

見た目通りの成人男性並の身体能力と、それなりの知能と、それを台無しにする暢気で間抜けな性格と、人間並の感情と、魂を持っています。

マイト作成当時は魂を持ったゴーレムも珍しくなかったのですが、大戦によってそれらの技術が失われてしまいました。よって、以降は簡易なゴーレム(簡単な命令しかこなせない)しか作れなくなっています。
ちなみに魂持ちが珍しくなくとも、マイト並に体内まで生物らしく作るのはコストや手間の関係で誰もやっていませんでした。

つまり作成者は変人だったのです。
マイトはその人を「とーさん」と呼んでいます。最初のうちは人間のフリをして、彼の助手をしていました。
大戦時にゴーレムの兵器転用が進み、「戦闘で使えないゴーレムに意味ってあるの?」みたいな風潮になる中、マイトは相変わらず人間のフリをして逃れました。次々と戦地に送られて行く同胞達に恨み言を吐かれたかもしれません。

マイトに戦闘能力は無いです。開発コンセプト的にあえて凡人スペックです。
形状記憶素材なため、体を鍛えても無駄です。怪我をしても元通りになるのはいいかもしれませんが。

動力は魔力。一次欲求を満たすことでも魔力に変換されます。

外見と性格は、作成者の想定外でした。魂は与えましたが、その形までは作ってはいなかったのです。
ゴーレムは材質の持つ何らかのパターンに従って形成されます。ランダムです。
マイトの外見と性格は、誰が設定したのでもなく、己の魂の形に最適化して自己形成したものです。「設定できるならもう少しマシな性格にした」とは作成者の談。

作成者との別離後は、彼女が出来たり死別したり、数百年独り暮らししたり、冒険者の酒場の店員になったり引退したりです。