久々にやろうかと


「まぁ聴きたまえ。人間は言語を操ってこそだと思わないかね?」

「やあ、おはよう。早朝の空気は清々しくていいね。まさに心が洗われるようだ」

「やあ、こんにちは。この街は相変わらず騒がしいね。今日は市があるから余計にそう感じるのかもしれないね」

「やあ、こんばんは。これからみんなで星座観察に行くんだが、良かったら一緒にどうかね?」

「私は王立博物館勤務のしがない学芸員だよ。展示物の見せ方から企画立案まで、まあ色々やらせてもらっている。元々計画を立てたりするのは好きだったしね。……でもね、本当は古代の遺跡に冒険に行ったりもしたいんだ」

「やあ、君も図書館かね? 実に奇遇だね。私もオフは図書館で過ごすことが多いんだ。ジャンルは問わずに何でも読むよ。昔は冒険活劇が好きだったけど、最近は料理書にもはまっているよ」

「子供の頃の私かね? ……うん。思わず恥ずかしくなるほどわんぱくだったよ。というか、当時の思い出話はもれなく黒歴史だからくれぐれもパンドラの箱を開けるような真似はしないでくれたまえ」

「あの小さな四角い空だけが外の世界ではないと知った時、もっと知りたいと思った。せっかく生まれることが出来たのに、自分の生きる世界のことを何も知らないまま生き、知ろうとしないまま死ぬのなど耐えられない!」

「よろしい。ならば諸君、大いに議論をぶつけ合おうではないかね」

「……ふむ。私は互いの主張ぎりぎりの妥協案を用意した。何度も和解を持ちかけた。それを突っぱねたのは君達ではないかね? なればこそ、行き着く先は暴力しかない……。悲しいね。
いいかね? この事態を招いたのは君達なのだよ」

「ふっ。料理で一番大切なものは何かね? 味か!? 真心か!? はたまた技術か!? ーー否、断じて否!! 料理において最も大切なものーーそれは見た目の格好良さだ!! ……あっ、何故逃げる!?」

「君は気絶するほど美しい! たとえ星の数ほどの言葉を紡いでも、君の美しさを言い表すことは出来ないだろう」

「無視!? 無視かね!?
目を閉じ、耳を塞いで何とする。無視、無関心は何も生まない。そんな実に非生産的な行為にいたずらに人生の時間を費やすのはいかがなものかね?
というか人が折角感謝感激雨霰を語彙の限りを尽くして伝えているのだからしっかり聴きたまえ。喋るのは嫌いでは無いが一方的に喋るのは嫌いなんだ」

「ハク、語ってくれたまえ。君が母から受け継いだおとぎ話の数々を」

「ふむ。しばらく会わないうちに随分と体積が膨張したね、エバ」

「何だね? いきなり部屋にやって来たかと思えばオバケが出た?
というか、乗るなリャオ。
というか、いいかね? オバケなどという存在は先人たちが生み出した虚構であり、フィクションであり、見間違いであり、枯れ尾花であり、ーーつまりは幻想だ。幻想である故にそんな存在は実在しない。だから怖がるのは無意味だ。
というか、私は別に怖がってなどいない。
というか、乗るなリャオ。あーもう……サーディット、こいつなんとかしたまえ」

「パルテノは元気にしているだろうか。ハク、君は今でも彼女と友達かい?」

「テロル、先程マカロンを作ってみたので食べないかね? ーー何、嫌だ?
ふっ、確かに君には拒否権がある。私とてその権利を否定したりしないよ。自由意思による意思決定! 素晴らしいことではないか!!
それはそれとして、君がそれを食べないともれなく酷い目に遭うよ」

「ベアタ夫人、なんだかこの孤児院、私がいた頃よりもやばい奴が増えてないかね? ヨヴィータに一体何があった? というか、ヨヴィータをどう捻ればトニーという愛称になる? しかも何だねこの双子……え、双子じゃないのかね!?」

「げほっ……薬が机の上に……ありがとう……。大丈夫、この私にかかれば病魔とてもはや友達だ……何せ生まれる前からの馴染みだからね……」

「痛っ……私に触れるな!! ーーぁ……。……いや、すまない。どうも他人に触れられると、痛みを感じてしまってね……」

「畜生ざけんな神様てめえ。眉間ぶん殴るぞあの野郎……ん? 何も言ってないよ、気のせいじゃないかね?」


 誰に対しても穏やかで、余裕ぶっていて、どこか芝居掛かっていて、大袈裟な口調。とりあえず飾り立てる表現を多用するあたり、性格が出てる。
 ただし、余裕の無い時や怒った時には素が出ることも。
 喋るのが好きなため、長台詞になりがち。ついでにテンション高い。