話題:バイバイありがとう、さようなら

家に着いて、もうこの車を出たら、あなたはいなくなって。

あたしはもう諦めるしかなくて。

そんなの嫌だって思ったよ。

思ったけれど、もうどうしようもなくて。

あたしは振られたから。

それもだいぶ前に。

悪あがきだってわかってたけど、何回も告白した。

だってあなたしかいないと思ったから。

会って、やっぱり好きだって思ったから。

あなたの迷惑になるのなんて百も承知。

でもあなただってあたしを振り回したでしょう?

最後くらい好きだと言わせてよ。

あなたと会えてよかったって。

なかなか車を降りられないあたし。

でてけとは言えない彼。

会話もなく。

あたしはひたすら泣いた。

いなくなってしまう彼を想って。

彼と握手して、胸に飛び込んで。

抱きしめて。

彼が痛いっていうくらい強く、強く。

もう、これがほんとの最後なんだって。

あたしは彼にキスをした。

応えてくれる彼が、すごくムカついた。

平気な顔してなんでもできる彼に。

悔しかったよ、ほんとは。

勝手にあたしを好きにさせて、離してくれなくて、挙句彼女がいて、それなのに関係を続けて、あたしの気持ち弄んで。

大好きだけど、同じくらい憎らしかった。

思わず彼のこと殴ってしまった。

あたしの精一杯の気持ちをぶつけて。

軽くだけれど、それでもちゃんと終わらせようと思ったから。

もう一度抱きしめてキスをして。

今までありがとう、と元気でね、と言ってあたしは車を降りた。

もう会わない、なんて宣言したのは撤回して。

無理だもの。あたし。

彼が幸せになる瞬間、知りたいもの。

たとえ友達としてしか見てもらえなくても。彼と繋がっていたい。

片想いでも構わない。次にあなたに会うときはあたし、ちゃんと友達演じるからね。

車から降りて、車内からあたしを見て、手を振る笑顔の彼を。

その瞬間、切り取りたいくらい、そのくらい彼の笑顔は愛おしくて。

ああ、あたし、この人を好きになってよかったな、って。

あなたが愛おしい。

どうしてあたしのものにはならないのかな。

大好きです。