■カウンター談義2

Comment 9
 
ここは、カウンターだけの小さなバー。
俺は、バーテン。

今夜も、常連のAさんとBさんが連れ立ってやって来た。
2人の話は、ちょっと面白い。
何気なさを装い耳を傾けると……


B「なぁ、VIPとか国の支配者とか呼ばれる連中の宇宙への脱出計画?なんて話を最近聞いたんだが、君どう思う?」
A「あははっ!ちょっと遅れてるな。そんなのは昔からあるぞ。数年前にもTVでやってたし、何年かの間隔で盛り上がるみたいだな」
B「そうなのかぁ……それで本当なのか?」
A「そんな事は知らんが、月面とかなら技術的には十分可能だと思うぞ」
B「そんなに地球の科学って進んでるのか」
A「ああ、お前が知らないだけさ。だいたいTVなんかがセンセーショナルに伝える科学技術の大半は、専門家たちには当たり前の事ばっかだぞ」
B「じゃあ、VIP脱出計画はあってもおかしくないって事かぁ」
A「まあな。あとは金の問題だから国家予算が自由に使える立場なら、ちゃんと住める月面基地を極秘に作ってるかもな。核シェルターの宇宙版だな」
B「そして、我々一般人を放り出してVIPだけ宇宙に脱出……」
A「そう思うと腹が立ってくるな。原因は戦争だか大災害だか分からんが、苦しむ一般人を見捨てて自分達だけのうのうと暮らすわけか」
B「そういう事になるかな。でもなぁ……」
A「でも、なんだ?」
B「こんなの、有り得ない気がするんだ」
A「だから、技術的には可能だって言ってるだろう」
B「いや、そうじゃなくってさ……」
A「何だよ。言ってみろよ」
B「ああ……その脱出した連中はさ、一般人がいなくなった後、一体全体誰を支配するつもりなんだろうかね?」

*New Old#

[Top]


-エムブロ-