■昭和回顧録12

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百八人の英雄が梁山泊に集う物語。
ご存知、中国四大奇書のひとつ
「水滸伝」

初めて出会ったのは十代半ば、子供用の文学全集の一冊。
同じ頃、横山光輝の漫画も読んでいた筈です。

但し、かなり簡略化されていて物足りない感が……解説には百八人と書いてあるのですが、本文には一部しか登場しない!

そこで、しばらく後に小遣いを貯めて購入したのが
「新・水滸傳」
  吉川英治 著

当たり前ですが、百八人全て登場。
最後は少々含みを持たせて、全員が集合した場面で終わり。

しばらくは、これで満足していたのですが……


水滸伝は中国の宋の時代にあった史実をもとにして、長い期間にわたって民衆が作り上げた物語。
多くの説話が取り入れられて、現在の形になったようです。

そのため、大別すると
 七十回本
 百回本
 百二十回本
の三種類が存在します。

近代、最も普及したのが七十回本。
吉川英治の新・水滸傳もこれがテキストになっているようです。
百回本と百二十回本は、それから先が有り戦闘相手の違いで、基本的に最後は同じです。


二十代になって、この事を知ると先が読みたく読みたくて……


なるべく完全な形のもの、と選んだのが
「水滸伝」
  駒田信二 訳

平凡社から出版されている、上下二段組五百ページが三巻の大著。
もちろん百二十回本。

後半は戦闘に次ぐ戦闘。
無敵を誇った梁山泊軍も、一人また一人と倒れていきます。

途中で離脱した人を含めると、最後まで残って都にたどり着いたのは、わずかに27人!
この辺りが、七十回本が好まれた理由のひとつです。


でも、面白く読みましたよ。
特に中盤までは、あまり目立たない人物が活躍したり。


水滸伝で一番好きな人物はと聞かれれば間髪入れずに
「神機軍師・朱武」
と、答えます。

彼もまた後半に活躍した人物で、最後まで生き残ります。
百二十回本を読まなければ、こうはならなかったかも。


水滸伝には後日談を書いたものが、多くあるようです。

管理人なら、朱武が生き残った誰かと出会ったところから始めるのですが……

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