百八人の英雄が梁山泊に集う物語。
ご存知、中国四大奇書のひとつ
「水滸伝」
初めて出会ったのは十代半ば、子供用の文学全集の一冊。
同じ頃、横山光輝の漫画も読んでいた筈です。
但し、かなり簡略化されていて物足りない感が……解説には百八人と書いてあるのですが、本文には一部しか登場しない!
そこで、しばらく後に小遣いを貯めて購入したのが
「新・水滸傳」
吉川英治 著
当たり前ですが、百八人全て登場。
最後は少々含みを持たせて、全員が集合した場面で終わり。
しばらくは、これで満足していたのですが……
水滸伝は中国の宋の時代にあった史実をもとにして、長い期間にわたって民衆が作り上げた物語。
多くの説話が取り入れられて、現在の形になったようです。
そのため、大別すると
七十回本
百回本
百二十回本
の三種類が存在します。
近代、最も普及したのが七十回本。
吉川英治の新・水滸傳もこれがテキストになっているようです。
百回本と百二十回本は、それから先が有り戦闘相手の違いで、基本的に最後は同じです。
二十代になって、この事を知ると先が読みたく読みたくて……
なるべく完全な形のもの、と選んだのが
「水滸伝」
駒田信二 訳
平凡社から出版されている、上下二段組五百ページが三巻の大著。
もちろん百二十回本。
後半は戦闘に次ぐ戦闘。
無敵を誇った梁山泊軍も、一人また一人と倒れていきます。
途中で離脱した人を含めると、最後まで残って都にたどり着いたのは、わずかに27人!
この辺りが、七十回本が好まれた理由のひとつです。
でも、面白く読みましたよ。
特に中盤までは、あまり目立たない人物が活躍したり。
水滸伝で一番好きな人物はと聞かれれば間髪入れずに
「神機軍師・朱武」
と、答えます。
彼もまた後半に活躍した人物で、最後まで生き残ります。
百二十回本を読まなければ、こうはならなかったかも。
水滸伝には後日談を書いたものが、多くあるようです。
管理人なら、朱武が生き残った誰かと出会ったところから始めるのですが……