何度目かのソングオブザシー観賞。
あまぞんぷらいむにて。
おばあちゃん家に、おじいちゃんと思われる写真が飾ってあった。つまり、彼女は「失う」辛さを知っている。
それでこそ、もう失いたくない、苦しみたくないと、息子と孫たちを心配してる…。
家族みんな、それぞれ苦しい。
失った苦しみ。失うことへの恐れ。
それにとらわれて、身動きが取れなくなって
いた。前に進めなかった。
まるで石になったディーナシー達のようだ。
セルキーの歌はそんな心を溶かした。
映画「ブルックリン」を見てきた。
1950年台あたりのアイルランドとアメリカのブルックリンが舞台。
アイルランドネタがちりばめられてて、それが分かるのが楽しい。
アイルランド人のホームレス達が、実はアメリカを陰で作った人々だなんて。主人公の時代はひどい扱いはなさそうだけど…。1950年台より前に移住したアイルランド人がアメリカでどんな地位だったかを伺わせる…。警察官がアイリッシュで、という会話も、昔はよくあったらしいし。
(「アイルランドを知れば日本が分かる」参照)
あのシャン・ノースの歌い手さん有名人なのかな?プロかな?めちゃくちゃ上手かった。エイリシュでなくても泣く。「マグダレンの祈り」の女優さんが出てて驚いた!ノラ=ジェーン・ヌーンさん。相変わらずのキリッとした眉で、変わらないきれいな人。主人公を優しく見守る感じが出ていて、よかったな。アメリカ移住者の先輩って感じ。
アイルランド映画というと、どうしても暗い話になりがち。最近は生き別れた親子ばかり見ていた気がする。明るいとは言い切れないけれど、このブルックリンはなかなか前向きになれる映画だった。
自分自身が今、まさにホームシックの最中だから余計に、か。前の職場を夢にまで見た日にブルックリンを見るのも妙な巡り合わせ。
今年の夏は暑いですね〜。いや…、今年の夏「も」暑いですね。
喉元過ぎれば暑さ忘れると言う通り忘れていた夏の暑さを、思い出し始めている、今日この頃。
実は、今年の夏は…アイルランド映画も熱い!!(しかも面白そうな作品ばかり!)
「ブルックリン」
「フラワーショウ」
「シング・ストリート」
「ソング・オブ・ザ・シー」
7月から全国で公開されるこれらの映画は、全てアイルランドがらみ。
映画の舞台がアイルランド、もしくは主人公がアイルランド人です。
そして、アイルランド製作、もしくは、他国とアイルランドの共同製作作品。
「ブルックリン」は、アメリカに渡ったアイルランド移民の女性のお話。新しい土地で頑張り恋人ができるが、アイルランドに帰ることに。帰った先でも気になる人が現れて、さてどこで生きていくか…という話、らしい。
「フラワーショウ」は、イギリスで行われている<チェルシーフラワーショー>という有名な園芸大会に、一人のアイルランド娘が金なしコネなしで挑むという実話ベースの話。その園芸作品というのが常識はずれの「雑草だらけの庭」で?!
「シング・ストリート」は、80年代のダブリンで、少年たちが音楽で憧れのロンドンを目指す青春ストーリー!大不況下の首都ダブリンで最悪な14歳を過ごす主人公の少年が、街で大人びた少女に一目惚れして…。
「ソング・オブ・ザ・シー」については、ブログの過去記事をご参照下さい。
http://mblg.tv/dtq3gb/entry/65/?cur=category&val=3
とにかく、このアニメ映画を見ないで過ごすのは、もったいないと、声を大にして世界中に宣伝してまわりたい。
冒頭からさっそく流れるアイルランド音楽。大好きなバウロンの音色を楽しめる!
しかし、最初のシーンでの盛り上がりとは裏腹に、昔のアイルランドの厳しく辛い歴史が綴られる映画です。
アイルランドに存在していた「修道院」・・・という名の更生施設の物語。
結婚せずに子供を産んだとか、レイプされたとか、その当時カトリックが大きな規範だった
その社会で許されざる性の罪を犯した・・・とされた女性たちが、洗濯をして働いていた。
辛いけれど、食い入るように見てしまう。
面白いことはなにもない、ただひたすら悲惨な映像の連続だけど、様々なことを考えさせられる。
その当時のカトリック教会の信念から見てみたら「当たり前の罰」なんだろうな、
間違ったことだなんて、思いもしない。「清らかな修道服」を着た自分たちが、
どんなに「醜い姿」に見えるか、知りもしない。
きっと、同じようなことは、世界中で行われてる。
結婚せずに交際すれば騒がれる、たたかれる。
レイプされるのは女の人が悪い・・・カトリックという社会規範にとっては容認
してはならなかったのかもしれないけれど。でも、その規範であるはずの教会も・・・
ああ、どうかこのような施設だけは、二度と作られず、
このような行為だけは、二度と行われることのないように。