右腕と鈴の話(H×H、リンクス+シャルナーク)


「お前はすぐに何処かに行ってしまうから」

そういって、その人は私の腕にこれをつけた

ちりりちりりと動くたびに鳴るのは鈴の音

「何処に行ってしまっても私がお前をみつけてあげるよ」

だから好きなだけ色んなところを飛び回ってくればいい。


さて、そういったのは誰だったか

ちりりとなった鈴にあわせて吹いてきた風に煽られた彼女の髪が陽の光を受けてきらきらと淡い緑に透けたのがやけに眩しかったのを覚えている




「君の腕についてるそれは外せないの?」

だいぶん、サイズが合っていないように見えるけれど

12か13か、おおよそそれくらいの年齢になった頃に私にそれを問うてきたのは確かシャルナークだったと思う
とんとんと自分の右腕を上げて手首の辺りを指さす彼が小さく首を傾げる。
確認するように私が右の腕を上げると雨と風にさらされた鈴がちりりを当時と変わらない澄んだ音で鳴いた

「…わかんない」
「わかんないって」
「拾われた時には腕につけてたから」

それに、外したら私を見つけて貰えなくなる、から

「…ふうん?」

クロロはそんなことしなくてもリンクスのこと見つけてくれるでしょ

「くろろは探してくれない」
「それは否定しないけど」

それに、くろろの話じゃないよ

「ずーっと、ずーっと前のはなし」
「焼ける前の?」
「うん」

それしかおぼえてない、けど

緑色と銀色が綺麗な人だったんだ。とても


何処か、遠くを眺める少女の長い髪を冬の風が巻き上げた

りぃん

巻きあがる銀の髪を押さえる彼女の右腕に巻き付いた鈴が澄んだ音を立てて高く高く瓦礫の塔を反射して空に抜けていった

右腕と約束の話


01/19 18:25
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