親愛の笑顔なんていらない(黒バス/宮←姫 ※悲恋)

兄さんの部屋は少しだけ照明が暗く設定されている
夏の日差しが実は凄く苦手で、体育館の照明も本当はあんまり得意じゃない
きっとそれを知っているのは自分くらいのものなのだろう
我慢が苦手そうに見えて実は我慢してること、結構多いんだよね。知ってるよ、私。ずっと、ずっと一番近くで貴方のことを見てたから

「清志兄さん」
「…お前か」
「うん」

金色みたいな茶色い髪の毛の下の甘いはちみつ色が辛そうに揺れる。眉間に寄った皺が少しだけ深くなった


「これ、要るかと思って」

気付いてないふりで濡らしたタオルを被せるように乗せる。呻くように彼の喉から漏れた声にこれはお節介ではなかったかな、と少しだけ安堵した。


「あー…悪い」
「気にしないで」


コレくらいしか私には出来ないから。
呟くと、それが出来るのなんてお前くらいしかいないからやっぱり助かってる、なんて優しい言葉が返された。
貴方のその瞳みたいなあまい、甘い言葉。それだけで私の顔もあまく緩んでる…なんて知られたくなくて其れを苦い笑いに変えて下を向く


「全く、気の付く妹で」


ふ、と漏れた溜息みたいな笑い声に息が詰まる。甘く綻ぶのを押さえていた手のひらが別の意味で緊張して力が入った。


「……兄さん」
「んー?」


私は、どう頑張っても妹にしかなれないのですか


「私は、兄さんの幼馴染?」
「それ以外のなにになるつもりなの、お前」

ふは、と呆れたような笑い声と一緒に俯いた頭に温かくて大きな手のひらが乗る


「どうなったって、なにが起こったってお前は」


かわいい妹で大切な俺の幼馴染だろ


「……」
「姫芽?」
「……すきだよ、兄さん」
「何言ってんだ、俺も好きだよ」


親愛の笑顔なんて欲しくない
もっと熱のこもった目で私を見て欲しいんです


11/03 16:37
[黒バス]
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