覚え書き。


2013年5月28日(Tue) 14時15分

ハロウィン。7

25:恋人同士

「さあて。オレのカワイ子ちゃんには、どんな格好をして貰おうか」
「……恥ずかしい格好は、嫌ですからね」
「ン?恥ずかしい格好ってのは、どんなヤツの事だい?」
「……言いません。言ったらゴドーさんに着せられちゃうから」
「クッ、参考の為にぜひ聞かせて貰いたいぜ」
「黙秘します」
「頑ななコネコちゃん、嫌いじゃないが、アンタの運命がオレの手に掛かってるのは、変えようのない事実だ」
「え―?横暴ですっ」
「強引なのが好きだって言ってたろうが」
「言ってません!っていうか、なんですかその手つきは///」
「着替える為には、まず服を脱がさないといけないからな」
「っ、あ……やめ」
「大人しくしてな、ちょいとばかり身包みを剥がすだけだ」
「大人しくなんか…あ」
「おっと、可愛い爪はしまっときな」
「…ゴドーさん、っ」
「よしよし、怖くない怖くない」
「止めてって、言ってるのに…」
「クッ、震えるコネコちゃんは、温めてやらないとな」
「――もしかして、最初からそれが目的だったんじゃ……」
「黙秘するぜ」
「この…エロおやじ!」
「お褒めに預かり、光栄至極」
「バカ、もう!////」


end。20101025


26.小説家

「……三年寝太郎じゃ、様にならねえな」
「何の話ですか」
「ン?今月末日のイベントの事さ」
「今月末?…ああ、ハロウィン」
「アンタに似合いの仮装を探してるんだが、大体が寝てばかりだからな。なかなか見つからないんだ」
「……別にやらなくてもいいんじゃないですか?」
「クッ、それがそうも言ってられないのさ」
「?」
「煩いジジイども…っと、お偉方からのお達しでな。どんな手段を使っても、アンタをイベントに参加させろとの厳命だ」
「………………………面倒臭い」
「クッ、諦めろ。アンタは連中のお気に入りだからな、たまに遊んでやれば喜ぶぜ?」
「家で寝てた方がいいのになあ」
「ああ、良いのがあった。『眠れる森の美女』――これなら寝てるだけでも、様になるし目の保養にもなる」
「……嫌ですよ」
「悪いがアンタに拒否権はない。なあに、ただ寝てるだけだ、楽なもんだろ?」
「もっと違うのがあるでしょ?」
「ない」
「…そんなにキッパリ言わないで欲しいなあ」「衣装は用意しておく、当日――逃げるなよ?」
「分かりましたよ。その代わり後で美味しいもの、作って下さいね」
「ああ、お安いご用だ」


end。20101026


27.光

「却下」
「クッ、何も聞かない内に却下とは公平性に欠けるんじゃないか?なァ、弁護士さんよ」
「テメエの言いそうな事は、予想がつくからな――だから『却下』だ」
「いったいどんな想像をしたのか知らないが、ハロウィンの仮装をするだけだぜ?」
「フン、仮装の内容を言ってみな、検事サン」
「そりゃあ勿論『コネコちゃん』の……」
「異議あり!!」
「クッ、本人からの異議申し立てだぜ?」
「なんだい?コネコちゃん」
「なんでハロウィンの仮装が『コネコちゃん』なんですかっ」
「それ以外ないからな」
「おいおい、随分キッパリと言うじゃねえか」
「ならアンタは、どう思う?」
「………異議はねえな」
「ちょっと、兄さん!」
「だろう?」
「そうだな。最初の却下は取り消す事にするぜ」
「物分かりのいい弁護士、嫌いじゃないぜ」
「二人ともいい加減にしてよ!」
「ン―?何かニャアニャア聞こえるな」
「兄さんっ!」
「迷子のコネコでも、いるんじゃねえか?」
「ゴドーさんもっ!」
「おっと、危ねェ。どうやら気が立ってる様だぜ?」
「〜〜〜〜!」
「甘いモンで、機嫌を取るか」
「異議あり!」


end。20101027


28.祈り

「裸の王様なんか、どうだい?」
「勿論、ゴドーさんが――ですよね」
「いや。アンタだ、まるほどう」
「やりません」
「クッ、相変わらず我が儘なコネコちゃんだぜ」
「コネコちゃん、関係ありませんから」
「おっと、『コネコちゃん』と呼ばれる事には、異議なしという訳だな」
「違います」
「『裸の王様』が嫌なら『雪の女王』にするか」
「…チョイス自体に間違いがある事に、気付いて下さい」
「何がいけない?」
「ハロウィンの定番でいいでしょう?例えば吸血鬼とかミイラ男とか…」
「クッ、そんな人と同じ事をして何が楽しい?奇をてらわずして何のハロウィンか」
「……普通でいいです」
「だからアンタはトゲトゲでギザギザで童顔なんだ」
「全部関係ないでしょうが!」
「仕方ない、百歩譲って『マッチ売りの少女』にしてやる。それ以上の異議申し立ては全て却下だからな」
「…だから――――」
「いいじゃねえか、一年に一度しかないイベント――楽しまなきゃ、損だぜ」
「楽しいのはゴドーさんだけでしょ」
「そんな事はない」
「………分かりましたよ。そのかわりゴドーさんも一緒に、ですからね」
「ま、しょうがないな」

end。20101028


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