カスタード風のなにか


2015/1/11 Sun 22:00
推理小説もどき

雪の舞う夜道を、ガス灯の薄ぼんやりした灯りが照らしている。
人がいるのが辛うじて分かる程度…そんな道を軽い足取りで歩く男がいた。
「雪…なつかしいな」
口元を綻ばせた男は、ステッキの持ち手をくるくると回しながら真新しい雪の上に足跡を残して行く。
その後ろからばたばたと、息を切らしながら着いて行く少年の事などお構いなしである。
「…ちょ、っとぉ…!!笹原さん!速いよ!」
「なんだい隆春、もう疲れたか?」
「笹原さんは大人で、おれは子どもだから!足の!長さとか違うでしょ!疲れるに決まってら!」
「おお、これは失敬した隆春殿」
「…またそうやっておちょくる…」
呟いた隆春は徐に雪に手を伸ばし雪玉を作ると、すでに歩き始めていた笹原の背中にぶつけた。


comment 0




[このブログを購読する]









-エムブロ-