マリオとフランクの手により、即座に射殺される刺客。


「コイツぁ…マルコーネ・ファミリーのもんだな……こないだの報復ってワケか…」


アリッサはすでに事切れていたが、ジュリアーノが抱えるビアンカはまだ息があった。


「しっかりしろ、ビアンカ!!」


それに応える様に、目を開けるビアンカ。


「…ジュリー、怪我は…?」


「僕は平気だ…」


「良かっ…た……」


そのまま、ビアンカは気を失った。


「うっ…ビアンカ?おいっ…マリオ、病院だ!早く医者へ連れて行け!!」






ビアンカは、持ち前の治癒能力で奇跡的に回復したが、医師の勧めで2、3日は安静にする為、入院することになった。

ベッドに眠るビアンカに寄り添い、心配そうに見詰めるジュリアーノ。
頭に巻かれた包帯が痛々しい。


「ビアンカ…悪かった。君を巻き込んでしまって…」


「あなたが謝ることはないよ。ジュリー…」


目を覚ましたビアンカは、ジュリアーノの手を強く握る。


「僕は、君が好きだ。だけど、こんな形で君を傷つけてしまうなんて…君を守れない僕の責任なんだ。僕に君を愛する資格なんてない…」


「わたしもあなたが好きよ。だから、もう自分を責めないで……」


「ビアンカ……僕は、君を傷つけた奴を許さない。マルコーネには必ずケジメをつけさせてやる!」

再び、手を握り返すビアンカ。

「ジュリアーノ。もう争いは止めて……」


「これが、僕達の流儀なんだよ…」


不意に病室のドアが開くと、マリオが様子を覗いている。


「ボス。お客さんが来てますぜ…」


「客…?」




「ビアンカたん!!」


素っ頓狂な声が響いたかと思うと、金髪を振り乱したミカエラが病室に突入してきた。


「ミカエラ!?」


「あなたに会いたくてラボミアから飛んで来たのよ。怪我したんだって?」

ビアンカに抱き着くミカエラ。

「痛っ…痛いよミカエラ……まだ完全に治ってないんだから…」


「あっゴメン!大丈夫?だった?」


「大丈夫じゃない!」


そこへ、質素なスーツを着たアンジェラもやって来た。


「やあ、元気…とは言い難いようだが…久しぶりだな、ビアンカ…」


「アンジェラさん!」


振り向いたジュリアーノは笑顔で迎えた。

「姐さんも来たのか。国の方はいいのか?なにしろ、あんたは…」


「今はゲリラも散り散りだからな。アルメイダ将軍にすべて任せてきた。今日はお忍びだよ…」


「ビアンカの見舞いにしては早いな…何か話でもあるのか?」


「ああ、その事だが…」


アンジェラは、ラボミアの治安が大分落ち着きを取り戻して来たこと。
父エステバンの件は水に流し、新しい危機に対処する為にビアンカが必要で、迎える準備が整ったことをかい摘まんで話した。


「そうか。僕も、実は同じことを考えていた…」


「えらく素直だな?…この怪我のせいか?」


「ああ、僕の所に居ては危険過ぎる。まだ、あんたの所の方が安全じゃないかな…?」


それを聞き、起き上がるビアンカ。

「ジュリアーノ。本気で言っているの?」


「ああ、君は僕から離れた方がいいと思う…」


「そんな……やだよ。わたし、ジュリアーノの傍を離れたくない!」


それを聞いて愕然としたのはミカエラだった。


「ビアンカたん。何を言ってるの?やっと、わたし達、一緒に暮らせるんだよ!?わたし、ビアンカたんが居ないと寂しくて死んじゃう!」


「ミカエラ……」




「待ちたまえ。その話なら、わしも加えてくれんかな?」


突然、話に割り込んで来た声の主は、メタネーロ産業の会長ファビオだった。









《続く》


初掲載2009-12-13