2019-4-28 00:14
大変大変長〜〜〜くなりましたが。
本日ついに『
エマニュエル・サーガ―黄昏の国と救世軍―』の第6章が完結しました!
話数にして全52話。他の章の1.5〜2倍に匹敵する長さです。さらに6章連載開始時の日付を見ると2018年5月20日となっておりましたので、ほぼ1年かけての連載となりました。本当にとんでもない長期連載だった……しかし偶然ではあるものの、平成の終わりと同時に完結させることができて何だか感慨深いです。お付き合い下さった読者の皆さま、本当にありがとうございました!
そんなわけで今回も恒例の完結した章にまつわるあれやこれや≠好き勝手に語っていきたいと思います。例によって長文になりますので興味のない方は回れ右。作者の自己満に付き合ってやってもいいよ、という方は右下の「続きを読む」のリンクからどうぞ。
あ〜……何はともあれ。
まずは本当に長かったです、6章。プロットの段階ではもう少し話数少なめでいけるかなと思っていたのですが。見通しが甘かったですね。
6章は最初から最後まで、ひたすら獣人居住区のためにカミラたちが奔走するお話でしたが。最初のアーサー来訪から獣人区上陸、フォルテッツァ大監獄潜入、アシュタ川の戦い、そしてオヴェスト城攻略戦と大イベントが盛り沢山でした。
今章ではようやくエマニュエルで暮らす獣人たちの一部がお披露目。皆さまお気に入りの獣人は見つかりましたでしょうか?
長谷川はなんと言ってもやっぱり猫人ですね(笑)
元々猫好きなこともあり、アーサーの容姿やちょっとした仕草の描写をする度に「猫飼いたい病」の発作が起きて大変でした。『
子連れ竜人のエマニュエル探訪記』の方にも今、猫人が登場してますが、もしかするとエマニュエルで暮らす全獣人の中でも作者は猫人が一番かもしれないです(次点が竜人。なお子連れ竜人の方に登場している白猫のエクターは、6章で活躍してくれたアーサーのお祖父さまです)。
ただ心残りがあるとすれば、獣人居住区の非戦闘員である羊人や犬人をまったく描写できなかった点でしょうか。プロット段階では獣人区にある全種族の集落をカミラたちが回るという案もあったりしたのですが、それをやっているとさらに話数が嵩むのと、作中の経過日数的に無理があるだろうということで没になりました(あんまり待たせすぎると十中八九、ルシーン様の堪忍袋の緒が切れますからね……笑)
しかし猿人族が暮らす巨人樹の森とか、カラフルな犬小屋(ビッグサイズ)が並ぶ犬人族の集落とか、書きたかったなあ。機会があればいずれ番外編とかで、読者の皆さまをもう一度ビースティアへご案内できたらと思います。
あとは今回、物語のキーとなっていたのが角人族。彼らは黄昏本編に登場する唯一の亜人で、エマニュエルという世界そのものの鍵をも握っています。そのせいで謎めいた言動が多く、伏線をバラ撒くだけバラ撒いていなくなったように見えますがご安心を。テレルたちは9章あたりで再登場してくれますので、その際の伏線回収にご期待下さい(笑)
他に6章で登場した新キャラと言えば、なんと言ってもコラード&メイベルですね。彼らは間違いなく6章のヒーローとヒロインでした。
この2人を6章の主役に据えたのは、ひとえに彼らが異邦人だから、に尽きます。6章では救世軍が理想のために人種(種族)の垣根を越えて一致団結する姿を描きたかったので、シャムシール人として差別されるコラードと、故郷で迫害を受けながら育ったメイベルという2人組をお話のメインに持ってきました。
これはジェロディが生命の平等を謳うハイムの神子であることにも由来します。平和、自由、平等といった現実世界にも通じる理想を叶えるためには、異なる人種や境遇の人々が文化的・思想的違いを乗り越え、手を取り合うことが必要不可欠。そもそもこの地上に人種≠ネんて壁を作ったのは人間で、その壁を破壊する手段を持ち得るとしたら、それもまた人間のみである……なんて綺麗事を改めて標榜したくて今回の章を執筆しました。
実際、現実世界での私たちに置き換えてみても、人種差別云々以前に、同じ日本人同士だって地域や環境の違いによって分かり合えない、許し合えない現実と直面します。同族同士でさえこれなのだから、まったく違う文化の下でまったく違う言語を操り、まったく違う価値観と共に育った人々と打ち解けるという道のりは途方もなく困難を極めるはずです。
でも、国家や世界といった規模で考えると到底実現不可能に思えてしまう相互理解も、個人と個人の間であれば可能になります。たとえばジェロディとテレルがそうしたように、トリエステとウーがそうしたように、そしてコラードとメイベルがそうしたように。
互いの言葉に耳を傾け、相手を理解したい、仲良くなりたいという想いを捨てなければ、両者の溝を埋めることも不可能ではない……と個人的には思っています。
それこそ綺麗事だと笑われそうな話ではありますが、私も過去に色んな国籍の人々と触れ合う機会があり、その人の出身国に対するイメージと、その人個人に対するイメージは必ずしも符合しないことを学びました。
要はどこの国の人間だろうと善人は善人で、クソ野郎はクソ野郎なんです。まずはそれを自分自身の目と耳で確かめることがスタートライン。この世で真実と呼べるものは、いつだって自分の目で見て手で触れて肌で感じたものだけですから。
そうして草の根からの和解と友情の輪を広げていくことができれば、いつか遠い未来、人類が人種の垣根なく家族≠ノなれる日が来るんじゃないかな……なんておめでたい夢を6章には練り込んでみました。言うは易く、行うは難し≠ネのは分かってるんですけどね。
かく言う長谷川は学生時代から「色んな国へ行って色んな文化を学んで、色んな人と触れ合って色んなことを知りたい!」と渇望しているタイプの人間なのですが、経済的・語学力的にどうも不可能っぽいので来世に期待!とわりと真剣に考えているところです。
生きてるうちに海外、行きたかったなあ……。その夢が叶わなかったから今こうして、エマニュエルという脳内世界を放浪してるんですけどね(笑)
それから6章はなんと言ってもカイルの章。彼についてはマリステアやウォルド、ヴィルヘルムのように5章で掘り下げることができなかったので、ひと足遅れて6章での掘り下げとなりました。
一応まだ細々とした謎は残っているものの、カイルがどういう事情で救世軍に入り、何をして何を考えているのか、というのはおおよそ書けたかなと思っています。あんまり語りすぎるとネタバレになるので、あまり語れることは多くないのですが、どうやらカイルもスパイものお約束のハニートラップにかかってしまったようですね(笑)
ここから先、カミラに本気で恋してしまったカイルがどういった選択をしていくのか、そちらも楽しみに読み進めていただけましたら幸いです。
他にもカミラにまつわる謎がちらほら増えたり解明されたり、ジェロディが背負う神子の宿命の形が次第にはっきりしてきたり。6章はそういった意味でも盛り沢山の章でした。
ちなみに次章は通常どおりの長さに戻りますが(2019年4月28日現在、7章脱稿済です)、なんと章の半分が日常回という異例の構成です(笑)
もう半分はいつもど〜りの殺伐とした内容ですが。そこに突入する前に、ちょっとじっくり各キャラクターの内面を掘り下げて、誰が今、何を想い何をしようとしているかを明確化してみました。
ドキドキハラハラのスリリングな冒険や戦闘を期待して下さっている方にはやや退屈な章になってしまうやもしれませんが、カミラたちが今後さらに激化する戦いを乗り切る上でどうしても必要なパートですので、しばしお付き合いいただけましたら幸いです。
なお6章最終話のあとがきにも書かせていただきましたが、GWは新章突入記念ということで5/1(月)〜5/5(日)の5日間、ESを毎日更新いたします!
でもって8月からはいよいよシリーズ新作の連載も始まる予定ですので、引き続きどっぷりエマニュエルに浸っていただけましたら幸いです。
と言っても本当に連載開始できるのかちょっと怪しい……というか、仮に連載始めたところで両立できるのか、ストック的にかなり厳しい状況ではあるのですが。連載開始まで残り2ヶ月ちょい、死ぬ気で走り抜けたいと思います。
そんなこんなで、今後もエマニュエル・シリーズを何とぞよろしくお願いします!