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SS

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「チィ!」
わふっ、と返事をするのは千明の飼い犬、チィだ。

「久しぶりだね」
綺麗に立て替えられた東雲事務所に仁はいた。

「仁、何しに来たの」
事務所の主、東雲千明に聞かれて千明を見る。

「千里とここで待ち合わせなんだ」
「あ、そう」
「日立さんは?」
「上」
千明は二階を指す。

「日立に用?」
「ううん。いないからどうしたのかなって思っただけ」
チィを撫でながら仁は答えた。

「チィ、年とったね」
「そりゃあ、10年以上生きてるからね。あと数年かな、一緒にいられるのも」
「……」
「チィのうちに来た話、したっけ?」
仁は首を振った。

「母一人、子一人だったじゃん? 一人にするおれを心配した母親が訓練された犬を買ってきた。それがチィ。後で知ったけどチィをおれにくれたのは父さんだったんだよ」
「父さんて、……千鷹さんだよね?」
「他に誰がいるの」
千明が笑う。

「そうなんだ。千鷹が。千鷹さんて千明からみてどんな人だった?」
千明はちょっと考えて言った。

「よくはしてもらった……と思う。でもよくわからない人だったな。何考えてるのかわからないと言うか」
「ふうん?」

仁は首をかしげた。聞く人によって千鷹のイメージが違う。

千里は嫌いだと言う。
時雨は優しいと言う。
千明はよくわからないと言う。

逆に仁は千鷹という人に興味が出てきた。


事務所のドアが開く。

「仁、帰るぞ」
千里が入口で仁を呼ぶ。

「……」
「仁?」
「あ、うん」
慌てて立ち上がる。ガツンと足を椅子にぶつけた。

「いたっ」
「大丈夫か?」
千里が近付いてくる。

『間抜けな奴だな』
笑った声が聞こえた。

はっと顔を上げる。

「どうした?」
千里がすぐ側まで来ていた。

「……ち」
(千鷹さんだ!)

仁は直感でそう思った。

千里が来た時、千里と誰かが重なるようにして入ってきたように見えた。そして千里と似た声。

「仁?」

こんな体験初めてだった。

「仁!」
「千里……。うん、帰ろう」

千里に言っても信じないだろう。相手は千鷹だ。

また、出てきて欲しいなと密かに思う。


「……ていうか、間抜けじゃないし」
「は?」
「あ、ごめん。こっちの話」

ちらりとチィを見ればじっとドアのほうを見ている。

チィのしっぽがぱたぱた揺れている。

まだいるんだなとドアのほうを見たが、仁の目には千鷹は見えなかった。

千里と重なってみえたもの。
それは千鷹。
千里そっくりだった。いや、千里が千鷹にそっくりなのだ。

(また、会いに来てよ)
仁はそう思いながらドアの横にいるであろう千鷹に言った。

「またね、千明」
「うん」

千里と外に出ると千草が車のドアをあけて待っていた。


☆★☆★☆

メルマガにオマケとしてつけたSSをこちらに移しておきますね。

少しだけ訂正入れました。

ごめんなさーい!

ああ、やってしまいました……。

夜中にメルマガ更新すみません。

日にち時間設定するつもりが、する前に送ってしまいました……。

起こしてしまった方は申し訳ない、ほんと。

メルモの配信の仕方に未だ慣れない。


ああ、もう……。



日々チマチマと書いてますが、日がたつのって早いですね。

あと1ヶ月ちょいで今年の折り返し地点が来るとか思うと……。

早いとこ更新しないとと気は焦るんだけども(´д`)

チマチマ行きます。塵も積もれば山となるといいますしね!



メルマガの頻度もうちょい頑張って上げよう。

で、メルモの配信に慣れようとか思います。

次は夜中に配信なんて事にならないようにします。
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