高校生パラレルの男子視点。



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「どうしよう。おれ、ボニーが好きだったみてェ。」

 今更すぎる発言に、おれとサンジは互いに顔を見合わせる。好きだったも何も、どこからどう見てもこいつたちは相思相愛のバカップル(失礼!)で、おれたちに内緒で付き合っているんじゃないかとさえ疑っていたのだ。

「おまえらしくない。いきなりどーしたんだよ?」

 サンジはアールグレイの紅茶を啜りながら冷静に返す。ちなみにおれは大好物のコーラを飲んでいて、不健康で食の細いローは何ひとつ口にしていなかった。彼はタバコの紫煙を吐き出しながら、再び口を開く。

「…今日、知らねェ女に告白されてるとこをボニーに見られちまったんだ。まあまあ良い女だったんだが、面倒だからフったら、そいつ泣きながら逃げやがって、」

 サンジは紫煙を吸い込んでしまい、盛大に咳き込む。普段なら彼は『これだからお坊ちゃんは』と馬鹿にするというのに、今日の彼は手にした煙草に目を落とすばかりで一向にからかいもしない。おれは相槌して、先を促す。

「そうしたら、あいつ『可哀想だから付き合ってやれよ』って詰め寄ってきたんだ。無性に腹が立って突き飛ばしちまって。……すげェ悲しくて辛くて、なんでかって考えたら、相手がボニーだったからなんだよな。あいつに、…好きな奴に、他の女と付き合えなんて言われたくなかったんだ。どうして今まで気付、」

「あー、もう分かったよ。」

 サンジは涙を滲ませながら強引に煙草を奪い、灰皿に押し付ける。気にそぐわないことをされると手が出てしまうのはどうやら性分らしく、彼はサンジを一発殴ると再び煙草を吸うべくポケットを探り出す。おれはサンジの涙を袖で拭ってやる。

「…ハ、おまえの行動は餓鬼じみてるよ。ボニーは泣いてるだろうな。でも、気付けて良かっただろーよ。そこを目撃されなかったら、この気持ちに気付くこともないまま卒業してたんだぜ?」

 サンジは席を立ち上がり、真正面のローの額を指差しながらそう諭して、頬が痛むのか少しだけ顔をひきつらせた。そう。明日でおれたちは卒業なのだ。ローも、サンジも、おれも、ボニーも。…それから、ナミも、ロビンも。





「早く明日が来りゃいいのにな、」

(みんなとさよならしないために。)



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少しばかり、サンジ→←ナミかつフランキー→←ロビン。この年頃は男子の方が恋愛に楽観的だった記憶があります。最後の一文で、男子勢が明日の告白を決意したことを読み取って頂けていたら嬉しいです。






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