本当は寂しいのに一度も弱音を吐いたことがないお母さん。だから私も弱音なんか誰にも吐かなかった。吐けなかった。そうやって強い人間を演じていた私を初めて弱くさせてくれたのは、皮肉にも私に強い力を与えてくれた妖精だった。彼はいつも私の側にいて、いつも私を守ってくれた。それは初めての経験で、頑なに独りで強くあろうと意固地になっていた私の心を温かく解してくれた。私は彼の前でだけ本音を言えて、弱音も吐けた。私に取って彼はパートナーでありながら、父親であり、親友であり、恋人だった。だから私は、たった一人のプリキュアでも寂しくなんかなかった。全ては、彼が一緒にいてくれたから。


「君は本当に泣き虫だね」


違う。違うの。それはあなたの前だけ。私はあなたがいなきゃ笑うことも泣くことも上手くできないの。こんなことならあなたと一緒に私も滅びてしまえば良かった。口から出かけた言葉。けれどそんなことを言えばあなたはきっと怒るわよね。だから私は戦うわ。あなたが私に起こしてくれた奇跡を無駄にしないように。あなたがこの世に存在した証を残せるように。大好きだった。ううん、ずっとあなたが大好き。天国から私のことを見守っていてね。だって私はあなたが共にいてくれたなら怖いものなしなんだもの。





(さよならは言わないわ)






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