スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

かさちさ

中学生のとき美術で
「自分の手を描いてみましょう」
という授業があった。

私は目に映った手の一部から
丁寧に書き始めた。

授業が終わって出来上がった絵は
親指だけ皺までバッチリ書かれた
歪な手だった。

時間は足りなかった。

一部分だけを見て
完璧に書こうとしたから
パズルの組み合わせのように
一部が集まっただけの歪な手になってしまったし、そもそも時間配分なんて考えていなかったから手として完成もしなかった。

先生はその絵を見て言った
「もっと全体を見て書こうね。」

周りを見渡すと
クオリティはそれぞれだが、
クラスメイトたちはちゃんと
「手」を書いていた。

私が書いたのは
「親指」と「人差し指」と「手の甲」。

『そうか、まずはなんとなくの輪郭から書かなきゃいけなかったんだなぁ』

私は手の書き方を知った。

次の授業は
「クラスメイトを書いてみましょう」
だった。

一人、モデル役が選ばれて
みんなの中心に立った。

私はクラスメイトの頭から丁寧に描いた。

出来上がった絵はクラスメイトの首までだった。

時間は全然足りなかった。

これは授業の定番になった。
毎回、授業の最初の5分間
誰かの全身を書く。

私はいつまで経っても
首までしか書けなかった。

『そうか、もっと全体を見て書けばいいんだ!』

そう途中で気付いたけれど、
全体を書こうとしているうちに
一部が気になって
そこを書いてしまうから
結局毎回絵を完成させることができなかった。


いつだってそうで
「頑張っているのは分かるんだけど…」
って言われてしまう。

そんな人生をおくってきた。
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2017年02月 >>
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28
プロフィール
てみ+さんのプロフィール
性 別 女性