続・徒然なるままに
<特報>監視に脅迫…圧力受ける内モンゴル出身者 - 産経ニュース
2023/02/03 13:26
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<特報>監視に脅迫…圧力受ける内モンゴル出身者 - 産経ニュース

https://www.sankei.com/article/20230203-7YWZLTFV5ZKFBPJX5EHFVAJF5Q/



2023/2/3
中国・内モンゴル自治区出身者も参加した、祖国の専制主義に抗議し自由や人権の価値への理解を訴えるデモ活動=令和4年12月10日午前、東京・銀座(奥原慎平撮影)


中国政府の民族政策に批判的な内モンゴル自治区の出身者は、日本でも中国当局とみられる圧力に直面している。ある有識者は日本に帰化したが、当局の監視下に置かれ自治区への帰還を求められた。民族文化の存続を願う出身者は、集団で尾行などの嫌がらせを受ける。こうした抑圧の手法は組織立っており、中国の警察が日本にも設置する「海外派出所」の関与を疑う声もある。

「実はあなたのことを中国に報告している。自治区にいる私の親戚が人質になっているためだ」

内モンゴル出身の静岡大の楊海英教授(文化人類学)は最近、周囲の内モンゴル人にこう打ち明けられた。この人物は楊氏の情報を中国当局に提供すれば、月額10数万円の謝礼がもらえると内情を語った。別の内モンゴル出身者も中国当局から「密告」を推奨されたが、拒否したと楊氏に明かしていた。

静岡大学の楊海英教授=19日、東京・大手町(寺河内美奈撮影)


楊氏は平成元年に留学のため来日し、12年に日本国籍を取得した。ただ、楊氏が文化大革命期の内モンゴル出身者の虐殺を著書などで発表しているためか、20年頃から自治区に帰省するたびに治安当局者に連行され、楊氏自身を含む内モンゴル出身者の日本での活動について取り調べを受けてきた。当局者が持つ分厚いファイルには、楊氏が日本で誰と会ったかや学内の人間関係など、公開していない情報が記されていた。

28年3月に訪れた自治区の区都フフホト市では、治安当局幹部は、楊氏に関する密告の奨励を裏付けるようにこう発言した。

「あなたの日本での行為は反中国の罪だ。あなたが日本にいてもちゃんと見ている。日本にいるからといって、何でもできると思うな。これは最終警告だ」

昨年10月には静岡大(静岡市)に中国人名を名乗る男性が訪れ、自治区オルドス市の地方裁判所が楊氏に宛てた「出廷命令」を大学側に提出した。楊氏が一昨年自治区で死去した父親の葬儀に出ず、自治区の親族が扶養放棄などの罪で楊氏を訴えたという。

楊氏は「日本に帰化した私に『中国で裁判に出ろ』というのは国家権力の越境的な行使ではないか」と語る。さらに当時は新型コロナウイルス禍で中国への渡航も事実上不可能だった。

内モンゴル出身者への圧力は楊氏に限らない。複数の出身者は自治区の親族や知人を通じ、中国の治安当局者から日本で中国政府に批判的なデモや集会に参加しないよう脅されている。「参加すれば親族を刑務所送りにする」といわれた人もいる。

別の出身者の実家には治安当局者が頻繁に訪れる。親族とビデオ電話で話していた際、当局者を名乗る男が画面上に現れ、日本での活動について細かく内容を聞いたこともあった。

出身者でつくる「世界モンゴル人連盟」が令和2年6月、東京・浅草橋の事務所で、モンゴル文化に関する勉強会を行った際、中国語を話す集団が事務所前に現れ、出席者を撮影したり、尾行したりした。近くの建物から事務所を撮影する者がいたことも分かった。同様の行為は計4回繰り返されたという。

スペインの人権NGO(非政府組織)は昨年9月の報告書で、中国の警察が国外に「海外派出所」を設け、反体制的な活動を行う在外中国人を監視していると指摘した。派出所は東京と愛知を含め53カ国計102カ所にあるという。

楊氏は、モンゴル人連盟のメンバーへの尾行や撮影について「統制が取れた組織的な動きだった」と振り返り、自身への「出廷命令」も含め、中国当局の関与を指摘している。(奥原慎平)

楊海英(よう・かいえい)氏 日本名・大野旭。静岡大学人文社会科学部教授。1964年、中国・内モンゴル自治区オルドス高原生まれ。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。主な著作に「墓標なき草原―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録」など。










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