横隔膜は下げるのか下げないのかなんてことじゃなく、もっと丁寧にここを観てみよう。

横隔膜の在り方には絶妙なチカラ配分を要するとおもいます。下肚正中心の「ここしかない」といった位置どりにも勝るとも劣らない「これしかない」バランス。

上肚真中心における、下肚正中心で云う「腰」に相当する場所は、胸椎十二番である。大腰筋の一番上です。 ここを「入れる」のだ。それにより横隔膜にはチカラは込めない。下げも上げもしなくていい場所で、居着きもせず、あらゆる動作にネットワークを張り巡らせる。


横隔膜は、ビビると固くなってやや上がる。すると身体能力に諸問題が生じる。 このことを熟知しているであろうトレーニング業界のカリスマみたいな人が、プレッシャーのかかる場面で、ものすごい深呼吸をしていたのを見たことがあります。さすがカリスマトレーナー。しかしながらシンタイコウとしましては、そうした体主霊従発想的なアプローチは、とらない。 芯からリラックスできるとは到底おもえないからである。


横隔膜は、5割は随意で操作できても、もう5割は不随意の運動である(この数字は科学的数値というより適当な言い回しに過ぎませんが)。不随意の5割の運動には手も足も出せないかというと、そうではない。

内観によってありのままの横隔膜運動を観察する。そのとき、表面的な意図(キンチョーしちゃダメだ、とか、カクカクシカジカじゃなきゃアカン、とかいった考え)と、カラダが発している本心本音が一致していないことを見抜ける。意図と本心は争うのでなく協調に向かう。 意図が本心を制圧したり弱い本心がそのまま弱さを露呈するわけではないのである。

プレッシャーのかかる場面で急にそんな内観を始めたって、上手くいかないし時間もないことでしょう。この作業は緊急にやるようなことではなく、普段から普通にやっているのがいいのである。