【小説】うちの母が宇宙の被捕食者だった件D

 オカンの日記は俺の事ばかり、正確には俺の体についてしか書いてない記録だった。
読んでたら俺は家畜になった気分になった。
だけど1つだけ分かる事。
俺はいつもオカンの1番だったって事だ。
その証拠にあれだけべたべたしてた親父の事は本当に書いてない。
ざまあみろと思ったが別にマザコンではないからな。
行き先の手がかりになりそうな最近の記述には、何故か俺のトレーニングメニューを書き出してある。
退院したばかりだから今は無謀だが、頭蓋骨がもう少し塞がればやってみてもいいかと思う。
 まー、何食か食べなければ痩せるし走らなくてもとは思うが。
 ところでうちのオカンが俺の食生活にやたら熱心なのは女子大で管理栄養士たらいう資格をとったからだが、居なくなった今は好きにジャンクフードを食べれるのにあの日の他人丼が恋しいなんて意外だ。
あ、いや、マザコンじゃないぞ。

 猛烈に腹がへりカップ麺でも食べに台所に行く。
俺は部屋を別物にされてから引きこもれなかった。
物にあふれた空間に落ち着いていたのに、今のあの部屋、それに家中落ち着かず、いっそ外に散歩に出る方が気楽な時もある。
でも近所のババアどもに見つからんようにしないと。
やつらがこそこそ俺がクズで救いようがないと陰口叩きまくってるのがくそウザい。
前にオカンが表であけすけに言われたのが聞こえてあの時だけは悪いと思ったぐらいだ。



 同じ時間、違う場所で━━
 とにかく、あいつがどうしようもないクズになったのは自分のせいだとマクアサラスは思っていた。目にする度に自分のコピーがいるようで目をそらさぬだけで精一杯なのだ。
遠い昔故郷の軌道星を出る時に親代わりの師匠に言われた事をいつも思い出す。
「マクアサラス(星)から離れるのはお前にはいい事だ。お前みたいな男は知り合いを狩るには向かん。むしろ異星人相手のはぐれ狩人がいい。情を捨てろ。わしからの助言はそれだけだ」
 故郷を離れてより永い間マクアサラスという生まれた星の名で呼ばれ生きてきた狩人は、狩人としては並外れたマクアサラス星人特有のわずかな匂いもまとわぬ肉体をして外宇宙の高価な食肉を狩り続けてきたが、今やその人生に飽いていた。
それで死にたくなったのか。
ある時、地球で狩った食肉から外した種を自分で飲んだのだ。
だが、マクアサラス星人はそこまで稀代な人種だったものか、種の生き物はマクアサラスの意識を飲み込みもせず、何故か眠ったままのような状態で彼の中にとどまってしまう。
そのまま何年もの間、マクアサラスはどういう事になったのか考えながら生きてきた。
眠ったままのような種でも、食肉の匂いを発しておりそれを追って狩人達は来た。
 あれから━━
あまたの狩人を撃退してきた。
初めは自分の意識を保ちながら狩人におめおめ殺られる訳にはいかず。
死んでもいいと思いはしても凄腕の狩人のプライドが弱い奴に殺られる事を許さない。
 そしてここ30数年。
マクアサラスは今もひたすら戦い続けていた。
ただ、理由は変わった。
それは彼女に出逢ったから━━

 初めての時こんなに旨そうなくせに軟らかな匂いは初めてで。
どんな食肉の匂いも今では自分では食べる気も起こらぬ強い匂いに感じ気持ち悪くなるは、狩られる立場を経験し狩人をする気もすっかり失せていた彼だったが、彼女の匂いだけはそこはかとなく忘れ難く、いっぺんで心をつかんでしまった。
あれから、彼女と、自分が彼女といられるようにとだけを思い戦うようになったのだ。
彼女の為に生きたいと思えた!

 そして1つ彼女を知って理解してきた事がある。
食肉は他の食肉の匂い(この場合はマクアサラスの中の種だ)には気づかず、普通の狩人の匂いは感じるらしいという事だ。
 そこから仮定すると、食肉を育てる種達はもしかしたら入った先の人間の匂いで目覚め、元の人間の意識を支配下に置き、食肉を育てるのではないか?
狩人の彼にはただの人と食肉の匂いの違いは分かるが、種は多分人間の匂いと(無臭でない)狩人の匂いしか分からないから、その2つの匂いにしか反応しないのだろう。
 その証拠に彼女は元々無臭の狩人マクアサラスが食肉の(種の)匂いを出していても、何も気づかなかった。
マクアサラス星人の数割かは彼のように無臭だが、あの星でも狩人達は食肉の匂いを辿って狩りをする。
つまり、食肉の種は食肉以外の匂いがある肉にしか反応せず、極めて資源に乏しいマクアサラス星人で無臭な者は高給取りの狩人になるのが当たり前なので、無臭のマクアサラス星人に種が入るような珍事は偶然にもおよそ起こり得なかったという訳なのだと思う。

 ただ、マクアサラスだって分かっていた。彼女が今の体のままずっと居られない事は。
彼女が種である限り育てた食肉を無駄にはしたくないのも。

 だからあの日狩ったのだ。
         続く

『ベルセルク』動くベヘリット&覇王の卵

またまたワンダーフェスティバルで紹介されていた『ベルセルク』のガッツが持っているベヘリット(愛称ベッチー)と、グリフィスが黄金時代編で首からかけていた赤い特別なベヘリット『覇王の卵』のフィギュア(?)です!
重心移動により目が開閉する楽しい仕掛けらしいですよ
実物見ると買いたくなっちゃいそうだなあ 

『Bプロ』ひっかけフィギュア〜キタコレ〜

『Bプロジェクト 鼓動アンビシャス』からひっかけフィギュアのキタコレ(北門倫毘沙&是国竜持)です
是国君が欲しかったのでついでに相方の北門君も獲っときました クマシエルは本当に是国君が大好きなのですね! だって可愛いんですもの キタコレの2人は歌もとてもとてもいいですよ〜

【小説】うちの母が宇宙の被捕食者だった件C

 親父が俺をいやーな目で見てくるのがほんとにキモくて、いつも怒鳴りつけたい気持ちを抑えるのに必死になる。
 親父はその日病院で目覚めた俺に、お前はウィスキーボンボンでぶっ倒れて半年も寝ていたとかいうふざけた説明をしただけだった。
 ま、何故か頭蓋骨骨折とかもしてるとお医者に言われたから病院に入院してるのはそれでだろうけど、俺は何も思い出せなくて気味悪くてしょうがない。
こんだけ分からんまま置いとかれると、下手に暴れたりも出来るもんじゃねえ。
それよりオカンが来ねえのも親父は何も言わねえが、あいつはどうしてるんだ?
何となく訊くにきけない。
だけど親父が変な目で見てくるのは何故かオカンに関係ある気がしている。
あいつらは俺が知らないと思っていい歳していつもベタベタしてた。
俺が居なかったら多分完全に幸せだったんじゃないかっていうバカップルぶりだった。
オカンが俺の世話をしたがるのが親父はムカついてたのも俺は知ってた。
だから余計オカンを心配させて世話焼かせる俺は幼稚だったが、幼児の頃からならそうおかしい事でもないと思う。
最近はむしろオカンはウザいのだが、最早習い性というかな。
 それにしても恐らくウィスキーボンボンじゃねえよな、頭蓋骨骨折だし。


 お医者からやっと聞けたのは、原因は分からないが何か固いものによる打撲によるものだという事だ。
それに頭を打ったとはいえ意外に軽いらしい。
そして入院していたのはたった1週間前からという事だ。
親父は嘘をついていると思うが、俺と親父は全く気安く話せる距離ではない。
オカンが来れば解決するんだがな。


 そして退院の日になる。
俺は1人、親父は来なかった。
予想してたけどな。
オカンも来ないのはおかしかった。
やっぱりあいつに見捨てられたのか?
信じられない。


 家に帰ったら仰天する事があった。
俺の部屋が、部屋が、物が無くなって違う部屋にされていたのだ!
レイのフィギュア以外の戦利品が消えていた。

俺は怒ったかって?
怒るより途方にくれた。
これまでの自分の歴史がすっかり無くなったと思うと虚しくなった。
 綺麗な、俺の部屋じゃない部屋はもう俺の居られる場所じゃなかった。
 そして帰って来てもオカンもいなかった。
 俺は俺の持ってるものを全て無くして、これからどうすりゃいいんだと泣きたい気分だった。
 オカン無しで引きこもりが出来ないのなんて分かってる。
これからの俺はもう前の俺には戻れない。
「俺、働いたり出来るのかよ…」
つい、弱音を口にする。
今更分かってもどうにもならない事。
俺の全てはオカンに守られてきたんだと。


 でもまだオカンがどうしたのかはっきり知らないから、俺は諦めがつけられない気がした。
親父に訊こう。
俺はやっとこさ決意した。


「お、親父、オカンはどうしてん?」これだけ訊くのがやっとだ。
「……」親父は答えない。
「オカンは…」繰り返す。
「お前なんかの為に」すると親父が吐き捨てるようにつぶやいた。
「俺? 俺の為?」
「芹香、ほんとは生きてるんだろう? 頼む、答えてくれ!」親父が振り絞るように言った。
親父はおかしい。
俺に向かって言うんだぜ。
「オカン… 死んだんか」そして俺は信じたくない想像を口にしていた。
「かあさんはよそに行った。もう戻らんと思え」
なのに、急に真顔でそんなふうに言われてしまう。
「本、本当の事言ってくれよ」
「とにかくもう帰ってこないから、そのつもりでな」
「どういう事なんだよ! 俺の部屋を片付けたりしてて、何でいきなり出ていくんだよ」
そこが引っ掛かるところだった。
何の説明も無しかよ。
「母さんはお前の為にやってくれたんだ。お前の為に凄い頑張った。感謝して、そろそろちゃんとしろ」
「何を頑張ったんだよ! 出ていかずに自分で話すもんだろう?」俺に言い返されて、親父は俺をにらみつけた。
「…まあいい。俺は明日からしばらく出張だ。これからどうするか1人でよく考えておけ」
親父は結局突き放して言うだけだった。
 俺は翌日から1人で過ごす事になってしまった。



 俺の部屋にオカンが日記を残していた。
何か手がかりがあるかもしれない。
俺は早速読み始めた。


         続く

【小説】うちの母が宇宙の被捕食者だった件B

 引きニー息子更正計画第1弾、部屋の改善は終了!
流石に全部は可哀想だと思ったので息子が昔良く観てた『エヴァン』のレイちゃんの制服フィギュアだけは箱は潰して勉強机の引き出しにしまって、フィギュアはコレクションケースに入れて机の上に飾っといたけどね。
次は身分を何とかしないとと思ってるんだけど、うちの馬鹿息子が引きニートになったのって、前にも言ったかもだけど70クルートサナン、ええと約22年も前からで、その時まだ地球の歳で8歳だったんだけど、つまり小学校中退って訳よね。
せめて高校位出てなきゃ働いたりとかも無理なんじゃないの?
と思ったから高校卒業に相当するとかいう大検とやらいうのを受ける事にしたんだけど、今は名称が変わって高卒認定試験とかいう名前らしくて、あたしはちょっとブランクもあるし家庭教師さん頼もうかと考えたんだけど、その話を内緒にするのもどうかと思っておとうさんにしたら、
「俺が教えてやる」っておとうさんが!
 馬鹿息子をあんなに嫌がってたあの人がどうしちゃったんでしょうね。
ま、せっかくなんでお願いしたけどね。
最初の日におとうさんたら会社帰りに小学校6年のまとめドリルを買ってきてくれて、引きこもりは小3からだけどーなんて思いながら、中身は女子大卒のあたしなのですらすら解いてたら、
「大丈夫そうだし明日は高校のドリルにするか」なんて言ってんの。
8歳から学校行ってない息子相手に過信し過ぎだと思うんだけど、ま、あたしはそれでいけそうだけど、何か普通なら無謀と言わない、そういうのって?
よく分からない人だってその時思ったけど、ま、息子の面倒をみてくれる気になった訳だから悪い気はしなかったわよ。


 それからの日々もおとうさんは真面目に毎日家庭教師してくれて、8月の1回目の試験まで本当に2人で勉強したのね。
そのお陰でしょうね。
2回目の11月までで合格する気でいたのが1回目で全教科合格して、資格試験通ってしまいましたよ。
何だか上手くいき過ぎよね、実際。
あたしは半ば狐につままれた状態なんだけど、おとうさんは当然という顔で、ご褒美にどっか連れてってやるなんて言いだすし、一体どうなっちゃったんだと思わざるを得ないわね。
本当に冗談じゃなく前のおとうさんは馬鹿息子を完全に見放していたはずなんだけどね。
でもあたしももう何年も何十年も家族で出掛けたりしてなかったから何か嬉しいわ。
 で、2人でUSJに行ってきました!
ホテルに泊まってね、ゆっくり3泊4日。
おとうさん、初めて有給使ったそうよ。
最近何だかおとうさんの新しい面ばかり見てる気がするわね。



 さて、USJなんだけど、行った事ある人なら知ってるかもだけど、とにかくどのアトラクションもライドも混んでてすんなり入れないのね!
それで、何か面倒臭くなっちゃってたら、おとうさんにランチに連れていかれた。
パーク内のグリルで昼からお肉を食べてお腹いっぱいで、眠くなってきた。
考えてみたら元のあたしじゃなくて引きニート息子のお粗末体力のせいでしょうね。
こんなに軟弱ならアルバイトも出来そうにないし、帰ったら体力作りも必要だなと頭の中にメモした。
「ほんとに眠い」と言ってたら、おとうさんがあっさりホテルへ連れ帰ってくれて、あたしは部屋に着くなりツインのベッドの片方に倒れ込んで熟睡してしまった。
起きたらおとうさんが横で寝てて今自分が馬鹿息子の体なのを思い出して何かびっくりしたわよ。
男の親子って普通そんな事しないよね。
ま、中身のあたしはおとうさんと寝るのなんかむしろ珍しくも何ともないんだけど。
おとうさんの寝顔を何ヵ月ぶりかに見ておとうさんも歳とったなあって思って。
でも寝顔が何かくつろいだ表情浮かべちゃって可愛いなと思ったりしてね。
でもあたしが居なくなっても全然気にしてないみたいであれからずっとちょっと悔しかったりはしてたんだ。
何か今の寝顔見てたら、ま、いっかなんて思ったけど。
あたしが思ってたよりこの人結構息子の面倒みれる人だったみたいよね。
あー、しかしうっかりしてたわ。
歯も磨かずに寝ちゃうなんて。
美味しい肉を育てるには歯の健康は不可欠なのに!
今更ながら慌てて歯を磨いてると、何か声をかけられた。
「芹香」
「ん?」
 ベッドの方から聞こえたのでおとうさんが言ったみたい。
うがいを済ませて戻ってみると、おとうさんはまだ寝てた。
寝言だったのかな?



 旅行から帰ってから、あたしは毎日走り始めた。
体力つけなくちゃね。
それとね、おとうさんに頼まれて自分ちの家政夫さんをしてるのね。
1日2、3時間で2000円くれるって言うから毎日張り切って掃除洗濯炊事と頑張ってるわよ。
いやー、専業主婦だった時は当たり前にする事でしてたけど、今仕事としてお金になるのは何かちょっと嬉しい気がするわ。



 そんなある日あたしは、
死んだ━━

         続く 
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