話題:創作小説


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おかしい!!
「ササメさんが敵と接触したのなら収まるはずが・・・・・!!」
城で集めた資料を読みあっていた白刃であるが、まるで埒が明かない。

「資料をあさっても意味が無い・・・!!!」
ココは一旦発見現場に行ってみるしか・・・・・・・!!!

資料ではササメは山のふもと付近までは自分の足で歩いていたという・・・・・
だが襲われたのはその先だ。近隣の資料ばかりをあさっても情報が集まらない。

トン・・・・
すぐさま白刃は窓辺に構えると羽織っていた羽織を変形させ翼を広げる。

白刃の能力は”羽織を使って空を飛ぶ事”である。


・・・・・そして白刃は山へと向かった。

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鬼似鷹・・・・!!!!!!!
興奮する戒・・・・・・・だが刀を構えて上へと向かおうとした瞬間、ソレを静止するように鬼似鷹はその目の前でササメに口付ける。
「!????」屋根へと駆け上がろうとした戒であったが一旦ソレを静止される。


・・・・・

「へっ。・・・見せ付けてくれるじぇねぇか・・・・・・」
何かに心が打たれたように弱弱しくそう語る。

と、山奥で白刃が何かを見つけた。


「お前達とは違うんだー・・・・・」
そう言って冷たい瞳で見下ろす鬼似鷹に抱きつくササメ。
「鬼似鷹さん・・・・・」

”邪魔だなー・・・!”
心中では何かがそう語っている。


「コレは・・・・・!???」
白刃が見つけたのは緑色に光るソレ。

鬼似鷹の首にも下げてあるペアネックレスの片割れである。

”クン・・・!!!”
おそろおそる両の手で持ち上げるとソレまるでダウジングか何かにでも反応したように白刃の持つ手より動き出す。まるでその先のどこかを指し示すように先端を尖らせるとそこから光の矢がその先へと向かう。

”バシュ・・”
オオオ・・・
向かうのは更に先・・・・山の奥手の方である。

”この光の指し示す方向に・・・何かが・・・・!?????”

白刃はごくりとつばを飲んだ。
山奥と言えば魔物の巣窟。角の生えた強固な邪鬼達も住まう場所。

「破邪刀(はじゃとう)!双龍(そうりゅう)!!!」
戒が技を繰り出そうと構えると鬼似鷹もまた構える。

「音波砲・・・・!!!発射・・・!!!」
速度は鬼似鷹の方が上だった。

しかし・・

「爆砕弾(ばくさいだん)!!!」

ボ・・・ボボボ・・・・ッ!!!!
炎で囲まれた幾重ものそれが攻撃を相殺する。

「・・・!????」
実は先ほどから攻撃が直接戒まで届いていない。

「へっ!!ナメんなよ!鬼似鷹・・・!


これでも俺は・・・


里一の使い手なんだよ!!!」

ドンと構える戒に一瞬ひるむ鬼似鷹。
「・・・・・・」ソレを横目で見る笹目。

と、「戒・・・!!!」

「蘭姫!??」
蘭姫が駆け足で戻ってきた。
「里のみんなの避難は終わった・・・・・よ・・・!???」

「え・・・・・?」


ポタリ。
赤い鮮血が目の前に見えた。

一瞬何が起こったのjか分からなかった。

ササメが隠し持っていた長刀で鬼似鷹を向かい合うようにして腹を貫通させたのである。

ポタリとまた落ちる鮮血。鬼似鷹は口からも血を流している。

「全く。・・・使えねぇ男だな・・・・・・」

ウィン・・・!!!!!ササメはそう言って後頭部に手をむけポーズをとると人・・・いや。里の鬼あらざるものの姿へと姿を変えた。

「めーちゃん・・・!????」
驚く蘭姫。

「コレは・・・・・・」
白刃が山奥で見たものは・・・・・・・・・・

それは草むらに頭を隠して体だけがこちらを向いた血を流したその姿。

「ササメ・・・・・」よろよろと鬼似鷹が口を開く。
それを蔑むように仮面をかぶったその男は「悪いなテメェの花嫁はよう・・・・・・


もう山でおだぶつだ・・・・!!!」ひゃっひゃと言う笑い声でそう語る。


と。じゃり。・・・と崩れるように膝を追って半身を上げる鬼似鷹の弱った頭に足を置くと、
「テメェら・・・そろって・・・・・・俺の瞳を見な・・・・?」

「くっ」と悔しそうな鬼似鷹を足蹴に仮面を外そうとする。


「!???」
蘭姫!???

バッ・・・!!!

何かに気づいたように戒が蘭姫の前を隠す。
戒・・・・!???


カッ・・・!!!


「くっ・・・・・!????」蘭姫を背に立つ戒はもろにその攻撃を受けた。


『石化幻光(せきかげんこう)!!!』
相手を石化させる幻術である。
「戒・・・!???」

白く石化した戒に蘭姫が驚いた瞬間。鬼似鷹が目線を上に上げ怒りを露に奮い立たせる。
「・・・・る・・・さない・・・


くっ・・・!!」


「あ?」男が仮面をかけなおした瞬間。「私のササメを返せえええええええええ!!!!!!」
と鬼似鷹が男にしがみつく。

ブシュウウウ・・・貫通した腹からは血が噴出している。

「鬼似鷹さん・・・・!!!!」

腹に剣が刺さったまま・・・それでも怒りを露に立ち向かうソレ。
蘭姫は見ていて涙が零れた。

”めーちゃん・・・・・”

ぐしっ。

ソレを着物の袖でふき取ると蘭姫は顔を上げた。
「鬼似鷹さん・・・!!!」

そいつは私倒します・・・・・!!!!!

「早く・・・・”山”に・・・・!!!!」

”ゆるさない・・・!!!”
こんな・・・こんな酷い事・・・・!!!!!


”蘭姫・・・・”???”一瞬、鬼似鷹は蘭姫のほうに顔を向けると「すまない・・・!」
と、剣をさしたその身で大きな鳥の姿へと変化した。

そして真っ直ぐにササメの居た山へと向かう。

その場には蘭姫と男だけになった。


ヒュオオ・・・・・・・・・

男の置くには山へと向かう鬼似鷹が見える。
目の前には石化した戒がいる。

”戒・・・・”

アイツを倒せば・・・・・”戒”は元にもどるよね・・・・・?

オオオ・・・
「ふっ・・・」
男は仮面の姿のまま一瞬笑うと「まぁいい。小娘。”我が長寿のため心臓を頂くぞ・・・・!!!!!!”」
と大きな声でそう言った。



サァ・・・・・

「!???」
鬼似鷹がそこに向かうとすでにその場には白刃がいた。
「鬼似鷹さん・・・・」
少し段差になっているその渓谷。

白刃は一人ためらいを感じていた。
丁度ソコに鬼似鷹が現れたのだ。

「破邪刀!時醒(ときさめ)!」
刀を展にかざす蘭姫。するとざぁぁと空気が花びらのように美しいものへと変化する。

・・・・男はソレを見ていた。一瞬見惚れるように止まっていたが「遅い!!!」
と忍者のようなのその姿でまた隠し武器を取り出した。

「毒術手裏剣!!!」
大きな4本鎌の手裏剣である。

サァ・・・・
構える男。

”桜吹雪・・・・!!”
蘭姫の周りを花びらのようなものを覆う。

「喰らえ!!!!!」

男が手裏剣を飛ばす。
と。次の瞬間。目の前に蘭姫の体が現れる。


「!???」

"飛んだ・・・・・!???”
技を・・・・階段に・・・・!???
自分の技をばねに跳ね上がるように男の頭上へと舞い上がった蘭姫。

「ああああああああああ!!!!」
そしてそのまま重力の重なった刀を振り落とそうとする。

しかしやはり男は機敏である。「・・・・!!!」

もう一発・・・・!!!!!


「空中でなら避けれまい・・・・!!!」今度は4枚に別れた鎌をそのまま彼女へと差し向ける。

と、蘭姫はくるりと宙で一回転すると男の肩を足場に今度はその背中側の宙を取った。

「なっ!???」
振り返る仮面の男。

”これが・・・・・”無等角の器だと・・・!????””
その機敏な動きと発想に驚かされる。
ソレは瞬時に自分の負けを悟らされるものであった。

「破邪刀時醒!!桜吹雪・・・!!!」
またも技の一部を足場に後ろに降り立つ蘭姫。そして


「改・・・!!!!桜龍(おうりゅう)・・・・!!!!!!」
隠し技が飛び出した。

カッ・・・・!!!!!

オオオ・・・・・

その大きな光の柱は山に居た二人からも確かに見えた。



「アレは・・・・・!??」


さぁああ・・・

男が光に包まれ浄化し消えていく・・・・・


パラパラ・・・・・・その一部を回りに纏い光らせながら屋根の上から蘭姫は山を見つめた。



「・・・・・白刃・・・・・」
山では段差の奥に見える笹目を白刃と鬼似鷹が見つめていた。

「・・・・見てください。笹目さん・・・・・」

白刃が何かを指差すと・・・・

「これは・・・!??」とまだ腹に剣をさしたままの鬼似鷹が何かに気づいた。

「多分”身ごもっています・・・・”」

・・・・・・・

「子供だけでも・・・・・”助けますか・・・・・?”」白刃が躊躇していたのはこのことである。
下手に遺体を引き上げてソレを無駄にするかその前に・・・・派らを引き裂いてそれを助けるかで迷っていたのだ。

「く・・・っ・・・・」
鬼似鷹が悔しそうな顔をしながら決断を決める。


「この剣で・・・・頼む・・・・」

ブシュウウウ・・・・・自らに刺さっていた剣を抜き鬼似鷹はそれを頼むと目を瞑った。


「めーちゃん・・・・・」


その日。彼女の葬儀が里で静かに執り行われた。
この里では誰かが死ぬと”終わり桜(おわりざくら)”が赤く光る。

対岸ではその対となる”産い桜(ういざくら)”が白く輝いていた。


「あぅー・・・・・」
終わり桜の下へのササメの埋葬の後、三獣鬼の他の二人を引き連れ赤子を抱いた鬼似鷹が蘭姫の前に現れる。

「すまない・・・」
最初に出た言葉はそれであった。
「操られていたとはいえお前達には悪い事をした。」
鬼似鷹は三獣鬼の中でもリーダー的存在である。

「いや・・・」
両の手を頭の後ろで組んだ戒がそう言おうとする。

「この先”職務”の荷物になるかもしれないが・・・・・・」

”私はこの子を育てたい・・・・・”
真顔で見つめるそれを蘭姫の後ろに居た戒が何かを思いつめるように目をそらす。
「あぁ・・・・」

戒がそういうと蘭姫は鬼似鷹を見つめた。

「鬼似鷹さん・・・・」

蘭姫がそう口を開くと鬼似鷹はすまなそうに赤子を差し伸べる。

「蘭姫・・・すまないが。この子を抱いてくれないか?」

・・・・

”めーちゃん・・・・!!”

ぎゅっと抱きしめると鬼似鷹は閉じていた思い口を開いた。

「鳳太(おうた)と名付けた。いずれは君の部下にしてくれ・・・・・」

鳳太は二等角。育てれば能力に恵まれる戦闘角位である。

「えっ!??」驚く蘭姫。

「戦わせるんですか!???」
そう言って鳳太を抱く蘭姫に鬼似鷹は短く「あぁ」と答えると。

「私はこの”里”を・・・ササメが愛した”君”を護りたい・・・・」

とそう言った。
「鬼似鷹さん・・・・」
蘭姫がそういうと「忠誠を誓わせてくれ・・・」と鬼似鷹はポーズを取った。


・・・・・・・・

何もいえなくなる蘭姫。

「白刃・・・」
戒が傍に居た白刃のほうへと声をかけえる。


「さみしくなるな・・・これから・・・・」
何かを寂しそうに語る戒に、白刃は「いえ・・・・きっと、


忙しくなりますよ。」

とそう言った。

ソレは新たな”運命”の芽生え。


『破邪鬼伝*乱鬼』