話題:創作小説
■鬼の里。『華桜』、ソコは意空間に浮かぶ鬼達の楽園である。

『私の名前は華桜蘭姫(かざくららんき)!、破邪鬼(はじゃき)の里”月代城”で姉を護り、鬼と戦う
”無等角(むとうかく/角の無い)の鬼である!』

破邪鬼伝*乱鬼

【無等角とは・・・!】
無等角とは”人の姿に近く”美しいものほど”強い”とされる、鬼世界の”最高位”の存在で、この里では蘭姫が唯一の存在である。
故に、蘭姫は”姉”の『麗姫(うるひめ)』に仕える”守護者”となり、もう一人の守護者である”戒(かい)"の元で修行を積んでいる。(ちなみに麗姫と戒は幼い頃からの許婚である。)

夢は鬼長になること。
そのため今日も彼女は戦うのである。

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「困ったのう・・・・・・」
そこは里の入り口。大きな城下町への門の前である。
そこで一人の”小さな"旅人が、町へ向かって歩いていた。
「アレが無いと”空”に帰れんのじゃ・・・・」

"本当に困ったのう・・・・”
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空にたなびく赤い旗、城下町「喫茶:きびだんご」では蘭姫が注文が届くのを待っていた。

ココは、喫茶きびだんご。鬼達の憩いの場である。
「はい、お待ちぃ・・・!」
小さな角の赤鬼のオバサンが持ってきたのは大量のきびだんご。この里では昔鬼長、こと蘭姫の父、『月代(つきしろ)』が大昔人間界に出て三匹の角獣(かくじゅう)を引きつれ、大鬼を倒した伝説が残っている。喫茶「きびだんご」はその時代からの老舗団子屋である。

「わぁ・・・!」嬉しそうに両手を重ねて喜ぶ蘭姫。
「有難うございます」と、蘭姫が言うと、「今日も食べるネェ、蘭姫ちゃん」とオバサンも笑顔で返してくる。
ソレが嬉しくて。蘭姫は「里を護るために戦ってるんだもん!自分へのご褒美は必要だよ!」と。嬉しそうに返す。
「言うねぇ。蘭姫ちゃん!」そう言ってしばしの会話の後に「じゃ、いただきまーす!」と、団子に手を伸ばす蘭姫。と。ぱくりと食べたその団子の先に、小さな何かがくっついてきた。

「お兄ちゃああああああん!!!!!!」わぁああああああ!!!
蘭姫の絶叫が空にこ木霊する。

「え?龍の子!?」城へ戻るとお兄ちゃん、こと華桜里利(さとり)と、角獣「三獣鬼(さんじゅうき)」の一人、鬼似鷹(きじたか)がその小さな何かを座らせソレを覗いていた。蘭姫はその後ろにまだ慌てた様子で居る。と、龍の子と名乗るソレは「そうじゃ」と返した。

【龍】、ソレは空から飛来し”鬼の里”に刀を授け繁栄を見守る伝説の生き物である。
今もどこかに城を構え里を見守っている事は伝承として今も彼らに伝わっている。

「りゅ・・・龍の子って・・なんでソレが・・!??」と、蘭姫がそう言うと5センチほどの小さな龍の子は「それが・・・・」と神妙な顔つきで返す。
「僕の名は”龍斗(りゅうと)、父の言いつけで旅の途中、帰れなくなってしまったのじゃ・・・」

「帰れなくなった?」
いつの間にか一番後ろに居たはずの蘭姫が随意と彼の前に立つ。
「空に帰るための”虹の鱗を失くしてしまったのじゃ・・・・」そう言って展を見上げる龍斗。
「にじのうろこ?」と、蘭姫が聞き返すと「聞いたことがあります。」と、彼女の隣からまた別の声が聞こえて来た。
「白刃!?(しらは)」驚いてそう答える蘭姫に白刃と呼ばれた彼は「やぁ」と返す。

”彼の名は『白刃』、里の書記官で羽織を羽のような形に変えて空を飛べる”私”、の好きな人ー・・・・”
蘭姫の説明がここで入りまた龍の子の話に戻る。

「龍の子は虹の鱗を持ってして、”自由”に数々な世界にいける・・・・と。」
今度は白刃が龍斗を見つめる。と彼は「うん。」と一言返すと「それで僕はこの里に来たんじゃが、途中でその鱗をなくしてしまってのぅ・・・・」と困った顔を見せる。
ソレを寂しそうに見つめる蘭姫。「それで帰れなくなってしまったのじゃ・・・」
龍斗の話が終わるとつかさず兄の里利へと顔を向ける

「お兄ちゃん・・・!」と蘭姫が言うと「うーん・・・」と何かを考える里利。
と。一番後ろに居た鬼似鷹が悟りに向かってこう話した。
「若、こんなのはどうでしょう?」
「ん?」

『幸いココは破邪鬼の里。守護者が使う『破邪刀(はじゃとう)』は、何で出来てると思いますか?』

「え?」
ぽかんと口を開ける蘭姫。
そして虹の鱗探しが始まった---


「わぁ・・・・・!」オオオと強い風が吹く、上空に白刃に抱かれるようにして飛んできた蘭姫。

「凄い・・・こんなに高く昇れるなんて・・・・・・!!」
そこは異空間に存在する小さな島のような”里”全体が見渡せるかっこうのポイントだった。

遠くに小さく見える城。そこで兄たちが見つめている。しかし・・・
「「うん、でも。僕の翼を持ってしても・・・・」
「龍の城へは帰れない・・・・・」
寂しそうに龍斗が空を見つめる。
と、「さぁ蘭姫!破邪刀をかざして・・・!」蘭姫の頭の上に乗っていた龍斗が『君の破邪刀は龍の角からできてるはずなんだ・・・・!』と、「無等角の君なら力の強さで”鱗”に共鳴すると思う・・・・!」と話す。

「う・・うん!」それに蘭姫が龍斗が落ちないよう少々上へと目線を上げながら頷く。そして、刀を構えて瞳を閉じる。

と”ポゥ・・・・”と刀が薄く光り始めた。

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「・・・・」
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「駄目だ。見つかんない。」
里全体を見渡したつもりであったが、刀への反応は何も無かった。
「そっか・・」寂しそうにする龍斗。
「地道な捜査が必要だね・・・・」

と白刃がそう返す。
ゴポポ・・・・・

「・・・・・・・・」その頃何かの影が上空を覗いていた。

”いいものをー・・・手に入れたぞー・・・・・”
これで・・・”この世界を支配するー・・・!!!


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「龍の子・・・!????マジか!??」
「アラかわいいv」
里に戻ると真っ先に戒と麗姫の元へ行った。
戒もまた里の守護者。麗姫は里の先読み(さきよみ/夢による事件予知をする仕事)、この二人であれば里内のことが何か分からないかと思いやってきたのだ。
「ねぇ、戒、姉さん。最近ここらで変わった事件無かった?」
蘭姫の問いに「いや何も。」と返す戒。
「おかしいのぅ・・・・もし虹の鱗が悪用されていればそれなりの事件になってもおかしくはないのに・・・・・」そう考え込む龍斗。
「うーん・・・・」
蘭姫も考え込むように顎に手を当てる。

「他を当たってみよう・・・・!!!」

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「龍の子だと・・・・!!」
こちらも同じ反応である。ココは里の稽古場、兼寺院である「龍神寺」、ソコには人ではない異形の形をした”竜神様”が住んでいた。
「そうか・・・・わが祖先とされる生粋の龍がこの里に・・・・・」
長身の人の姿のような形をしたソレが蘭姫の頭の上の龍斗を見つめる。
「旅に出たのじゃ・・・・・」”ソレでパパの出した『課題』をクリアしないと・・・・”
龍斗が困ったようにそう言うと、「そうか、それでこの里に・・・・」と、龍神が返す。
「うん・・・」、そう答える龍斗に「で、龍の城がこの里の空にあるのか?」と答える。

「うん、”入り口”はの。でも・・・・」
そう答える龍とに隣に居た獣人の弟子、”ハクト”がこう答えた。

「・・・ねぇ。もしかするとその”虹の鱗”空の城とは真逆のところにあるんじゃないの?」

「え・・・・・?」

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「水中!????」
里に戻ると白刃が待っていた。
「うん、考えられるのはそこしか無いんだ。」
”この里の水中だって深いところは沢山あるだろう?”
今度は白刃の頭に龍斗が乗っている。彼の日本の角に興味でもあったのだろうか。